動画絡みの投票企画について思うこと
磁石の優勝で幕を閉じたG-1グランプリ2022。
あのハイレベルな決勝から数日後、もう1つの対決が幕を開けた。
4/12〜4/22の期間、2回戦に進出した組のネタのアーカイブ動画が一斉に公開され、期間中「最も「いいね」数が多い組が賞金100万円を獲得」する企画が始まりました。「いいね」を押す基準はネタが面白いと思った組というシンプルなものでした。
この企画は大会立ち上げ時の動画でも島根さんが触れていました。なるべく多くの芸人さんにチャンスを与えたいという思いが伝わり、聞いた時
いい企画だなと思いました。実際この企画で面白いと思った何組かに「いいね」を押しました。
しかし蓋を開けてみるとこのアーカイブ動画対決は本来の趣旨とは別の面で注目を集めてしまった気がします。推しが本大会に参戦していない自分からしても一連の流れを見ていてモヤモヤすることもありました。結果、動画絡みの対決企画の運用、投票する側のモラルについて改めて考えるきっかけになってしまいました。
M-1グランプリのGyaoワイルドカード枠
メジャーな賞レースの動画絡み企画といえばこのM-1グランプリGyaoワイルドカード枠。2015年から導入され、準々決勝を敗退した組の中で1番視聴人数が多かった組が準決勝に進む敗者復活枠である(ただし準決勝のトップバッター固定、決勝に行かなかった場合は敗者復活戦には出れないというハンデ付き)。
しかしこの制度の初年度に関しては「再生回数が最も多かった組」が準決勝に進むルールでした。動画の再生回数そのものが基準だったため色々無法地帯すぎた結果、ファンの良くないモラルも普通に横行していてあまり良い気分ではなかったです。動画の無限再生など正直見てられない部分も少なくありませんでした。
ある日のTL、自分は目を疑うものを見てしまった。当時仲がよかった人がブラウザのスクショ画像を上げていた。複数のブラウザタブを開いて同じ動画を無限再生していた。
推しを敗者復活させたい気持ちは同じ立場だったからこそすごく分かる。でも身近かつ仲が良い人でそんな手段に手を出す人がいたのがショックでした。この方だけでなく、この企画のせいで人の醜い部分を沢山見てしまった。
自分も期間の最初の頃は頑張って1日に数十回動画を見たり(ネタに敬意を持ってちゃんと1つのブラウザで最初から最後までちゃんと見ました)、RTなども積極的にしました。しかし終盤でもう追いつけないと悟ってしまった時は動画を再生しても虚しさしか残らなくなってしまうくらい精神が死んでしまった。全く楽しくなかったし推しのネタをこんな風に消費したくなかった。
この制度を恨んでしまった。こんな制度で推しの最後のM-1が終わってほしくなかった。ワイルドカード対決なくそのまま準々決勝敗退ってなった方がすっきり出来たのにとあの後何年も何回思ったか。初年度の嫌な思い出のせいでM-1のGyaoワイルドカード枠に対して長らくよく思っていませんでした。
しかし初年度以降、M-1グランプリはGyaoワイルドカードの再生回数のカウントを1日1回に制限、去年からは現在の視聴人数に制限するなど徐々に改良していったこと、この企画でネタ動画が公開されたおかげ仕事やチャンスが来たと芸人さんからの声を聞いて、最近はこの制度も悪いことばかりではないかもしれないと考えが変わりました。
実際去年も3回戦と準々決勝の動画が公開された時、時々タイミングを見つけてモンローズの3回戦の動画をTLに宣伝しました。モンローズは3回戦敗退だったので敗者復活の対象外でしたが、その分気軽に動画をオススメしやすかったです。
今は大分ネタ番組や芸人さんの公式YouTubeチャンネルも増えましたが、東京以外のフォロワーさんだったりお笑い以外で仲良くなったフォロワーさんに純粋に自分の好きな芸人さんを知ってほしいと思い、この制度を利用してモンローズの漫才を宣伝しました。東京ライブシーンに通っていると感覚が麻痺してしまうこともあるが、こういう動画企画などを通してより沢山の人にネタを見る機会を与えることが芸人さんにとってのメリットなのかなと思うようになりました。コロナ禍でライブの配信も定着し、昔に比べてネタが動画で上がる抵抗感が少なくなったという面もありますが。
去年話題になったラパルフェも準々決勝でやったネタがすごかったと沢山の口コミを見たから見ました。普段推しとライブであまり一緒にならない芸人さんのネタを見るいい機会であるとも気付きました。
G-1グランプリのアーカイブ動画対決
大分脱線しましたが改めてG-1グランプリの方に話戻します。
連日芸人さんが動画の視聴/投票を呼びかけていました。「面白いと思ったら「いいね」」、本来はそのはずでした。
この期間で気づいたことは1つ。積極的に投票を呼びかけている組であればあるほど「いいね」数が伸びていた。これ自体に関しては自然な流れだとは思っています。
しかし日が立つに連れ、色んなものを目にしました。「面白いと思ったら「いいね」して」以外の呼びかけが増えるようになった。何も根拠はないのに再生回数と「いいね」数を巡って陰謀論を唱え始める人も出てきた。しまいには普段推しがお世話になっている芸人さんに投票してほしいなど本来の企画の趣旨とは関係ない理由で呼びかける人も出てくるようになった。
終盤になってくるともう何のための対決なのか分からなくなってしまったくらい色んな投票の呼びかけが横行しすぎて、どんな結果になっても少しはモヤモヤするだろうなと思うようになってしまいました。
様々な意見や動きがあったG-1グランプリのアーカイブ動画対決。次回の大会以降この企画の運用やルール周りがどう改訂されるかも気になる所です。
完全に公平性が保証されているルール作りの難しさ
まだ1位の発表を控えているが、この企画の期間を終えた今、動画系の対決企画(再生回数、いいね数)は公平性にちゃんと配慮したルール作りが難しいと改めて感じました。どんなに公平性を保つやり方を模索しても最終的にはファン1人1人のモラルに委ねられてしまうので。
去年自分もツギクル芸人、ラフターナイト関連でモンローズの動画をRTしたり視聴しましたが、ファンとしてはどう動画を拡散していいか悩み、ストレスにならないように動画を再生するか色々模索しました。
正直正解にたどり着いたかは分かりませんが、色々考えた結果こんな感じの考えに落ち着きました。
●「投票してください」と積極的に呼びかけるのはあくまで投票対象である本人達がやるべきこと。
●ファン側としてはRT、「面白いから見て」くらい軽い気持ちでオススメするくらいが丁度いいかもしれない。バランスは難しいが必死感、投票を強制する感じを出さないようにする。
●投票する側もちゃんと企画の趣旨を理解した上で責任とモラルを持って投票する。
●不審な動きがあったとしてもまずは冷静になる。必要に応じて運営に問い合わせて噂や私刑ツイートは流さない(証拠がない場合は本当に危険)
芸人さんにとってどんな形であれ、ネタを多くの人に見せられる、新しいチャンスにつながるキッカケにもなる以上、動画系の企画自体はなくなっては欲しくないです。
どっちが良い/悪いの話ではなく、動画系の対決はファンが運営の意図をちゃんと汲み取った上でモラル守って参加してほしいなと思いました。もちろん、自分も含めて。また推しが何かしらの動画対決に参加することになったらちゃんと責任持って参加します(という話です)。