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【Vol.4】ナガセケムテックスと私の”化学反応”

こんにちは。ナガセケムテックスです。
 
ナガセケムテックスには、さまざまなバックグラウンドをもった個性豊かな社員がたくさん在籍しています。
 
ナガセケムテックスと出会ったことで、社員にどのような”化学反応”が生まれたのか―。
ナガセケムテックスと私の”化学反応”」では、ナガセケムテックスで働く社員一人ひとりにスポットライトを当てて、深掘りしていきます。
 
第4回目は、精密加工材料事業部 設計開発部 WPC課の今野 光三さんにお話を伺いました。
 
※記事中の組織名・役職等はすべて取材時のものです。



プロフィール

自然を支配する法則を明らかにしたい

学生時代はどのようなことを学んでいたのでしょうか?

東京理科大学で、学部から博士後期課程まで分光分析学を専攻していました。
分光分析学は、目には見えない分子の性質を、レーザー光などを当てることで分子がどのようなふるまいをするかを研究する学問です。特に、液体中の分子構造を明らかにする新しい分析手法の開発をしていました。

歴史好きとも通じる部分があるのですが、もともとは遺跡で発掘されたものの年代分析でもよく使われるX線や放射性同位体元素を用いた分析手法の研究をしたいと考えていました。研究室選択の際に、液体中の分子分析を専門とする先生に出会って、人間の体や地球の大半を占める水の中での分子のふるまいや秘密を探ることは、生きている世界そのもの、自然を支配する法則を知ることにつながるのでは、と強く興味を持ち、その先生の研究室に入りました。 

特に印象に残っている研究が、ヒアルロン酸やコラーゲンのように、水を吸収する高分子の構造と吸水する割合を分析して明らかにしたことや、クモの糸の強靭性の研究です。材料の機能が発揮されるメカニズムを分子の構造レベルで明らかにすることがとても楽しかったですね。 

どのような学生でしたか?

修士課程までは、かなり完璧主義に近いまじめな学生だったと思います。ただ、途中で研究者としての限界を悟ったんです。恩師や1つ下の後輩がすごすぎて、かなわないなと。心も折れかけましたが、マインドチェンジをして、完璧なものでなくても新しい価値をたくさん生み出そうと考えるようになりました。そのために「文献検索の鬼」となって、世の中にあふれている使えそうな情報を必死に収集しました。

楽しみの源泉は目標達成までのアプローチのプロセスを考えること

前職ではどのようなことをされていたのですか?

博士後期課程修了後の2011年から約9年間、化学製品・食品添加剤メーカーで、ガラス基板の洗浄剤を開発していました。ガラスをきれいにするには、ガラス表面の状態がどうなっているかを分析することが有効で、学生時代に学んでいた分光分析の知識がとても役に立ちました。
また、顧客課題の本質を見極めて製品化につなげることや、既存市場だけにとらわれない開発の重要性を学びました。

その後は、製品企画に携わりました。市場ニーズを明らかにして、そのニーズを満たす製品、新しい価値を生み出す仕事をしていました。他にも技術営業や、経営企画も経験しましたが、どれも楽しかったですね。

目標や課題に対して、どのようにアプローチするか、というプロセスを考えることが好きなので、仕事の種類を問わず、どの仕事も楽しむことができたんだと思います。振り返ってみると、学生の頃からそうでしたね。

その後、2020年にナガセケムテックスへ。入社の一番の決め手はなんですか? 

転職活動では、自分の経験やスキルを活かして、「新しい価値を創造するものづくりをする」という自分のやりたいことができる会社を探していました。前職で技術営業を担当していた頃に出張で関西に来ることが多くて、関東に比べると人も少なくて物価も安く暮らしやすそうだなという印象を持っていたので、関西に絞って転職先を探していました。

なにより、前職で長瀬産業の営業の方と一緒に仕事をしていたので、ナガセケムテックスという会社や製品を知っていたということが入社の決め手になりました。ナガセケムテックスは、グローバルネットワークを持つ化学系の専門商社のグループ会社なので、自分のやりたいことをできるのではないかと思い、ナガセケムテックスを選びました。

また、ナガセケムテックスおよび精密加工材料事業部が、既存の事業領域にとらわれず、周辺及び新規分野への進出を進め事業領域を拡大することを強く志向していたことも、私の思いと共鳴する部分があり、決め手の1つとなりました。

批判的思考、水平思考で新たな価値を生み出す

現在は、どのような業務に携わっているのですか?

既存分野のお客様向けの製品提案・製品開発や、新たに参入を目指す分野のお客様向けの製品開発を行っています。例えば、フォトリソグラフィと呼ばれる、感光性樹脂を利用した電子回路形成工程で使用される剥離液やエッチング液といった薬液(ケミカル)が現状の主力製品で、主な対象市場はフラットパネルディスプレイや半導体、電子部品業界です。

特に、半導体に関しては、まだ参入できていない分野に向けた開発活動を進め、徐々に成果が出始めているほか、先端半導体分野のニーズに応えられるよう、技術開発も進めています。

また、事業部が保有する技術の棚卸し、新たな展開先の模索など、将来を見据えた事業ポートフォリオの転換に向けて取り組んでいます。これまでの経験に加えて、多くの方の協力を得ることで、私が開発に携わった複数製品の販売が始まるなど、コア業界以外の新たな分野向け製品の実績も上がり始めています。

その成果はまだ十分とは言えないですが、今後も新規分野での成長加速を目指した探索活動と、半導体業界向けケミカルを含めた既存事業の深化活動を着実に進めて行きたいです。

新たな価値を創造するための秘訣はありますか?

製品を作るうえで重要なのは、「顧客への提供価値は何か?」を考えることだと思っています。そして、提供価値が何かを考えるうえで批判的思考(クリティカル・シンキング)や水平思考(ラテラル・シンキング)が有効です。

つまり、世の中に多く存在する既存の技術では解決できない問題に対して、批判的思考によって前提を疑って、問題の本質的な部分を捉え、保有する技術を別分野で応用するなど、解決策を水平思考によって見出すことが大事だと考えています。

個人的には「枯れた技術の水平思考」という任天堂の考え方が好きで、確立された技術を応用することで、製品化がスピーディに行えるというメリットもあり、参考にしています。
さまざまな思考方法と、収集した情報を組み合わせることで、新しい価値は創造できるのではないかなと思います。

常識をわきまえ、常識にとらわれない

仕事に対する価値観は何ですか? 

学生の頃に指導教官から言われた「常識をわきまえ、常識にとらわれない」ということです。この業界は、専門用語や装置・設備に関する知識が必要とされます。専門知識を持っていなければ、批判的思考や水平思考にも行きつきません。最低限の「常識」をわきまえたうえで、我々はどうするのかを考えていくことが大切だと思います。 

今後どのようなことにチャレンジしたいですか?

新しい価値を創造し、製品として世の中に提供していきたいです。特に、環境分野に注力したいですね。海外のお客様からも環境への対応を求められることが多くなっていて、環境対応製品の提供の重要性が増していると身を持って体感しています。

また、開発業務そのものに関しても、効率的にスピーディに行えるようなシステムを浸透させ、企業としての成長に貢献していきたいと考えています。


批判的思考と水平思考、情報を駆使して新しい価値を創造するというお話がとても印象的でした。常識にとらわれない発想で、今後どのような製品やサービスが登場するのか、非常に楽しみです。

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