深沢七郎
私にはいつも心に残って疼く言葉がある。
「生きてても意味なんかねぇんだ。虫みたいに這いずりまわって生きるだけだ。」
何だか虚無的な事を母がよく言った。
すると、私がこうして、あらゆる事に不安を感じ、怯え、苦しんでいるのも意味などないのだろうか。
母は深沢七郎を例に出し、そういう事を深沢七郎は書いていて、まったくその通りだと思うから悩むなんてバカだ。と私によく言った。
それで私は深沢七郎のエッセイ集を図書館から借りてきて読んだ。
だいたい母が言っていたような事は「非行も行いのひとつだと思う」に書かれてあった。
(ああ、母が言っていたのはコレだな。)
確かに母はこの話をよく言ってた。
女が肺病になって寄りつかなくなっちゃた話をよく言ってたな…。
しかし、そんなんで生きていて、虚しくて苦しくならないのだろうか…。
私は毎日、虚しくて苦しくてたまらない。