動物(休職日記)

10月1日は都民の日で動物園が無料だった。久しく行っていなかったから気分が変わるかもしれないと思い行った。

雲が多かったけど、太陽も出ていた。
ボーッとするには心地いいけれど、歩くと汗ばんでくるような気候だった。平日とはいえ無料パワーすごくてかなり人が多かった。家族連れや学生服を着た集団も多くて眩しかった。カメラが趣味っぽいおじさんもちらほらいた。

肝心の動物だけど、正直、そこまで心が動くことがなかった。キリンみても象みても「キリンだなあ」「象だなあ」と思う程度だった。もっと大きさや迫力に驚くと思っていた。
両生類のコーナーや夜行性エリア等一通り巡った。当たり前だけど動物たちは私たちに向けて何かパフォーマンスをするわけじゃないからずっと背を向けていたり、動かないことも多い。ツンとそっぽを向くワニや、尻尾をふりふりし続けて一向に振り返らないカバとかそれで愛嬌があって良いけれど、今の私の心境的にはちょっと退屈だったかもしれなかった。動物園は誰かと話しながらが一番楽しいんだろうなと思った。
というか人混みの中で動きをずっと待つことがやっぱりしんどかったかもしれない。


明確に、あっと思ったのはモノレールの駅を見た時だった。

動物園には子供の頃、母や祖母に連れてってもらい、何度か来たことがある。よく覚えているのは、夜行性動物のエリアの暗闇に蠢くコウモリやネズミに怖いと同時に神秘的で惹かれたこと、どうしても欲しいトカゲのフィギュアがあって、今度の誕生日プレゼントの代わりでいいからとねだったこと。そして動物園内にモノレールの駅があるという驚き。その時はモノレールに乗っていたはずだけど、モノレールからの景色は正直覚えていない。

モノレールはもうなくて、駅も廃止になっていた。
今は駅の手前が撮影スポットになっているようだった。邪魔にならないように駅の中を覗き込んで、サビついてきているレールを見た。駅にこびりついた歴史が記憶の引き出しを開けてくれて、そこで今日初めて写真を撮った。

祖母も母も、もういない。おもいでだけある。

帰り際近くで咲いてた彼岸花

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