Doomsday Clock
人類の存続に対する危機を象徴的に示すメタフアーとして終末時計(Doomsday Clock)というものがある。
終末時計は、日本への原子爆弾投下から2年後、冷戦時代の始まりに合わせて、1947年にアメリカの科学雑誌『Bulletin of the Atomic Scientists』の表紙として誕生した。この時計は、核兵器の脅威だけでなく、気候変動や生命科学のリスクなど、人類滅亡の危険性が高まる要因を総合して反映しており、0時を人類の終末として「残り◯分」という形で表現される。現在は毎年一度、専門家の助言を受け、時計の「時刻」を修正しているそうだ。
終末時計の創設当初は終末まで残り7分とされたが、冷戦が緩和した1991年には、17分にまで延長された。しかし、2023年の1月には、時計は過去最短となる1分30秒を指し示すことになる。理由はもちろん、ロシアによるウクライナ侵攻だ。そして、今年も終わりに近づきつつある。来年1月には新たな残り時間が発表されるはずだが、おそらく時計の針はさらに終末に近づくことになるだろう。
人類は確実に進歩してきているはずなのに、なぜ今の世界にはこんなにも暗雲が立ち込め、混沌としているのか。残された山積みの問題や繰り返される争いに、諦観と無力感が蔓延するのも頷ける。しかし、僕たちが人類に絶望するにはまだ早い。僕たちは僕たちの世界を、諦めてはいけない。社会は自分たちの手で良くしていくものだ。その希望だけは、捨てずに生きていきたい。