拡張テキスト広告の廃止とレスポンシブ検索広告への移行の注意点とは?
※この記事は初心者~中級者向けの記事です。
2022年6月30日移行、拡張テキスト広告が停止になり、レスポンシブ検索広告に統一される!
この記事をご覧になられているあなたもご存じとは思いますが、これまで、GoogleやYahooの検索広告で主に使われていた「拡張テキスト広告」が今後追加・編集が出来なくなります。
そしてレスポンシブ検索広告のみが追加・編集可能になります。
参照
https://support.google.com/google-ads/answer/7684791?hl=ja
賛否両論あったこの仕様変更ですが、Googleの案内によると、
移行の背景は下記のとおりです。
ユーザーの検索ニーズが多様化している
これまで見られなかった検索語句が増加し続けている
変化し続けるトレンドに対応するため自動化が鍵となる
レスポンシブ検索広告は、機械学習のメリットとお客の創造性と組み合わせられる
レスポンシブ検索広告を使うとより関連性の高い広告を多くのユーザーに表示できる
確かに昨今のCPCの上昇や、品質スコアの変動の背景には、
スマートフォンやSNSの普及があると考えられます。
つまり、これまで正しいとされていた広告の作り方を見直す時期がきているわけですね。
しかし、新しい仕様になったからと言って、無理にGoogleの仕様に合わせることで、セールやキャンペーンといった、その時その時で最も訴求したい広告を表示できなくなる可能性もあります。
(例:セールに合わせた広告カスタマイザが使えない、というケースなど)
このように、GoogleやYahooが提唱する新しいルールに沿った運用をしつつ、その先の勝ちパターンを早期に見つける事が、広告運用者のミッションではないでしょうか。
そこで、今回の記事ではレスポンシブ検索広告の使い方と、その付き合い方についてご紹介します。
レスポンシブ検索広告の特徴とメリット
まず、レスポンシブ検索広告とは何?という点について改めて振り返りましょう。
レスポンシブ検索売告は複数の見出し(タイトル)と説明文をセットし、検索語句に合わせてアットランダムに見出しと説明文を組み合わせたものをGoogleやYahooの判断のもと配信する、というものです。
文章にするとわかりにくいので、図解すると下記のようになります。
レスポンシブ検索広告の特徴としては下記が挙げられます。
スマートフォンやPCなどデバイスに適応した柔軟な広告が表示
検索ユーザーに対して関連性の高い組み合わせの広告が自動的に表示
検索語句の一致率が高まり、オークションでの入札回数が増える
広告タイトルと説明文は検索ユーザーの所在地や、よく訪れる場所、関心を示した地域に合わせてカスタマイズができる
※4については広告カスタマイザについて言及していると思います。
2021年11月現在Googleは広告カスタマイザに対応していますが、Yahooは未対応。
これらの特徴があるため、下記のようなメリットがあります。
組み合わせを自動で判断して配信されるため、運用工数(入稿工数)が削減される
幅広い検索語句に対応できる広告ランクの改善につながる≒CPCの抑制
レスポンシブ検索広告のデメリット
上記でレスポンシブ検索広告の特徴やメリットをお話ししましたが、
完璧なプロダクトは存在しません。
レスポンシブ検索広告にも懸念点やデメリットは存在します。
懸念される点としては、下記の4つです。
ピン留め機能の使い方
更新頻度の高い広告に対しての運用方法の確立
タイトル・説明文・広告表示オプションでの重複のケア
効果検証方法が確立されていない
それぞれの懸念点についてもう少し詳しく見ていきましょう。
1:ピン留め機能の使い方
タイトル1とタイトル2をつなげて、一つの意味のある文章として広告を配信したい、これまでもそうやって配信してきた、という方もいらっしゃることでしょう。
例:不動産の売却査定なら- hogehogeにお任せあれ!
しかし、レスポンシブ検索広告ではタイトルの順番もアットランダムになるため、下記のような日本語として変な文章になってしまう可能性があります。
例:hogehogeにお任せあれ!-不動産の売却査定なら
こういったことを防ぐため、ピン留めという機能を使うことで、予めタイトルと説明文に優先順位を設定できます。
例
広告見出し1:不動産の売却査定なら
広告見出し1の位置:1番目
広告見出し2:hogehogeにお任せあれ!
広告見出し2の位置:2番目
広告見出し3:60秒で査定結果がわかる
広告見出し3の位置:3番目
上記のような設定でピン留めをすると、下記のように見出しの順番を固定できるのです。
例:不動産の売却査定なら-hogehogeにお任せあれ!-60秒で査定結果がわかる
ただし過度の表示位置の固定は、機会損失が発生する可能性があるため、どこまで設定すべきか、という線引きを考える必要があります。
要するに、ある程度GoogleやYahooにタイトルを組み替えさせる余地を残さなければいけないのです。
そうなると、各見出し単体でも意味が通じる内容にしなければならないので、広告表現はこれまでよりも制限が増えて難易度が高くなるでしょう。
2:更新頻度の高い広告に対しての運用方法の確立
レスポンシブ検索広告はこれまでも活用してきたGoogleやYahooの広告エディターで作成・変更が行えます。
しかしながら、KW毎に広告グループを分けて細かく運用しているアカウントの場合は、更新箇所が増える為、工数が増える場合があります。
3:多数の広告表示オプションを設定している場合
レスポンシブ検索広告では、タイトルと説明文を組み合わせた場合に重複や矛盾が発生しないか、ということも気を付ける必要があります。
さらに、広告内容だけではなく表示オプションも複数設定できるため、広告文と広告表示オプションで重複や矛盾が起こらないように注意する必要があります。
4:効果検証方法の変更
これが懸念点としては一番大きいです。
拡張テキスト広告ではAタイプ、Bタイプ…といったようにそれぞれの広告文の成績を比較・検証するABテストが容易に測定できました。
しかし、レスポンシブ検索広告ではアセットごとのスコアしか確認できません。
例えば、下記のような設定の場合、どの見出しにどれだけIMPが付いたか、ということは確認できますが、どの見出し・説明文の組み合わせでCVが多く出たか、ということが計測できないのです。
広告見出し1:不動産の売却査定なら
広告見出し2:hogehogeにお任せあれ!
広告見出し3:60秒で査定結果が見れちゃう
※それぞれの見出しのIMPがどれくらいあったか、ということしか計測されない
これでは、どんな表現がユーザーに訴求として効果的だったか、ということを運用者側で判断できません。
そうなるとIMPが付かない表現をユーザーに好まれない表現として判断し定期的に入れ替える、といった運用方法になりそうです。
逆に言うと、それくらいしか評価・運用する方法がない、ともいえます。
CVを発生させることが至上命題のリスティング広告においては、これは困った仕様ですね。
(はやくアップデートしてほしいです)
Googleはレスポンシブ検索広告で何を実現したいのか?
このように、賛否両論・メリットデメリットそれぞれ大きいレスポンシブ検索広告ですが、今回の仕様変更に際してGoogleはヘルプ上で下記のように案内しています。
以前から提唱されていましたが、マッチタイプによる細かな管理・調整から、部分一致によるターゲティングの自動化への流れが、より明確になったと感じています。
これまでマッチタイプや入札・広告文の管理を細かく行って成果を出してきた広告運用者には頭の痛い話ではあります。
しかしその一方で、多様化するニーズに対して部分一致と自動入札を活用する事で機会損失を補えるようにしているといった、ポジティブな面も大きいでしょう。
まだまだレスポンシブ検索広告の運用におけるベスプラクティスを導けていない、という声も多く聞きます。
そのため、今のうちからテストを行い、知見を蓄積して制御する方法を見つける必要があります。
要するに、恐れずに少しずつトライするしかない!ということですね。
まとめ
レスポンシブ検索広告のメリットは運用工数の削減と広告ランクの向上…
デメリットは重複のケアや計測手法が未確立なこと
Googleは広告の自動化を推し進める気満々でその流れは不可逆
レスポンシブ検索広告のベストプラクティスはテストを繰り返すしかない
自動化をうまく制御する方法を見つけることが今後の広告運用のテーマになりそう
CPCが上昇、CPAが悪化している?そんな時は無料診断!
今回レスポンシブ検索広告への移行についてのメリットと懸念点についてご紹介しました。
移行すること自体は簡単でも、そのあとの評価・分析・運用が難しいという声も多く頂戴しております。
そこで、NTTデータ・スマートソーシングではリスティング広告のアカウント無料診断にを承っています。
リスティング広告の運用歴5年以上のメンバーが運用状況を確認し、広告テストのやり方や評価方法についてレクチャーしています。
無料相談の詳細はこちらをご確認ください。
それではまた次回!
Written by M・O