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くだらない話をします

 春だというのに、相も変わらず日常アニメの描かれない部分みたいな日々を過ごしている。どこかで桜が満開になって、どこかで入学式が行われていて、どこかで誰かが恋に落ちて、どこかで野球選手がホームランを打って、どこかで戦争が起きている。そして僕は真っ白な天井を眺めている。春だというのに。
 身体が重い。いたって健康であるので最近少し太ったせいだろう。そしてそれを起き上がらせる気力もなんだか湧かない。脳みその思考回路にエラーが起きているみたいに、何かを考えようとするのを拒否する。天井も頭も真っ白だ。

 枕もとのスマホからありきたりな通知音が聞こえる。送られてきたのはSNSのURL。何の疑いもなく開くと、少し際どい恰好をした女性の投稿だった。「性的コンテンツやん」とくだらない返信をすると、ノータイムで「こんなんAVの導入やん」と追撃が来た。春だというのに絶好調で下ネタだ。お互い27歳になったというのに、話の内容が出会った当時とそんなに変わらない。もちろん真面目な話をすることもあるけど、基本はこんな感じでくだらない話を永遠としている。本当は時間だけが経っただけで、大して何も変わっていないのかもしれない。くだらない話はその後も続いた。

 さっき開いたSNSを特に目的も理由もなく見ていると、シャニソンの園田智代子が「月曜が近いよ」と歌い続けるだけの動画が流れて来た。

 原曲はチョコデート・サンデーという日曜のデートを可愛く歌った曲なのだが、二番の「月曜が近いよ おしゃべりも遠回り」の「月曜が近いよ」の部分だけが編集されてただ月曜日が近いという現実を突きつけるだけになっている。しかも最初は割とリズムやテンポが合わせられているのに、後半の部分はもうトモダチコレクションで適当に作った曲みたいになっている。この投稿は毎週日曜の午後7時(あと祝日の日も投稿される。月曜ではなくても)にされており、オタク版サザエさんの様な扱いをされている。毎回同じなのにくだらなさすぎて見てしまう。

 くだらない下ネタ、くだらない動画…。「くだらない」ってなんか良いな。思えばずっとくだらないものにすがって、救われて、くだらないことをしてきている。このnoteだってくだらないっちゃくだらない。

星野源さんの「くだらないの中に」という曲がある。

首筋の匂いがパンのよう
すごいなあって讃えあったり
くだらないの中に愛が
人は笑うように生きる

 「くだらない」って実はすごく深いことなのかもしれない。


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