京都
とんとんと。
ワイヤレスのイヤホンをケースにしまいながらハイティーンの彼女が駅の階段を降りてくる姿が見えた。
ロータリーではヘルメットをかぶった彼がそれを見ていて、手にはもうひとつヘルメット。
夏の夜はおそくにやってきて、すぐに明けてしまうから。さぁいそいで。
さて眼前で繰り広げられる青春とは違った形をしたものだが、おれにも青春もたしかにあって。
やたらと高鳴りする改造スクーターのエンジン音が、おれのイヤホンから流れる京都産のロックンロールに重なる。
な、な、なんと。
騒音寺の全ての作品がサブスク解禁になったということで、今朝から順番に聴いてきて、今はちょうど「まにぐるま」の中盤あたり。
言いたいこと〜を〜言っちゃいるけど〜
自動車の免許を取得したあたり、親父に借りたミツビシ製ワゴンの中でよく聴いていた。カラーはパールの入ったホワイトだった。
タバコは吸うなよという言いつけをよく破って怒られたし、返す約束も二日三日オーバーしてたっけ。
な〜にかいいこと〜ないかな〜
これまた京都産の古い口癖を唇に貼り付けていて。
いつもありがとう。