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ソートリーダーシップがマーケティングから企業戦略へ進化する?

はじめまして、国際社会経済研究所(IISE)理事長の藤沢久美です。

私たちIISEは、マーケティング手法の一つであるソートリーダーシップをベースにした経営戦略『ソートリーダーシップ活動』の牽引役を担う、NECグループの独立シンクタンクです。そもそもシンクタンクが、マーケティングの手法を取り入れて経営戦略の牽引をするというのは、とてもユニークな試みです。私たちにとっても日々、新たな挑戦でもあります。

そんな私たちの日々の挑戦から見えてきた「経営戦略」の視点から「ソートリーダーシップ(Thought Leadership)」の価値や意義について、この新たな「ソートリーダーシップHub(TL Hub)」の中で、お話ししていきます。

そもそも、「ソートリーダーシップ」とは何なのか。

実を言うと、2024年4月の時点で、社会的にはその定義はまだ固まっていないようです。

なにしろ、決定的な書籍はまだ世に出ていませんし、国内外の論文を紐解いてみても、やはりその定義は明確にされていないようです。

いくつかの論文を読み進め、ソートリーダーシップの変遷を私なりに整理してみました。

ソートリーダーシップとは当初、「インフルエンサーマーケティング」を指す言葉として使われることが多かったようです。その発言や行動が世間に少なからず影響を及ぼし得る存在であるインフルエンサー。彼ら彼女らに、SNSなどを通してプロダクトを紹介してもらう。その結果、商品やサービスが売れるだけではなく、消費者やユーザーのライフスタイルの変化が起きる。つまり、市場を作るだけではなく、消費者の価値観を変える存在として、ソートリーダーと呼ばれることになったのではないかと推察します。この時は、主としてBtoCが主軸です。

BtoCアクションとして始まったソートリーダーシップ。これが今度は、BtoBを対象に行われる「デジタルマーケティング」にも広がっていくこととなります。ある企業が自社のソリューションやプロダクトなどを訴求するホワイトペーパーを作成し、それをWeb上で様々な方法を用いて配布する。こうして自動的に顧客開拓を推進していく仕組みが生み出されました。ホワイトペーパーを通じ、自社のソート(考え方、思想)を発信するブランドがソートリーダーと位置付けられたのです。そのホワイトペーパーのダウンロードデータから潜在顧客リストを自動的に作成していくといったデジタルマーケティング手法も、ソートリーダーシップと呼ばれるようになったとみられます。

そして今、ソートリーダーシップはその概念をさらに大きなものとしつつあります。

BtoBの次は、BtoS(Business to Society)という言葉が相応しいのではないか。私はそう思っています。社会に向けたビジネス。すなわち、社会課題解決に事業として取り組むということです。BtoC向けマーケティングから始まったソートリーダーシップは、いまや社会的意義と向き合う概念にまで拡張してきているのです。

このBtoSへの発展においては、SNSの活用はもちろん、ホワイトペーパーなどの企業のソートの発信に加え、社内外の人的/組織的ネットワークを活用し、異業種や異分野とのコラボが必須となるでしょう。その先は、社会変革を促す産業創造へ繋がっていくと考えます。

IISEではこの潮流を先取りし、シンクタンクが担う『ソートリーダーシップ活動』を経営戦略の規模で展開しているのです。

登場から時を経る(左から右に行く)につれ、
ソートリーダーシップが内包する要素は増えていった

 次回は、このソートリーダーシップの新たな潮流とも言える『ソートリーダーシップ活動』について、具体的な事例とともに解説していきます。ぜひ次回の更新を逃さないように、マガジン「ソートリーダーシップHub(TL Hub)」のフォローをお願いいたします。

文:IISE 理事長 藤沢 久美

藤沢 久美
大学卒業後、国内外の投資運用会社勤務を経て1995年、日本初の投資信託評価会社を起業。1999年、同社を世界的格付け会社スタンダード&プアーズに売却。2000年、シンクタンク・ソフィアバンクの設立に参画。2013年~2022年3月まで同代表。2022年4月より現職。https://kumifujisawa.jp/

企画・制作・編集:IISEソートリーダーシップHub(藤沢久美、鈴木章太郎、塩谷公規、石垣亜純)

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