“他人事”だった保護猫への意識を変えた、親子猫との出会い|クリエイター・イグアナ大佐
「以前まで、保護猫活動は“他人事”のような感覚でした」ーーそんな彼女を変えたのは、庭にやってきたある親子猫との出会いだったと語ります。
猫や女の子をテーマにしたイラストを描く、デザイナー・イラストレーターのイグアナ大佐さん。クリエイター活動の傍らで、保護猫に関わる仕事を増やしています。
実家で猫を保護したことから、少しずつ“保護猫”という存在を意識した彼女が、当事者として直面した保護猫の“リアル”を語ります。
プロフィール
イグアナ大佐
デザイナー・イラストレーター。猫ちゃんと過ごす日々を描く。
大阪教育大学 芸術専攻 美術コースを卒業ののち、大阪のデザイン会社に勤務。退職後、地元・大阪のデザイン関連のお仕事や地域活性化活動に参加。現在は東京にてフリーで活動中。
ちょっと“ウザそう”な猫たちがたまらない。クリエイター・イグアナ大佐
ーー かわいい女の子と猫のイラストを描くイグアナ大佐さん。現在の活動について教えてください。
イグアナ大佐さん(以下、敬称略):
フリーのデザイナー・イラストレーターとして活動中です。
活動のひとつとして、地元大阪でのミニ個展や東京でのグループ展への作品の出展をしています。以前はグループ展の企画・運営をするクリエイターチームの「Creract(クリラクト)」に所属し、その中で企画・運営もしていました。
ほかには、地元・大阪の保護猫譲渡会のチラシ作成、本の装丁や挿絵の仕事、イベントに出展することも。
ーー イグアナ大佐さんの描く猫ちゃん、本当にかわいいですよね。モデルは実家でお迎えした猫のコタちゃんですか?
イグアナ大佐:
そうですね。基本的に、うちの子の写真を見て猫たちを描いています。だから、みんな眉間にシワが寄って、ちょっとウザそうな表情になっているんです(笑)。
そんなうちの子ですが、猫をお迎えしてから、私自身の幸福度が上がって。だから「つらいこともあるけど、猫のイラストを見て癒されてほしい」と思いながら描いています。
ーー 本格的にクリエイター活動を始めたのは、いつごろでしょうか?
イグアナ大佐:
実は、本格的な活動を始めたのはここ数年です。ちょうど新型コロナが流行り始めたころからですね。
元々、幼稚園から絵画教室に通っていたりと、絵を描くことは好きでした。ただ、絵の道で食っていきたいとまでは決めていなくて。一時期は絵から離れたこともありましたが「やっぱり美術を学びたい」と思い、大学では美術を専攻してデザインを学び、大阪のデザイン会社に就職しました。
しかし、新型コロナが流行って暇な時間ができてしまって……。余った時間でイラストを描き始めたのが、今のクリエイター活動のきっかけです。
ーー イラストを趣味から本業にしたときは、どのような経緯があったのですか?
イグアナ大佐:
最初は趣味だったイラストですが、発信を続けていたら、ありがたいことに応援してくれる方が増えてきて。友人や、知り合いづてで知ってくださった方からアイコンのイラスト依頼もありました。
そんな中、デザインフェスタ(デザフェス)に出展したら予想外に反応をいただいたことも、「本格的にイラスト活動していきたい!」と思ったきっかけのひとつです。
現在は正社員を辞め、クリエイター活動とアルバイトをして生活をしています。
“庭猫”たちとの出会い。そして、直面した保護猫の課題
ーー 保護猫団体さんのチラシ作成をしているとのことですが、元々保護猫活動には関心が高かったのでしょうか?
イグアナ大佐:
実は元々、関心は高くはありませんでした。ただ、昨年(2023年)にきっかけになることがあって。
ーー きっかけ?
イグアナ大佐:
実家の庭に野良猫の親子が来たんです。当時、私は東京にいて現地にはいなかったのですが、母から「猫が来たけど、放っておけない…どうしよう?」と連絡が来て。
つながりのあった保護猫団体さんにご相談をして、協力をえながら保護をしました。
▲ 保護当時の投稿
ーー 無事保護ができてよかったです!今回はご実家でしたが、実際に猫を保護する場面に直面して、困ったことはありましたか?
イグアナ大佐:
1番はお金ですね。不妊手術に1匹あたり1万5千円ほどかかるので、それを保護した4匹全員に……となると、かなりの金額になります。
保護団体もたくさんの猫を抱えているので、頼りきるのは難しい。でも、子猫のうちに不妊手術をしないと、余計に増えてしまう……。
結局、保護をした人が責任を持たなくてはいけないんだと痛感しました。
自己資金だけでは難しいこともあり、保護猫グッズを作ってBOOTH(※)で販売し、資金を募りました。
※BOOTH(ブース)…ピクシブ社が運営する、オンラインのクリエイターズマーケット
ーー 保護猫活動の金銭面の課題は大きいですよね。他にはありましたか?
イグアナ大佐:
保護した猫たちの受け入れ先を探すのも大変でした。
自分たちでお迎えすることも考えたのですが、先住猫の病気の関係で一緒に住めなくて……保護団体を頼るほかなかったんです。
色々な保護団体に相談をしたのですが、どこの団体も余裕がなく断られてしまいました。受け入れてくれる場合も、1匹4〜10万程度のお金がかかることもあり……。それだけ、どの保護団体も大変なんだと悟りました。
そんな中、最初に保護に協力してくださった保護猫団体が、仔猫を預かってくださることになりました。
今は仔猫たちみんな、譲渡会などで新しい家族を探しているところです。
団体さんの愛を形にした、猫の魅力が伝わるイラストたち
ーー 今回、neco-noteとのコラボ商品を出していただきました。コラボの経緯は?
イグアナ大佐:
neconote代表の黛さんから、ご連絡をもらったのが始まりです。
黛:
熱烈なラブレターを送りました(笑)。たしか、以前イグアナ大佐さんの“猫風呂”の絵が流れてきて、一瞬でトリコになったんですよね。
猫のとろけ具合とか、まどろみ具合とか、女の子が猫沼にハマっている感じとか……。
ぜひneco-noteとコラボしてほしいと思って、長文のメッセージを送りました!
イグアナ大佐:
ありがとうございます(笑)。
ーー 家族を探している保護猫たちのイラストを描く中で、意識したことはありますか?
イグアナ大佐:
その猫ちゃんの魅力が伝わるように意識して描きました。特にむっくりしたポーズは意識しています。
これは個人の方のイラストの依頼を受ける際もですが、団体や依頼主が「この猫はこんなコで〜」みたいな特徴を送ってくれるんです。それを読みながら「こんな感じのコかな?」と想像しながら描いています。
黛:
どの猫も、表情やもちもち具合から、その猫の個性や魅力が伝わってくるイラストですよね。「これぞ、でかおくん!」と思いましたもん!
イグアナ大佐:
でかおくんはですね、最初は「顔を大きく描きすぎかな……」と思いながらラフを送ったら、団体さんから「もっと顔を大きくしてください!」と修正がきて。「こんなに大きくしていいの?!」と(笑)。
他の団体さんも猫たちの個性があふれる写真ばかりくださったんです。ごめん寝ポーズとか。
そんな団体さんたちの想いをイラストで表現できているといいなと思いながら、今回のコラボイラストを描きました。
“他人事”だった保護猫活動を、いつか自分でも。
ーー 猫を保護した体験を経て、イグアナ大佐さんの心境や活動に変化はありましたか?
イグアナ大佐:
以前は保護猫活動は、“他人事”のように感じていました。「やってくれている人がいてありがたい」くらいに思っていて。
実際に保護する当事者になって、予想以上にお金がかかること、どの保護猫団体も身銭を切って活動していることを知りました。
お世話になっている保護団体さんも70匹ほどの猫を保護しています。「本当は仕事を辞めて猫のために活動したいけど、お金のために働くしかない……」そんな話も聞きます。
だから、neco-noteのように、保護猫にお金が集まる仕組みが必要だと思うようになりましたね。
ーー 今後のクリエイターとしての夢や挑戦を教えてください。
イグアナ大佐:
クリエイターとしての目標は、東京で個展を開催することと、猫絡みのパッケージやアニメ関連のお仕事をすることです。
もうひとつは、「保護猫応援ステッカー」のようなチャリティグッズを作って売り上げを保護団体さんに寄付をしたいと思っています。
保護した“庭猫”たちのチャリティステッカーを販売したときに、応援してくれる方がたくさんいたので、他の猫にも役に立てたらなと。
お客さんはグッズを買うことで、保護猫活動に貢献もできるじゃないですか。そんなふうに、グッズを作ることで保護猫支援にも繋げられたら嬉しいです。
🐈 🐾 🐈 🐾
庭にやってきた親子猫との出会いをきっかけに、保護猫の課題を目の当たりにしたイグアナ大佐さん。
「私はまだ、大きく貢献できるような保護猫活動をできていないけどーー私の活動を見て、誰かが『私もやってみよう』と思ってくれたら」
控えめに語る彼女は、すでに保護猫活動に対して大きな一歩を踏み出していると感じました。
取材・執筆=えるも(@chanmoexx)
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今回お話を伺ったイグアナ大佐さん(@iguana_taisa)とneco-noteのコラボグッズがSUZURIにて販売中です!
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