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⑫そもそものハラスメントの存在

発達障害疑いの後輩が入社してくる前に、そもそもチームにはハラスメントが存在していた。上司からのチーム全員へのパワーハラスメントだ。

上司は自分より一回り上の人だった。昔は実務を行っていたようだが、この10年ほど実務をしている様子はなく、管理業務および営業活動のみを行っていた。

自分が入社したての際に言われた一言。
「お前らは糞チームって呼ばれているんだぞ。恥ずかしくないのか」
上司としては叱咤激励のつもりだったのだろうが、入社したての自分としては、「は?」としか思わなかった。上司のハラスメントは主に先輩社員に向いており、先輩社員はその後2年ほどして辞めていった。
そして、自分の下に、新しいメンバーが入社してきた。

上司は新しいメンバーにもハラスメントを行った。紹介予定派遣中に「お前なんか採用しないぞ」などと言いながら「指導」を行ったらしい。なぜ、自分のチームメンバー、彼の手となり足となり、価値を生み出す人に威圧的に接するのか。理解に苦しんだ。

上司は、新しいメンバーが定着すると、その下に派遣社員を採用することにした。上司はその派遣社員にもハラスメントを行った。男性の派遣社員は数か月で辞めていった。長い人で1年、短い人で3か月で目まぐるしく変わった。

そもそも自分が入社する前に居た女性の派遣社員は上司に反発をして、口も利かない状態が何年か続いていたらしい。そのため、反発する女性ではなく、派遣社員としても男性を入れたいと上司は思っている様子だった。そこにたまたま女性の派遣社員として自分が入社してきたのだった。

私から見て、男性派遣社員へのハラスメントは、威圧的なものだった。「オマエ」呼ばわりは当たり前で、「技術が足りない」「自腹で勉強してこい」「いつでも辞めさせられるんだぞ」「今度ミスしたらクビ」「休み時間に俺のメルマガ読め」などの威圧的な言葉を伴う態度や、挨拶の無視なども行われ、私も含めて周囲の人が上司に何度か注意したが治らなかった。

比較的ハラスメントが少なかった私にとっても上司の存在はなかなかつらいものがありながらも数年耐えた。幼児をそだてているため定時で帰れるこの職種の仕事は珍しかったからだ。
2年目に家の事情で遠距離の拠点近くに引っ越すことになり、上司から離れられることにホッとしたのを覚えている。

家族の都合での転勤は認められないという会社の規定に乗っ取り、いったん退職をして、遠隔地で再雇用をしてもらうことになった。上司がその段取りをしてくれたが、ある日、私を会議室に呼び出して次のようなことを言った。

「あっちで入社して産休とるぐらいなら、いっそ今辞めれば?」

今でいう「マタハラ」だった。

その場は笑顔で取り繕い、会社の友人に言われたことを愚痴っていると、その時の総務部部長が「私の顔に免じて」と私に謝りに来た。その友人が総務部部長と仲が良かったためだと思われる。

免じるべきではなかった。今にして思えば。それぐらいパワハラに慣れっこで感覚がマヒしていたように思う。

そのような状況で、自分が元居た拠点ではパワハラが続き、自分はその状態を何とかすべく上司の上司などに相談していた。その相談はすんなりいくものではなかった。

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