ゲイシャの挑戦
カップについての想いを綴ったブログ記事でもお伝えしましたが、このカラフルなニッコーのカップ・錦山水でコーヒーを出すなら絶対にゲイシャのようなトップクオリティのコーヒーと一緒に提供すると決めていた。
問題はそれがいつという話であった。
私自身、他のコーヒー屋で少しリッチなコーヒーを飲んで満足いかない経験をしたことがよくあった。
いくら豆自体がよくても焙煎と抽出が未完成だと値段は高いが美味しくない…と感じてしまう。
なのでとりあえずはネクタイコーヒーがお客さん方に「ここのコーヒーは美味しい」と認めてもらわないといけない。
いつも飲むコーヒーが美味しい店だからこそ、いい豆ならもっと美味しいだろうとなってお客さんに注文していただけると考えたからだった。
まずは「美味しい」という信頼を勝ち取らないと。
夫は早い段階からいい豆の焙煎にチャレンジしたがっていたのだが、私はそこは慎重派で、いやまだじゃないか、まだそんなにうちにファンはいないんじゃないかと伝えてストップをかけていた。
そんな時にとある常連さんからゲイシャを飲んでみたいんよねと言われた。
「ゲイシャねぇ〜出してる店は少ないけど本当にここは美味しいと思ったコーヒー屋さんで飲むべきですよ」と話したら、うん、だからネクタイで飲みたいというようなことを言われた気がする。
それが結果的にはきっかけになった。
いつもお世話になってるお客さんやし飲んでもらいたいなぁと。
コーヒーの日&ネクタイの日である10月1日も近づいていて何かしたいと思っていたし、リクエストもあったわけやし、リピーターの方も増えてきたわけやからここいらでやってみるかという話にまとまった。
いつものドリップコーヒーは550円でお出ししているわけだが、今回のゲイシャは800円での販売。
私にとったらそれでもチャレンジだった。
800円出したわりにはこんな味か〜とは思われたくない。
夫がどんな焙煎計画を立てたのかは私は知らないけど何日かエイジングするごとに2人でカッピングをしてなんとか、あ、いけてるわと思える味になった。
正直言うと800円は妥当、もしくはちょっと安いかもと思えるくらい美味しかった。
最初は、この穏やかな島原で800円のコーヒーは受け入れられないだろうと思っていたから1日1杯が目標だねなどと2人で話していたが、実際提供をスタートするとそんなことはなくてお客さん方がたくさん注文してくださってかなり驚いた。
少ししか準備してなかったカップも早々に無くなってしまって、飲み終えたお客さんにカップをお下げしてもいいですか…!と頼む日もあった。
予想外だった。
やはり常連さんやリピーターさんに頼んでいただくことがとても多かった。
普段からネクタイのコーヒーを飲んでくださっていて美味しいと思っていただいているのであろう、インスタをご覧になっているのであろう…お見かけしたことのある方々から、メニューを見ずに「ゲイシャください」と言われることがほとんどだった気がする。
お客さんから信頼されてるんやなぁ、美味しいって認めてもらってるんやなぁと感じさせてもらえたことがすごく嬉しかった。
満を辞して出した錦山水のカップの評判もすこぶる良かった。
カップはもちろんソーサーまでじっと眺めてくれる方が多くて、その様子を拝見するのがこちらとしても楽しかった。
ゲイシャを頼んだ方だけにこのカップでコーヒーをご提供するという特別な体験をお客さんに楽しんでもらえたのはネクタイコーヒーとしては新しくて気持ち良かった。
と、こんな感じでゲイシャはお出しして結果的に大成功。
私たちも美味しいと自信を持って思えるコーヒーだったし、お客さんたちからも期待していた以上のリアクションがたくさん返ってきた。
夫もこのゲイシャ月間は相当楽しかったらしい。
焙煎のモチベーションがかなり上がってもっと勉強して美味しくしたいと燃えているので何よりです。
次スペシャルなコーヒーの提供はいつやるか…。
まだいつやるとは全く未定ですが次もまたなにか特別なコーヒーを出したいなぁと思います。
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*ネクタイコーヒー
京都府京都市下京区櫛笥通丹波口下る裏方町177-5