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【告知/第4話 特集編】POP UP STORE "音標本箱"

音を採取し3Dプリントすることで物質化する取り組み「音標本」
今回はプロダクト製品としポップアップストアをND3Mが主宰します。
そして、コラボクリエイターとして髙相拓己(TOTTI)さんにも出展して頂くことになりました。

第4話は、ND3Mメンバーが高相さんにインタビューを行った特集編です。

Collaboration Creator

髙相拓己(TOTTI)
1999年神奈川県生まれ。コロナ禍を機に購入した3Dプリンターを用いてスマホケース、照明、本棚など身近なものから一つ一つ制作することを目標に掲げる。早稲田大学大学院創造理工学研究科建築学専攻修了。

Special Interview

池本:みなさんこんばんは。今回はコラボクリエイターである高相さんにいろいろ聞いてみたいと思います。

Q:普段どんな作品を制作していますでしょうか。

高相:最近、制作している物を中心に紹介します。1つめはジェスモナイトを使った作品と、2つめは照明や光を生かした作品です。

ジェスモナイトを使った作品1
ジェスモナイトを使った作品2

高相:まず一つ目のジェスモナイトを使った作品についてです。ジェスモナイトには主に2つの手法があります。1つは今まで3Dプリントした造形物で失敗した物を自分で砕いたものを用いて固めた物(画像:ジェスモナイトを使った作品1)、もう1つは3Dプリントしたものにジェスモナイトを刷り込んで固めるというもの(画像:ジェスモナイトを使った作品2)です。

高相:どちらも違う手法ですが、3Dプリントして失敗したものや後から振り返って納得がいかないものを、ジェスモナイトを用いることでリニューアルすることで、失敗したものを愛でてあげようというスタンスです。

池本:ジェスモナイトを用いることで生まれる特徴について教えてください。

高相:ジェスモナイトを刷り込むことで強度は強くなりますし、何よりも重みがでます。3Dプリントしたそのもののプロダクトは50g-100g程度ですが、ジェスモナイトを塗り重みが増すことで、よりプロダクトの質としても強度が増すと考えています。

池本:次に、照明の作品について詳しくお聞かせください。

高相:考え方として、3Dプリントして作ったものに対して光をあててあげることで、3Dプリントした造形そのものの時とは違うものが見ることができるということに対して面白さを感じて制作している作品です。

高相:自分自身が使っている3Dプリンターではせいぜい造形物は220mm×220mm程度の大きさです。それに対して、光を投下し、そして部屋を真っ暗にすることで、部屋全体を自分が設計したシェードの影で包み込むことができます。220mm×220mmから飛び出して大きな空間へ広がっている現象が楽しいと感じています。

高相:これは夏に友人とキャンプに行った時のものです。毎年、ジオデシックドームを組み立てるという取り組みをしている友人がいます。そこで自分が3Dプリントして制作した照明を吊るしてみると、ドームに愛着がわくような気がします。
このように、周りのものに対して、自分がどう愛着をもつか、という時に3Dプリンターが一役買っているような気がします。

池本:ありがとうございます。素敵な作品たちですね。さて、次にお聞きしたいのはきっかけについてです。

Q:3Dプリンターを触り始めたきっかけについて教えてください。

高相:僕が学部3年生の時、まさに1番設計課題が忙しい時だったのですが、コロナが流行し、外に出られない期間が続きました。当時、アルバイトをしていましたが、本当は旅行にいくために貯めていたお金で、コロナ禍の中ではそういったお金も使うことができませんでした。さらに、せいぜい10-20平米ほどの部屋に閉じこもり、パソコンでポチポチと設計をしている状況に対する葛藤がありました。
その中で「ちょっとお金を使って3Dプリンターを買ってみようかな」と思ったことがきっかけです。

高相:最初に、自宅の本棚を作ってみました。その時に、こういったジョイントをデザインして3Dプリントしています。1:1で何か作るという機会が当時の僕にはなかなかなかったため、非常に印象に残っている作品です。

池本:ちなみに、3Dプリンターそのものを知ったきっかけについても知りたいです。

高相:存在自体は知っていました。ですが、まさかAmazonで買えるものだと思っていなかったです。たまたま休学していた先輩と話す機会があり、その方が様々なものに手を出していて、光造形機を買ったという話を聞かせてくれました。そこで、「僕らにも買えるものなんだ」と初めて知って、自分も手を出すようになりました。

池本:誰かが使っていると手を出したくなりますよね。自分自身も学生時代にアルバイトをしていたアトリエのボスが模型製作で普通に使っていました。その様子をみて、アルバイト作業の中で自分自身も使うようになり、その後、自分自身でも買ってみようとなったことが私自身のきっかけです。

鷲見良:高いものだというイメージがありますが、自分で買えるんだと気づくタイミングがどこかにあったり、布教してくれる友達がいたりすると、自分もやってみようかなと思いますよね。

鷲見良:僕自身については、3Dプリンター自体はかなり昔から知っていました。でも3Dプリンター銃のイメージしかなかったです。ですが、高等専門学校時代に、電気系や機械系の友人やロボコンにチャレンジしている友人が周りにいて、その友人たちが使いこなしているのをみて教えてもらいました。そこで、自分自身も購入したというのがきっかけです。最初は自分の建築模型のスタディに使うなどしていました。何度も使っているうちに、「新工芸舎」さんの作品たちに憧れを抱くようになり、僕が今も継続して制作をしている原動力となっています。

田川:僕自身もみなさんと同じように、周りの影響が大きいです。レーザーカッターを自身で購入して使いこなしている先輩の話を聞いて、ファブマシンを自分で買うという選択肢があるというのを知りました。
はじめて3Dプリンターを知ったきっかけについては、京都工芸繊維大学にあるD-Labです。デザイン系の人がプロトタイプで使ったり、ジオラマ系の模型を作ったりするイメージが最初はありましたが、ND3Mをはじめとし、パビリオンや建築スケールへ応用しようとしている人たちの存在を知り、印象が変わりました。

鷲見良:やっぱり周りでなんとなく使っている人がいおて、意外とできるんだとスタートする人が多いんですよね。

高相:ライノセラスなど3Dモデリングソフトが使える人にとっては、使いこなしやすいかもしれません。

鷲見:その点でいうと、建築をバックグラウンドにした人たちは3Dモデリングソフトを使える人が多いため、3Dモデリングを1から覚えるというハードルが比較的なく、取り組みやすいとは思います。

Q:どういうことを大事にしてアイデアを生み出していますか?

高相:ボタンを押して何時間か待って完成というだけにならないように工夫をしています。何かと組み合わせたり、レーザカッターと組み合わせたりなどをしています。

高相:それは改めて考えてみると、3Dプリンターでアートを作るような作家になりたい訳ではなく、多種多様なマテリアルを扱うような、あくまでも「建築」として3Dプリンターを使いたいのだと思います。いろんなものを編集するというような立場で3Dプリンターを使いたいと最近は腑に落ちて感じています。

Q:最近、興味あることについて。

高相:春休みに修士設計展を行いました。展示空間を一室丸ごと設計するきっかけがあり、大きな空間で3Dプリンターやレーザカッターやその他のさまざまな技術を使って空間を作ってみようみたいなことに興味を持ちました。自分自身は建築設計事務所に就職を春からしましたが、それも踏まえて、建築への道へ一歩足を踏み出したという背景があるのかもしれません。

Q:今回の展示への意気込みを教えてください。

高相:自分自身が、この春から社会人になったタイミングでの展示なので、今後、どうやって本業である建築設計をやりながら、3Dプリンターと向き合っていくのか考えるきっかけにしたいです。趣味として3Dプリンターを用いた製作をするのか、何か友人やご縁があったみなさんと活動を今後もしていくのか、はたまた、どんどんやらなくなってしまうのか…分岐点に立っていると個人的には感じています。今回は良い機会を頂いたので、まずはやってみようと、今後の自分の1つの姿勢を示してみようと意気込んでいます。

高相:また、自分自身は、普段は「自分で使う」ということを最初に考えています。それは、作ったものが誰も欲しがらなかったとしても自分が使うから文句ないでしょうというスタンスです。ですが、そうすると、結局、1人で閉じこもっていしまうので、他の人と一緒に展示するという機会は自分自身にとっては非常にチャレンジングなことだと思っています。

鷲見良:僕はND3Mの今季のテーマである「モノとしてのクオリティをあげる」というところに1番注力しています。実際に作ったものがパブリックなものになるということに対して怖さはありますが、なんとか跳ね除けて、他の人が手にとることができるものをつくりきる、というのが今のモチベーションです。

鷲見良:昨年は技術開発やワークショップで即興的なことが多かったです。ですが、今回のポップアップではじっくり時間をかけて作ってみるということにチャレンジしていて、その中ですごく気を遣わないといけない点が見えてきました。プロダクトを製作する流れを知ることができ、とても勉強になっています。

田川:ND3Mとしては音標本の取り組みは長くやってきたと思います。最初はプロトタイピング的なものからはじまり、段々ワークショップにつながり、今回は展示・プロダクト開発に繋がっていて、このように何か新しい展開へ繋げていくということが今後のND3Mの方向性も示すことができるきっかけになると期待しています。

田川:ワークショップでは技術をどう伝えるかに重点がありました。ですが、プロダクト開発では言葉ではなくて、見た目から伝えなければなりません。コンセプトと技術を、完成されたプロダクトとして伝える・バリエーションを出していく、という点にとても面白さを感じており、表現につなげたいです。

池本:みなさん、熱い議論をありがとうございました。
今回は、クリエイター紹介を行いましたが、実際の作品もぜひ手にとりにきてください。

POP UP STORE

日時:2024年4月27日(土)〜4月28日(日) いずれも10:00〜18:00
場所:gallery yururi
東京都目黒区緑が丘2-7-13(東急東横線/大井町線 「自由が丘駅」から徒歩約7分)事前予約:不要


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