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今日のトピック:出生率を上げる提案
SNSで話題になっている日本保守党 百田尚樹氏の出生率を上げる提案を要約すると
「女に高等教育は無用、晩婚はダメ、そのうえ、30歳を超えたら子宮摘出させる。社会構造改革で女性が子供を産むようにする」。
これに関連して、高校生の時に書いた一文を思い出しました。以下、その文章です。
新聞の婦人雑誌の広告に、戦後、三千人の人工受精児が生まれたということが大きく出ていた。優秀児が多いと書かれていたから、多分、非配偶者間の人工授精のことだろう。
いつか雑誌で読んだことがあるが、慶応大附属病院で主に行われていて、学生の精子が使用されるということだった。
世の中に存在するすべての道徳的観念を否定するならば、この非配偶者間の人工授精はどんどん普及するだろう。
第一に、優秀児を産むことは全世界の母親の望みである。第二に、今まで虐げられてきた女性の力が増大し、社会の通念はすべて逆になる。要するに馬鹿な男は必要ないということだ。
今に精液銀行ができて、精液売買なんていう商売が現れるかもしれない。そして、優秀な精液ほどお値段が張るということになると、世の野郎族はこぞって優秀性を宣伝し始めるだろう。
しかし…
男は言った。
「僕は君を愛している。だが、君は…」
女は、彼の言葉を遮るように答えた。
「私だって、あなたを愛しているわ。だけど、私、あなたの子供は産まないわ。あなたは優秀でないもの。ただの凡人ですもの。私は精液銀行の優秀な子供を産みたいわ」
男は絶叫した。
「では、僕たちの愛は…」
女はびっくりして言った。
「僕たちの愛? ええ、私たちはお互いに愛し合っていてよ。けど、私たちの愛と私の子供とは関係ありませんわ」
暫しの間、沈黙が続いた。
男の目はギラギラと異様に輝き、ほとんど怒っているようだった。
「では、僕たち男は、愛という名に被われた女の玩具にすぎぬのか。ああ、世の中は狂っている。すべてアブノーマルだ」
吐き捨てるようにそう言うと、男は急ぎ足で去っていった。
(こんなことになるかも…。)
1967.3.5