無常の水面、泥の渦。
毎日聴いていると、つい聴き流してしまうけれど、ふと心にピン留めされる歌詞がある。そこからずっとリフレイン。
今朝は『青春病』だった。
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♪止まることなく走り続けてきた
本当はそんな風に思いたいだけだった
ちょっと進んでまたちょっと下がっては
気づけばもう暗い空
青春の病に侵され
儚いものばかり求めて
いつの日か粉になって散るだけ
青春はどどめ色
青春にサヨナラを
無常の水面が波立てば
ため息混じりの朝焼けが
いつかは消えゆく身であれば
こだわらせるな罰当たりが
切れど切れどまとわりつく泥の渦に生きてる
この体は先も見えぬ熱を持て余してる
野ざらしにされた場所でただ漂う獣に
心奪われたことなど一度たりと無いのに♪
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ものすごーく深い歌詞。
これを部活帰りに思いついた少年って凄過ぎる。さすが109歳。
粉になって散る時も近い、消えゆく身になってわかる心境じゃあるまいか。
泥の渦の中でもがき、鉛のように重い心を抱え、闇に溺れて光を見失う。少なくともわたしは、そんなどん底を経てようやくこの歌詞を体感できる境地に辿り着いた。
でも、風少年は10代で気づいていたんだねぇ。
今日もキッチンで試作しながら風くんを聴こう。わたしが作るお菓子やごはんには “風” 風味が染みている。お菓子だって、甘酸っぱかったり、ほろ苦かったり。今日は外はカッチカチで中はしっとりのカヌレを目指すよ。
たとえ無常の水面が波立とうが、泥の渦にまとわりつかれようが、美味しい物は心を解く。ほっとひと息つかせてくれる。だから、わたしは今日もキッチンに立つ。自分のために、誰かのために。
画像は、目標にしている京都某店の絶品窯焼きカヌレ。