「猫×不動産」で叶える保護活動|ネコリパ不動産の取り組みとは
「ネコリパ不動産」は、猫と暮らしたい方のための“猫可”物件専門の不動産仲介サイト。
猫を飼える家が増えれば、引き取られる保護猫の数も増える――そう語るのはネコリパ不動産を立ち上げた葛西さん。
「不動産」と聞くと、保護猫とは関係していないように思う方もいるかもしれません。しかし、ネコリパ不動産は“猫×ビジネス”をうまくかけ合わせた持続可能性のある保護活動に貢献しています。
今回は、ネコリパ不動産のサービス概要や保護猫への想いについてお話をお伺いしました。
猫と安心して暮らせる家を提供する「ネコリパ不動産」
―― ネコリパ不動産はどのようなサービスなのでしょうか?
ネコリパ不動産は、猫と安心して暮らせるようなお部屋を掲載している不動産仲介サイトです。
ネコリパ不動産に掲載中の物件が成約したときには、仲介手数料など部屋を借りる際に払う手数料のうち、10〜50%が保護猫団体のネコリパブリックさんに支払われる仕組みになっています(※部屋により異なります)。
―― 仲介手数料などの最大50%が保護猫活動に寄付されるのですね!ここでいう「猫と安心して暮らせるようなお部屋」とは、どのような物件なのでしょうか?
掲載するまでの審査項目は細かいのですが、大きく分けると、猫にとって以下の4つの条件を満たした家ですね。
狭すぎない
つまらなすぎない
危なすぎない
不条理すぎない
特に都内だと猫にとっては狭すぎる部屋の掲載依頼が来るんです。
たとえば、都内の物件で25平米1Kと聞くと結構広く感じますが、猫2〜3匹と一緒に住むとなると狭いですよね。そうすると30平米前後がちょうどいいので、狭い部屋の場合はお断りさせていただいています。
ただ、床面積が少し狭くてもキャットステップやキャットウォークが付いていて「猫が運動でききそうだな」と判断できれば、掲載させていただくケースもありますね。
―― 広さだけじゃなくて、猫にとって運動ができる空間面積が十分にあるかを見ているのですね!
2つ目に「猫がつまらなすぎない」という観点でもチェックしています。都心で周りを建物に囲まれている部屋だと、くもりガラスが使われている部屋が多いんです。
猫は飼い主さんが居ない間は、外を眺めながら帰りを待つこともあります。 外が見られるという猫のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を守る理由で、すべての窓がくもりガラスのお部屋はお断りさせていただいております。
猫のQOLが低いと、いたずらしたり鳴き叫んだりすることもあります。その結果、飼い主さんの飼育放棄や遺棄につながる可能性も高くなると思うんです。
動物に関わる事業をしている以上、無責任な状況が起こらないように注意して物件を見ています。
―― その物件で暮らすことで猫のQOLがどう担保されるかまで想像して、物件の取捨選択をしているのですね。
3つ目の条件「危なすぎない」では、たとえば脱走の可能性が低い部屋かを見ています。外から玄関を開けるとすぐ個室になっている部屋や、網戸がない部屋だと脱走リスクも高く、猫にとっては危険だと判断して、お断りさせていただいていますね。
あと「不条理すぎない」というのもあります。
―― 不条理すぎない?
中には「猫を飼わせてあげるんだから、礼金は4ヶ月分です」と、不条理な条件がある物件もあるんです。
どんな使い方をされるかわからないので、そんな条件をつけたいオーナーさんの気持ちもわかるのですが、猫を飼っている方にとって条件が厳しすぎるお部屋は掲載していません。
―― 美術館で飾る展示品を選ぶように、 ネコリパ不動産が一つひとつ選んで掲載しているというのがよくわかりました!
猫を飼える人を増やして保護猫たちに貢献したい
―― ネコリパ不動産は立ち上げから5年経っていますが、始まった経緯を教えていただけますか?
私は元々コンセプト物件などを取り扱っている不動産会社イノーヴ株式会社の社員だったんです。コンセプト物件の企画を任せていただいたときに、猫を3匹飼っていたのもあり無理なく多頭飼育ができる物件を企画しました。
ただ企画した猫物件を建てるタイミングで都心の土地が高騰するなどの外部要因があり、その時はすぐには建ちませんでした。その“待ち”の時間に考案したのが、ねこ物件のプラットフォームです。
そもそもコンセプト物件には一般的な不動産広告プラットフォームを使ってPRをしても伝わりにくいという課題があります。結果、猫物件の魅力が伝わる専門のプラットフォームを作っておけば、のちのち猫物件を建てたときにPRで苦労しないから、作っちゃおうという結論になったんです。
また、ネコリパブリックさんに話を聞きに行ったときに「猫を飼いたいけど飼える家がない」という理由で、飼うのをためらっている方が多いと伺っていて。都内だと賃貸で暮らしている方が多いじゃないですか?
「猫を飼える家が増えれば、引き取られる保護猫の数も多少増えるのではないか?」と考えたことが、ネコリパブリックさんと提携して不動産を始めたきっかけですね!
―― 猫を3匹飼っているご自身のパーソナリティに合っていて、ネコリパブリックさんとの親和性も高かったからこそ生まれた不動産サイトということですね。
“猫可”物件は不動産オーナーの安心材料にも
―― ネコリパ不動産に掲載中の物件は都内が多い印象ですが、都内以外の物件も掲載可能なのでしょうか?
今も埼玉や三重、名古屋など、都内ほどではないですが地方の物件も掲載しています。写真や情報をいただければ、地方の物件であっても載せていただくことは可能です!
ただ案内に関しては現地の管理会社さんや、猫好きのオーナーさんに行なっていただいています。
―― 不動産オーナーが猫可物件を運営するメリット・デメリットはありますか?
まず猫可物件の最大のデメリットは、お部屋の企画によりお客様が入居するまで時間がかかることもある点です。コンセプト物件の募集は、一般のお客様とは違うところにターゲットを絞るので、当然起こり得ることです。
ですから、すぐに入居者が決まって賃料収入が入ってくるわけではない場合もある、というご説明を一番最初にさせていただきます。
一方でメリットとしては、暮らしにくい室内条件でない限りは、一度入居していただいてからの出入りが激しくないところです。 たとえば、猫を3〜4匹多頭飼育できて、日当たりが良い物件は、引っ越し先を探そうにもなかなかないですよね。
不動産業界ではこの先どんどん空室率が上がるといわれていますが、一度入居されると長く住んでもらえるのでオーナーさんの心理的不安が解消されると思います。
デメリットで入居者が決まりにくいというお話をしましたが、うちに載せたコンセプト物件で半年空室が続く部屋はないですし、お部屋の企画内容が良ければ完成と同時に満室になったケースもあります。だから、ネコリパ不動産というプラットフォームを通せば届くべきところに届くと考えています。
猫ファーストのスペシャルな物件を増やしたい
―― ネコリパ不動産を5年運営してきた葛西さんが、保護猫のために今後考えている取り組みはあるのでしょうか?
ネコリパ不動産を運営しているおかげで猫物件の工夫をたくさん知れたので、全部の良いとこ取りをした猫物件を作ってみたいですね。
実際に、マニアックな賃貸物件を文京区の春日に建てたことがあるんです。1階にペットのトリミングサロンがあって、そこのサロンからキャットシッターさんが来てくれるっていう(笑)。
―― キャットシッター付きの賃貸物件はすごいですね…!
間取り図が白と黄色に塗り分けられているのですが、 黄色の部分のみキャットシッター さんが立ち入れるエリアにしています。
―― なるほど!プライベート空間がしっかり確保されているのですね。
猫を飼いたいけれど、忙しくて飼えないというビジネスパーソンもいらっしゃるじゃないですか?そういう方でも飼いやすい環境を提供しようと、1階にペットケアのスペシャリストさんに入っていただきました。
この物件は50部屋中4部屋限定で企画して、現在は猫への愛は溢れつつ、キャットシッティングを確実に必要としている方にご入居いただいています。QOLが高い猫物件のパターンを作っていきたい、ネコリパ 不動産を続けていくうえでの野望ですね!
猫可物件を増やすカギは“愛”と“想像力”
―― 最後の質問なのですが、猫と暮らせる物件を増やすために大切なことは何かありますか?
抽象的ですが、“愛”と“想像力”ですかね。物件を愛してくれる人を探すために、まずは掲載基準(オーナー側からの愛)を表明して、相思相愛のお相手を見つけていただく。
その方と末長くお付き合いをしていただければと思います。“愛の初期投資”で、相場賃料にとらわれない自由が手に入るかもしれません。
🏠
ネコリパ不動産は、猫可物件専門の不動産仲介サイトを運営し、間接的な保護猫活動に取り組んでいます。
猫のQOLの担保を一番に考えて選び抜かれた部屋は、どれもオーナーさんのこだわりが詰まった素敵な物件でした。
猫を飼っている方・これから猫を飼いたい方・不動産オーナーさんの3者にとって、心の安心材料になる素敵なサービスを提供しているネコリパ不動産。
この先、数々の猫可物件の良いとこ取りをしたお部屋が完成するのを楽しみにしています。貴重なお話をありがとうございました。
🐈🐾
猫と暮らしたい方が猫と暮らせる家を探せる、“猫可”専門不動産仲介サイトの「ネコリパ不動産」。
「猫を飼いたいけど、飼える部屋が見つからない」そんな悩みを抱えている方は、ぜひネコリパ不動産から理想の“猫可”物件を見つけてみてくださいね。
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