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究極のストリートクチュールブランド「dressedundressed」

はろーこんにちは。
Takiです。

(以下一部敬称略)

ブランドを紹介する記事は「Christian Dada」「TOGA」に続いて3ブランド目ですが、1月にTOGAの記事を書いてからはずっと次に書くべきブランドはどこか。
熱意を持って紹介できるブランドはどこか。
ずっと考えていました。
※TOGAは当時かなりの興味があったのでなんとか書けました

私はクリスチャンダダが一番好きです。
これはたとえカールラガーフェルドやエディスリマンやヴィヴィアンウエストウッドなどの名だたる世界的なデザイナー本人が目の前にいても言えます。

しかし、ダダは今はもうありません。
では、今店頭で買えるブランド、2番目に好きだと言えるブランドはどこか。
コムデギャルソン、ジュンヤワタナベマン、シュガーヒル、ヘドメイナー、キャロルクリスチャンポエル…。
色んなブランドが候補に挙げられます。

ですが、クローゼットの服をふと見た時に私がダダの次に所有しているこのブランドが相応しいと思いました。

それは「dressedundressed」です。

今回は究極のストリートクチュールブランド、「dressedundressed」について述べていこうと思います。




1.dressedundressedについて

デザイナーは北澤武志。
dressedundressedは「服を着る、服を脱ぐ」という意。
ジェンダーレスで展開。
マスキュリニティとフェミニティ、美と醜、闇と光、純潔と官能、未来と過去など、二元性の結合をコンセプトに、相反する要素を糾い、制約のない境界線を探求。ジェンダーレスなストリートクチュールコレクションを展開する。

2006年、セレクトショップ「CANDY」のオープニングディレクター兼バイヤーとしてファッションのキャリアをスタート。
服作りを学んだ経験はなく、独学で服作りの知識を積み重ねていく。

CANDYは新宿二丁目にあったセレクトショップ。
海外の気鋭のデザイナーが手掛けた作品やヴィンテージの服、自らがリメイクした古着などを取り扱う。

その中でMaison Martin Margielaのデザイナー、マルタンマルジェラ本人が自らが作った服を購入してくれたことをきっかけに2009年、dressedundressedをスタートさせる。

2012AWから東京ファッションウィークで24AWまでコレクションを展開している。

2013年、ロンドン・ファッション・ウィーク会期中にインターナショナル・ウールマーク・プライズのファイナリストとして世界の6ブランドの1つに選出。
カプセルコレクションを発表。

同賞は1953年に創設、当時無名だったイヴ・サンローランとカール・ラガーフェルドも発掘されている。ドレスドアンドレスドは、『VOGUE Italia』編集長のフランカ・ソッツァーニ(Franca Sozzani)推薦によるスペシャルエントリーによるもの。

この頃に起きたモードドメブラ全盛期と言える時代を「Christian Dada」や「John Lawrence Sullivan」といった名だたるブランドと共に支えた。

個人的な名作コレクションを挙げるとまず13AW。

1983年に公開されたデヴィッド・ボウイとカトリーヌ・ドヌーヴが主演の映画『ハンガー』がテーマ。
人間と永久的に死なない吸血鬼の間で葛藤する部分を反映させ、足首まで届きそうなロングコートが吸血鬼の持つ、ミステリアスで怪しげなムードや基本となるカラーパレットの黒と白の中に、吸血鬼の血を連想させる赤の差し色がドキッとするような魅力を感じさせる。

さらには16AW。

テーマは「CONSCIOUSUNCONSCIOUS(意識と無意識)」。
フロイトの“夢の精神世界”や、デヴィッド・リンチの映画『ツイン・ピークス』をインスピレーション源に、セクシュアルな世界観と幼稚性を共存させたコレクション。
ミニマムなデザインが特徴的なドレスドにしては比較的メッセージ性をモチーフやテキスタイルに強く反映されたシーズンであり、引き算を重ねてきたからこそ、伝えたいメッセージを素直に乗せるベースがあるとも捉えられる。

そんな中訪れた空前絶後のストリートブーム。
18ss、18awはストリートの波に乗ろうとする動きを感じるルックも多いが、基本的なドレスを中心とした軸はブレさせずにコレクションを展開してきた。

そんなドレスドアンドレスドがガラッと変わったと言えるのは21AW。
コロナ禍だ。

テーマは「PERSONA(ペルソナ)」。
仮面という意味である。
コロナ禍においてdressedundressedはそれまで持っていた"仮面"を脱ぎ捨てた。

外面と内面の齟齬。
通常は裏地として使われるキュプラのジャケットなど外面の仮面を脱ぎ捨て、内面を露わにするようなコレクション。
この頃から”クチュール”の要素がかなり強く出始めている。
シーズンを重ねるごとに無駄を省き、アイテムのクオリティをクチュールのようなレベルに押し上げる動きが見られる。

例えば、コレクションの発表方法。
コロナ禍となった21AWからオンライン配信(22SSからは映像作品)でのコレクションを現在まで続けている。
これは1から100まで。
ファブリックやポケットの位置、コレクションのフィッティングまでを究極の理想を追求するためだ。

特に21AW以降は似たようなコレクションの繰り返しという声も聞く。
シーズンを重ねるごとに無駄な装飾は省き、黒と白の2色をベースにシンプルでミニマムなデザインが増えている。

つまらないと言ってしまえば、その人のそういう解釈ではあるが、私はこれはデザイナー、北澤武志の美学だと感じる。
為すべき自らの理想を追求する行動を熱量を以て為す。
そう感じるのだ。

もちろん理由がある。
24AWの東京ファッションウィークでのインタビュー。
デザイナー本人はこう答えている。

「ファッションは必要か?
新型コロナウィルス感染症を期に、ロシア ウクライナ軍事侵攻、パレスチナ・イスラエル戦争と、ファッションは必要か?という問いを繰り返すようになりました。
2022年春夏コレクションからの映像作品を通し、ランウェイとはまた違うファッションの提示方法は私にとって新たなファッションの可能性のありかたを気づかせてくれました。”目に見えないものを見ることの大切さ”が少しだけ気づけたように思うのです。」

また、See Now Tokyoのインタビューにて、
「「人と違うことは誰にでも出来る、でもみんなに影響を与えられるものを作るのはすごく難しいんだ」という言葉にハッとした」

という発言を残しています。

ドレスドアンドレスドの服はミニマムでシンプルです。
だからこそ目に見えない、見えにくい部分を究極まで追求している。という解釈です。

そんなドレスドアンドレスドの服の特徴について次項で述べていきます。


2.dressedundressedの服

メインはコートやテーラード(ブランド公式表記はブレザー)を中心にドレッシーなスタイルです。

とにかく細部へのこだわりが物凄いです。
「今期のスラックスは2mm細いです」と、聞いたときは驚きました笑

パターンのきめ細やかさやストレートにストンと落ちるシルエットなどは神懸かり的なものを感じます。
ドメブラでミニマムでシンプルでクオリティをとてつもなく追求しているブランドと聞くとオーラリーやシュタインなどが挙げられますが、シルエットの綺麗さに関しては個人的にはドレスドが一番綺麗に感じます。

こちらは私が所有しているドレスドアンドレスドのスラックスを使ったスタイリングですね。

いやぁ綺麗。
これじゃ伝わらないから実物を見ろ。実物を。


3.25SSコレクションを東京ファッションウィークで行わなかった理由

2024年9月11日。
東京ファッションウィークも終わって最初の水曜日。
東京ファッションウィークのブランドリストにドレスドアンドレスドの名前は無かった。
中目黒の真っ白でドレスドアンドレスドの服のように無機質なビルの一室で話を聞いてみた。

今期のテーマは「Some Woman」
ルックの写真は各ルック、カラー写真とモノクロ写真の2枚ずつ。
これまで数シーズンぼうっとした光が暗闇を照らす中モデルが歩いているルックではなく、カラーのルックは証明写真のような無機質なもの。
モノクロのルックは椅子1脚に座り、どこか遠くを見つめるようなルックや手をかざして眺めるようなルック。
それぞれのルックにはそれぞれのモデルの一番古い記憶や故郷の風景などについてのストーリーのようなものが文章で書かれている。

私には最初、この意図が分からなかった。
それぞれの女性。
このテーマが何を意味し、この演出が何を表現するのか。
そしてルックは非常にシンプルなテーラード、シャツ、タートルネックを軸としている。
これはこれまでのコロナ渦以降となんら変わりはない。
最終的にはそれぞれの女性の日常の表現かとも思ったが、それはブランドコンセプトにそぐわないのではないか。

1人で考えるのには無理があった。
だから、展示会初日の一番最初の枠、12時に中目黒に向かった。

答えはこうだった。

最初は白黄黒人種関係なく男女両方のモデルを起用する予定だったのがたまたま女性モデルだけになってしまった。
そこで、モデルの自分自身の原風景についてインタビューし、その際の身振り手振りを撮影し、ルックとして発表した。
これをやるには東京ファッションウィーク内でランウェイショーでもビデオ形式のデジタルショーでもなく、ドレスドアンドレスド単体で発表するほうが最適だと判断し、こういった発表形式になったという。

各アイテム、基本的にはオーバーサイズの展開であり、ドレープ感がしっかりと出るような生地感とスーツのような格式的なテーラリングとカジュアルの絶妙な間を狙ったようなテーラリング技術には脱帽するしかない。

また、今期はこれまでよりもタートルネックのルックが多く、かなりドレスな印象を受けた。


3.最後に

さっきから2mm細いとかコレクションのフィッティングにまでこだわってるとか言ってますけど、これほぼ全部デザイナーの北澤さん本人から聞いた話です。

今これを書いてるのが9月11日なんですけど、数時間前にお会いしてきました。
6月15日にも会ってます。
2時間は喋ってました。

しかもこれで会うの5、6回目です。

しかも友達がドレスドアンドレスドのインターンやってるのと、北澤さんに私のインスタを把握されちゃってるので、今この記事を北澤さんに見られること覚悟で書いてます

恐ろしい…。
恐ろしすぎる…。
変なこと書いてたらどうしよう。

ま、私の解釈を交えて書いているのである程度は許してくれるでしょう。きっと。多分。怖すぎる。

ちなみに北澤さん多分ですけど、マルタンマルジェラとセバスチャンムニエ(元アンドゥムルメステールのデザイナー)が好きです。
多分ですけど。

と、3〜4年前に初めてお会いしてからずっと顔覚えて頂いてたり、アイテム購入させて頂いていたりと結構熱量持って書けるし、色々お話させて頂いているから私の解釈も交えて書いたら面白いの書けるかなと思って書いてみました。

これからドレスドアンドレスドはどういった方向に向かっていくのかは分かりませんが、恐らく今のようにとことんミニマムに究極の理想を追求し続けるでしょう。
10年前のようなメッセージ性の強いコレクションも一緒に両方見たい(しかもフィジカルで)というのが私の勝手な希望ですが、その時がもし来るとしたら、デザイナーの北澤さんの解釈した理想に辿り着いた時でしょうか。

いかがでしょうか。
北澤さん、もし見ていたら変なこと書いてごめんなさい。
25awの部分以外は6/15の深夜4時に執筆したものです。
深夜テンションで書いてます。
言い訳です。

おかげでこのまま出して良いのか悩んでしまって数ヶ月お蔵入り状態になって気づいたら25awコレクションの発表シーズンになっていました()

最後までお読み頂きありがとうございました。
バイバイ。

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