DSP広告の運用のコツと広告の評価の仕方を紹介!
※この記事は初級者~中級者向けの記事です。
「DSP広告」って実際のところ効果あるの?
運用型のWeb広告メニューで一番多く運用されているのは「リスティング広告(サーチ)」ではないでしょうか。
しかしご存知とおりWeb広告にはリスティング広告以外にも様々なメニューが存在します。
「SNS広告」「バナー広告(ディスプレイ広告)」「メール広告」「レコメンド広告」などがあり、今後リスティング広告以外の広告も試したいと考えられている広告主・運用者もいらっしゃることでしょう。
今回はその中でも広告配信プラットフォームの1つ「DSP広告」について「DSP広告って実際のところ効果はどうなの?」というお話をご紹介します。
補足:そもそもDSPとは
DSP広告の「DSP」とはDemand Side Platformの頭文字を取ったもので ディスプレイ広告の1つ
純広告と呼ばれる「バナー広告」が媒体の配信「枠」を指定して配信するのに対し、DSP広告ではターゲットユーザー、「人」を指定して配信する
DSPは配信精度が高い!ただし大きなデメリットも存在する
2022年2月現在、DSPサービスを展開しているプラットフォームはたくさんあります。
「MarketOne」「Logicad」「ScaleOut」「ADMATRIX」「Sphere」「Criteo」「KANADE」などが代表的なDSPです。
これらのDSP広告の大きなメリットは下記でしょう。
それぞれ独自のターゲティング指標・配信面を持っており、ターゲティング精度が高い
上記を少しかみ砕いて説明しましょう。
DSP広告ではターゲットユーザー、つまり「人・属性」を純広告よりも詳細に指定して配信できるため、精度が高くかつ状況に応じて柔軟に運用できます。
加えて、それぞれのDSPによって配信できるメディアなども異なるため、商品・サービスと配信面・ターゲティング属性が噛み合えば驚くほど成果をあげられる可能性があることもDSP利用のメリットです。
複数のDSP広告を運用することで様々な配信面・ユーザーにアプローチし、効果的な組み合わせを見つけることも、広告運用の醍醐味の一つといえるでしょう。
DSPは初期設定のハードルが高い
YahooやGoogle、Facebook広告にもディスプレイ広告はありますが、それらとの違いはターゲティング精度もありますが、それに加えて運用に至るまでのハードルが高いことがDSPの大きなデメリットです。
ハードルが高くなるのは下記の要因がありからです。
・申込時には新規アカウントの開設やタグ設置などの初期設定が必要・
最低出稿金額が決まっているケースが多い
ある程度の期間の実施(3か月以上の期間の実施が推奨とよく言われています)が必要
Criteoなどのレコメンド広告の場合は動的にタグが発火できるようにタグ改修が必要
これらのように、コスト面・技術面で大きなハードルが横たわっているのが気軽にDSPに取り組みにくい要因でしょう。
DSPは効果を見極めるのになぜ3か月もかかってしまうのか?
上記のデメリットの中でも特に広告主様に忌避されるポイントが「ある程度の期間の実施(3か月以上の期間の実施が推奨)」という点でしょう。
「極端に言えば、バナー素材を入稿したら、あとはただシステムが配信するだけなのに、3か月も配信期間が求められるのは理解できない」と感じたため、そこで思い切って「DSP広告を取り扱っている中の人」(具体的な社名は非公開です)に聞いてみました。
以下が上記の疑問についての回答です。
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検索型「リスティング広告」は、すでにブランドやサービス、もしくはユーザーのニーズがあり、顕在層に見つけてもらえるように運用する広告です。
下記の図でいえば検討→行動の部分だけにアプローチする広告です。
つまりCVRがある程度高いターゲティングに絞って配信できるメニューといえます。
一方で「DSP広告」は下記の図のほぼすべての層にアプローチし続けるタイプの広告です。
顕在層だけでなく潜在層にもアプローチを続けて成果にたどり着くタイプの広告なのです。
こういった性格があるため、継続して露出することで、じわじわと反響が見えてくるため、短期間で即・獲得を狙うという目的にはあまり向いていません。
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このように、DSP広告は中期的にCVの底上げを狙う戦略においては機能しやすい性質があります。
とはいえ、DSPでも短期に成果を上げるための方法がないわけではありません。
フォームまで到達したユーザーへのリマケ配信など、ある程度顕在化したユーザーへの配信を強めることで成果を求めることもできます。(とはいえリマケはDSPでなくても実施できますが)
また、配信実績をもとにターゲティングを変更するなどの運用変更を行うことで、成果改善に結びつくケースもあります。
DSPのKPIはアトリビューションを加味して設定しよう
私の個人的な感覚ですが、DSP広告を運用するには媒体社様とコミュニケーションを取りながら、広告主様の商品・サービスと配信ユーザー様をイメージして、細く、長く、育てていくようなイメージで運用すると成果が出やすくなります。
つまり「こういう設定で配信してね」と投げっぱなしで成果を出すことは難しい、ということです。
対象となりうるユーザーに届いていれば、クリック率(CTR)やクリック単価(CPC)が改善するなど、安定的に推移していきます。
逆にCTRやCPCなどのスコアが悪化したら、バナーを変えたり、配信先を精査したり、ターゲティングを見直したり、といった改善施策を考えて、定期的に継続していくことが重要です。
もちろん、GAを見てターゲットユーザーの挙動などをチェックすることを忘れてはいけません。(参考はこちら)
なおKPIとして、広告主様とコンバージョン獲得単価(CPA)を掲げて運用を開始すると、ほぼ確実に契約継続になりません。
先ほどもお伝えしたように、DSPはラストクリックCVが獲得しにくい傾向があるため、KPIとしてラストクリックCV数・CPAを設定すること自体が適切ではないからです。
KPIとしては、アシストCVなど広告以外の媒体を含むCV数の底上げに時系列で見た場合にどれだけ貢献したか、つまりアトリビューションをもとに設定・可視化すると良いでしょう。
クリエイティブの鮮度は、1〜2ヶ月!
ディスプレイ広告には、どのくらいの本数のクリエイティブ(バナー)を登録すればよいのでしょうか?
多ければ多いほどいいのか、どんどん入れ替えたほうがいいのか?効果がいいものを長く掲載したほうがいいのか。といったことを疑問に感じたことがあるかと思います。
商材、ターゲティング、予算などによって、一概には言い切れませんが、クリエイティブの鮮度は1~2か月を目安に、定期的に入れ替えたほうが良いです。
反響が高いクリエイティブでも、何度も同じユーザーの目に触れれば、見慣れてしまい、飽きられてしまうため、徐々にCTRは低下します。
また、同時にあまりにたくさんの種類のクリエイティブを掲載すると、数値の偏りがわかりにくくなり、検証が難しくなります。
そのため複数パターンを試す場合にしても2,3パターンのサイズ違いを掲載し、1~2か月で入れ替えるということを定期的に行うと良いでしょう。
そういうサイクルを繰り返しながら、勝ちパターンが見いだせれば、勝ちパターンをもとに効果的なPDCAサイクルに乗せることができます。
また、運用型広告の強みを活かすため、クリエイティブのみならずターゲティングでも、ABテストをしっかりと行う事が重要です。
配信前のシミュレーションだけでは、ユーザーの動きを想定しきれません。
実際の配信数値を基に、細かく配信調節を行う事が成功に近づけるための地道な努力が必要です。
リスティング広告・SEOとの相乗効果について
DSP広告とリスティング広告は非常に相性がよいと言われており、併用が推奨されていますし、私も絶対に併用すべきと考えています。
先ほども述べたように、DSP広告は、いまサービスを探している人ではなく、「探してくれそうな人」「前、探していた人」つまり潜在層をターゲットにする広告です。
一方でリスティング広告は、顕在層をターゲットにした広告です。
リスティング広告で一般的なキーワード(例えば「不動産 売却」)に配信した場合、他の多くの人々もそのキーワードを狙っているため、ライバル企業との入札競争の影響を受けてしまいます。
特にリスティング広告への出稿量が年々増加しており、一般的なキーワードのクリック単価は時を追うごとに高騰する傾向にあります。
一方、企業名やブランド名、商品・サービス名などの固有名詞を検索、つまり「指名検索」してもらえれば、よりCV見込みの高いユーザーを獲得できます。
そのために、まずはDSP広告のディスプレイ広告で、
自分の会社や商品・サービス名を知って覚えてもらう。
↓
指名キーワード検索数を増やす。
↓
高CVRが見込めるユーザーが増えることで、結果的にCV数が底上げされる。
このように、リスティング広告やSEOへのアシストとしての貢献が見込めるため、DSPの配信は決して無駄うちになるとはいえないのです。
とはいえ、これらの貢献度を可視化する努力をわすれてはいけません。
広告を配信するだけでなく、そのあとのユーザーの挙動まで分析する仕組みを作ることも重要なのです。
まとめ
DSPは配信までのハードルが高いがうまくかみ合えば大きな成果を出す可能性がある
最終CVではなくアシスト・アトリビューションで評価しよう
クリエイティブの鮮度は1~2か月が目安。定期的に入れ替えよう
リスティング広告やSEOとの相性がよいので併用すべき
なんだか最近広告の成果が悪化してる?そんな時はGA無料診断をしてみよう
この記事でも紹介したように、ラストクリックCVだけで広告の成果を正しく評価できなくなっています。
広告だけでなく、GAやタグマネージャーまで含めた複合的な視点での分析・改善施策展開の重要度が高まってきているのです。
もしかしたら、あなたの会社のWebサイトでもGAの深い部分や、サイトの細かい箇所、アトリビューション設定などを点検しなければ広告効果を判断できなくなっているかもしれません。
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それではまた次回!
Written By Y/K