短編小説|ロスト・アーモンド no.12
あの一件に思い至ってからというもの、ほぼ毎日のようにmeijiのボール型チョコレートを口にするようになっていた。
あの一件とは、つまりボール型チョコレートの中の空洞の違和感と、食感の記憶に思い至ったことだ。
僕は帰宅時につけ、ロクと戯れの最中につけ、風呂上りにつけ、冷蔵庫を開けてチョコレートを奥歯で噛みしめるのが習慣になっていた。
僕の脳裏にこびりついていて、突然蘇ったあの感覚は、いったい何だったのか。
でも幾度となく繰り返し、チョコを噛み締めたところで、空洞の食感は