奇妙な楽器
おれも楽器ができたらなァ…
というのが口癖であった。
よそで会うには会うが。
久しく家には行かぬような。
そういうやつがいる。
このたび彼の家に十年ぶりに訪れた。
なにこれすごない?!
いやぁ、すっかり凝ってしまって!
しばし談笑の後、奥の部屋に通されると、そこにはギブソンからフェンダーからエレキギターが壁一面にディスプレイされている。
じゃーん!こっちはアコギ部屋!
しばし試し弾きの後、さらに奥の部屋に通されると、そこにはギブソンからマーチンからアコースティックギターが壁一面に。
じゃーん!ここが見せたかったのよ!
しばし小さなコンサートの後、さらに奥の部屋に通されると、そこには…
なにやら見たことのない言語が装飾されたロゴが記された、見たことのない楽器が八畳部屋に無数に転がっていた。
彼はその中からパソコンとシタールが合体したような歪な鉄製楽器を取り出し、ロシアンアバンギャルドなアートが描かれた電子レンジみたいな箱に接続すると、にやにやとおれにそれを手渡した。
これを弾いてもらいたくてさ!
手取り足取りも不明なまま、百はあろうかと思われるボタンとボタンを繋ぐ凧糸をのようなものに触れると。
みょーん、みょーん、みょーん。
と。どこから?
ズボンのポケットにしまってあるアイホンから小さな音が鳴っているらしい。凧糸を強く弾くとそれに合わせて音は大きくなるようだ。
これなになの?
これ実は今、世界中のアイホンからこの音が鳴ってるんだよ!
へぇ!!!
というのは夢オチな話なんだけれど。
ンダがボーカルするイタズラ(iTAZRA!と表記する)のライブが来週末にあります!
これは夢じゃない!今夜100%!
気軽に自由に来てね〜、きみを待ってます!
いつもありがとう。