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紗世
2022年5月22日 15:05
私は賽の河原で石を積んでいた。ひとつ積んでは父の為。もうひとつ積んでは母の為。私は父の為に石を積むのも癪だったが、地獄の石積みはこういう決まりきったかけ声をぼそぼそつぶやきながらやるもので仕方なく呆けたように石を積んだ。ある程度石が高くなればもう少しで結願だ。私の気がかりは母だった。とにかく母の為になるならば。私はひたすら死にものぐるいで毎日石を積んだ。その小暗い地獄の日々。三途