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私の独り言⑯宅配弁当パート勤務

これまでしてきた仕事の中で忘れられない大変だった職場がある。


家族の入院などで暫く仕事をしていなかったが、そろそろ始めたい…と職を探してご縁あって勤め始めたのが宅配弁当のおかず詰めの仕事だった。

お昼から短時間のパート勤務。


中年の男性オーナー、少人数のベテランパートさん達がテキパキと働いていた。

本社が決めたメニューがあり、その食材は冷凍で送られてくる。それを湯煎したり揚げたりしてプレートに詰める作業が主な仕事だった。

初日からオーナーに少しキツイ口調で注意される事が多々あり、かなりストレスになったが早く慣れようと必死で頑張った。


ある時には髪の毛が保護ネットから出ていると注意される。

髪の毛1本入っているだけでお客様に不快な思いをさせてしまう、それが原因で顧客が減ってしまう原因となる事を、強くキツイ言葉で注意された。

別の時にはおかずをトレーに入れる量が均等でない、スピードが遅いと注意された。

その時もお客様によって量の違いがあっては不公平になる、届けるのが遅くなってしまう、などなどまだ勤め始めたばかりの私に対して強くキツイ言葉で注意された。

なんだか不安でいっぱいになっていった。

このまま続けられるのだろうか。

辞めたい…と思いながらなんとか続いた。

そんな中ベテラン先輩パートさんが辞めるという。他にもパートさんはいたけれど最初に仕事を教えてもらった方だった。

「辞めちゃってごめんね。今まで辞めるに辞められなくって。あなたが来たからやっと辞められる」

えぇ~っ???!

残された私はどうなるの~って感じた。

彼女が辞めて暫くすると、オーナーから今後ご飯炊きをやってもらうから、覚えてほしいと依頼。

辞めていった彼女がやっていた業務。


その日の注文数をオーナーから聞く。

米の量と水分量をそこの店独自の決まった法則で計算し、お米を研ぐ。

その後水の量を計って入れ、炊き上がりをタイマーでセットするまでの一連の作業を任された。

私が失敗したらどうするんだろう…と毎回不安がよぎったがやるしかなかった。

それからもご飯をトレーに移す時美味しそうに盛ってない等などなど、それはそれは細かく注意され続けた。


そこにはちょくちょく求人誌をみて応募して来た方が働きに来るが、ほとんどの人がオーナーからの注意が納得いかず数日で辞めていく。

あるかたは初日、トレーに入れるおかずの盛り方が悪いと注意された。それに腹を立て結局オーナーと言い争いをした後そのまま辞めていった。

間違いなくオーナーの言い方が原因なのだ。今日仕事をし始めた人間に細かく注意してもきっと苦痛が増えるばかりなのに、強い口調で注意している。注意している内容は間違っていないが、私にもパート初日の人にも同じ口調で注意している。初日私も辞めたくなったのを思い出す。

ピリピリとした現場でなんとか頑張り続けた。

半年程経ったある日。

隣町の系列店が店を閉め、その分の注文を引き受ける事になったらしく、私に早朝にも時々で良いので勤務してもらえないかと依頼がある。

朝7時からの勤務は、悩んだ。

子供達は小学生。子供達の朝食は勤めに行く前にテーブルにセットし、起きて~と声だけは掛ける。その後は各自自分で起きて準備、学校に行ってもらう。

自分の責任で頑張ってもらう良い機会と思った。それからは子供達が寝坊しても仕方ないと割りきって仕事に行った。

何度か寝坊したみたいだけど…なんとかなるものだ。


そうして一年半。

ストレスだろう、髪の毛に白髪が…吹き出物が…身体に蕁麻疹が…そして下の子供が小学生から中学生に。

下の子供が中学生になったら正社員で社会保険の保証がある所に勤めたいと考えていた。期限があるから頑張れた気がする。今だったら即辞めていただろう。私はどうやら頑張りすぎる傾向があった。



そろそろ辞める時が来た。

オーナーに辞めたいと伝えた。

オーナーはうろたえた。一言もそれまで辞めたいと伝えたことがなかったのもあってびっくりしていた。辞めないで欲しい、時給を上げるからとまで言われた。社会保険の事を伝えると…うちでは付けることができない、わかりました

と納得してもらえた。

仕事最終日「あなたには感謝している。他支店が閉鎖し事業を請け負うかどうか悩んだ時、あなたがいてくれたから受けようと思ったんです。お陰で約2倍の件数をこなす事が出来る様になれたのは本当にあなたのお陰です、ありがとうございました」と言ってもらえた。

帰宅時、心がとても軽かった。


初日からオーナーに沢山の注意を受けた。悔しかった。何故こんな風に言われないといけないのか…

注意を受けているうちに、このオーナーから辞めないでと言ってもらえるようになろうと開き直った。


願った通り辞めないでと言ってもらえた。

勝ち負けでは無いと思うが。

勝った。

全くの個人的な感情だが、とても満足感があった。

もちろんストレスがかなりあったので早めに辞めたほうが良かったかもしれない、他に探せばきっと雇ってくれるところもあったはず。

しかしなぜか戦いたかった、そして勝ちたかった。


辞めて暫くしてオーナーと偶然に遭遇した。その時も感謝していると言ってもらえた。

頑張っていた自分を褒めてあげたい。

今でもあの頃の頑張りは私の誇りでもあるし、心の支えになっている。


風の便りで今はオーナーを辞めてしまい、別の方がその店のオーナーになったようだ。

何かあったのか、全く私は知らない。


お元気でしょうか。

身体を壊していないといいのですが。


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今日も明日も良いことがありますように

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