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米不足(米価高騰)に関する考察




そもそも米価が高騰するのは、令和6年4月の段階でわかっていた

  •  令和6年4月ごろ、令和5年産の一般流通用の玄米確保在庫は、例年に比べて異常な速度で無くなっており、4月の段階で相対取引価格は、例年よりも300円上がって来てきていた。平年だと早くて6月には九州地方の稲刈りが開始されるため、先物的には価格は変更がないか下がるのである。しかし、今年の相対取引価格はその後も上がり続けた。また、農協の玄米契約数は需要が多く上回り、新規契約が出来ない事態になっていた。

https://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/syokuryo/240730/attach/pdf/240730-71.pdf  相対取引価格の推移(税込) (全銘柄平均価格)

全国的な刈り取り前の米価高騰

  •  8月期は一般流通米の玄米の新規契約を随時で行っている業者には、当然新規契約が出来なくなったため米が入らなくなる。銀行の取り付け騒ぎのような雰囲気が市中で起こり報道はこの情勢に拍車をかけて、近年稀にみる相対取引価格は古米になろうとする米につけられた。          

  •  大体この時期に今年の米価の雰囲気は出てくるが、九州地方の米価が作柄が良いのにも関わらず5000円近くも米価を発表されると、関係者は「今年は違うぞ」と焦り出した。

平年作なのに米騒動

  •  しかし、秋田・新潟の状況から米不足が深刻になる可能性はありえたが、9月時点での全国的な作況指数は平年並みであったので、米不足にはならないが価格は令和5年産当初の米価の±3000円近くで決定するだろうと思われた。ところがなんと新米が23,000円という相対価格を弾きだしたのである。

  • 農協は概算金という農家との契約金があるため、確定する時間が必要であるが、業者は米価の先物を見てすぐ価格変更を提示できる。米の自由化が行われて久しいが、そういった業者に米が流れる状況があったため、適正価格で消費者に提供出来ない事態が起こった。地方農協は何度も価格改定と概算金改定を行うが業者には後手後手になる。本来こういったことが起こった場合は、農業団体が圧力をかけて政府備蓄米を出すなどの交渉を行うが、当の政府は発言すらしなかった。米作りにかかる資材高騰や人手不足によって、下げ止まりだった価格が一気に解放され上昇した状況だったのだ。

今後の見通し

  • 令和6年産は今後も米価が上昇する可能性が高い。契約在庫数と一般流通米は、おそらく今回の米騒動により先食いが平年よりも多いため、相対価格は、3月頃にまた上昇する可能性が高い。また、今回の急激な価格上昇により、農協が被った損失が大きいため確実に農協も価格をあげるだろう。そんなときに備蓄米の放出や生産調整の緩和を政府が行うかと言えばなかなか難しく、また農家でも問題が起こっており、令和7年度産についてもおそらく米価は上昇するのは避けられないと思われる。

※評判が良ければ、構造的な問題を追記します。


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