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二人は一人きり。

つるっつるに凍った雪道をよちよち歩いてゴミ出しに行き、ラジオをつけたら『きらり』が流れて来た。

疾走感のある軽快な音にのっているから、つい聴き流してしまうけれど、実はやっぱり風くんらしい深い歌詞。

「二人は一人きり」だし、「最後にゃ愛がいい」のだ。そして、「何かわかったようで何もわかってなくて、だけど、それがわかって本当によかった」。「新しい日々は探さずともここに」あって、「荒れ狂う季節の中も群衆の中も君とならば」すべてがきらりと輝く。

2022年も終わりに近い昨日、重い腰を上げて、なかなか捨てられずにいた過去の遺物をようやく処分した。

無我夢中で頑張って、少しは評価されて、今よりずっとずっと自信を持って自分の人生を邁進していた30代40代。その過去の自分と向き合うことで、不甲斐ない今の自分に落ち込むんじゃないかと恐れていた。実際、帰郷したばかりの頃は自虐的にならざるを得ない環境に打ちひしがれ続けたし。

が、10年以上経ったいま、諦めたし、受け入れたし、それなりでいいかと思えるようになった。あの自分も、この自分も自分。取り巻く環境が変わっても、わたしはわたし。周囲の評価で測るものではないし、自分が納得して満足できればそれでいいや、と。

「無くしてしまったものを振り返ってほろり。時には途方に暮れてただ風に吹かれてゆらり」「新しい日々は探さずとも常にここに。永遠にきらり」

自分の中にある光、輝き。何を手放しても、それは決して失われることはない、恐れることはないと、風くんは歌う。常に揺るがないテーマを、言葉を変え、曲を変えて伝え続けられる彼って、やっぱりすごいな。

「あれほど生きてきたけど、すべては夢みたい。あれもこれも魅力的でも私は君がいい」

2011年4月に帰郷したので、2023年には干支を一巡り。まだ東京で暮らした年月の方が長い。なりたい自分になれて、やりたいことが出来た東京での暮らしは、きらきら輝く宝物。でも、隠棲生活みたいな現状もまぁ、悪くはない。ゆらめくろうそくの灯りのような儚い光でもまぁ、悪くはない。

手放したというより、最初から何も持っていなかった。その時期、今とは違う物が周りにあっただけで、丸裸の自分は変わりない。

「怖くはない。失うものなどない。最初から何も持ってない」という『帰ろう』の歌詞をリアルで体感する年代になった。

「あぁ今日からどう生きて行こう」

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