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【第105回】「なぜ」「どうして」鵜呑みにしないで学ぶ
鱧の骨切り、一般的には包丁をザッザッと押して切る ところが料理を独学してきた息子たちは 常識にとらわれず刺身のように引き切りする 切っては食べを繰り返しながら検証を続けてきた
今年は柿が不作らしく
何十年と熊を見かけないと
言われていた限界集落に
目撃情報が相次いでいます。
柿に代わる食べ物として
同じく記録的な不作と言われているどんぐりや栗を探して
あちこち渡り歩いて
いるのでしょう。
幸い狩猟中に出会ったことはありませんが
どこかで会う可能性は確実に高まっているので
音を立てながら歩くなど心構えはしています。
さて
6月にフォロワー1万人を達成した息子たちのインスタグラム
フォロワーの増加に拍車がかかり
あと数百人で2万人に達します。
フォロワーが増えるにつれ
応援のコメントなども多数いただくようになり
とても嬉しいのですが
反面アンチコメントまでいただくようになりました。
料理に関しては
独学という道を選び
自分たちが好きで得意とする
「包丁の研ぎ」を生かした調理を心がけているので
知らない間に
一般的な調理方法とは真逆のことをしていることもあり
そのような動画をアップロードすると
賛否両論たくさんのコメントをいただきます。
一例を挙げると
鱧(ハモ)の骨切りは一般的には鱧切り包丁という
長くて重い包丁の全体を使い
0.5秒くらいの間隔で
ザッザッザと
リズミカルに包丁を前へ押しながら切ります。
3人の場合は
同じく鱧切り包丁を使うのですが
1.5秒くらいの間隔で
一枚一枚薄い刺身を切るように静かに動かします。
包丁を動かす方向は
奥から手前に引くため
常識とは全く逆になります。
![](https://assets.st-note.com/img/1738912724-y4EBzKOr05Z6UHlAjJPfM1eW.png)
さらに、刃先が非常に鋭利に仕上がっているため
長い鱧切り包丁の全体を使わずとも包丁の3分の1も動かせば
スッと身が切れてしまいます。
おそらく
和食の料理人と思われる視聴者さんから
「なんで押さないんだ」
「なんで包丁の全体を使わないんだ」
「切るのが遅すぎる」
などといろいろご指摘いただくのですが
3人からすると
「そもそもみなさんはなんで押して切っているのですか?」
「包丁の全体を使うと何が良いのですか?」
「速く切ると美味しいのですか?」
と逆に質問したくなります。
![](https://assets.st-note.com/img/1738912764-rmAdwF7veBxJyW1SfusHQOt2.png?width=1200)
ネット上で炎上すると大変なので
そのような返信はしないようにしているのですが
伝統的な和食で
「鱧は押して切れ」と親方に教わったことに疑問を持たず
ただただ反復練習してきた人は
なぜ鱧を押して切るのか?という問いに
答えられるのでしょうか?
ましてや引いて切るなんて発想が出てくる余地はないでしょう。
3人の場合
独学という全く別の道を歩んできたので
包丁をどのように動かすと食材がダメージを受けないか
どのくらいのスピードで切るのが良いのか
というようなことを
穴が開くほど観察した包丁の構造から推測し
その推測が合っているかどうか
実際にいろいろなパターンで切っては食べ、切っては食べ
と繰り返し検証しているので
鱧を引いて切るということに関して明確な理由を持っています。
![](https://assets.st-note.com/img/1738912865-c1HFOaDTYiQIzSZumBAe8Gvd.png)
もちろん
昔から良いとされている方法で
実際に確かめてみると
きちんと理屈が通っていて
なるほど!それを見つけた昔の人はすごい!
と思うことも多々あるので
古い考えが良くないと一概には言えないのですが
昔から言われていることを
鵜呑みにしないで
実際にやってみて
確かめるというのは
とても面白いことです。
![](https://assets.st-note.com/img/1738912906-dNLpkWMYwOzK9qs3SIvjR68P.png)
常識に縛られず何事にも
なぜ、どうしてを大切にして楽しく学んでいきたいですね。
『農業経営者』2024年12月号
【著者】山本 晋也(やまもと しんや)
1968年、京都生まれ。美術大学を卒業して渡米後、京都で現代美術作家として活動しながらオーガニックレストランを経営。食材調達のため畑も始める。結婚して3人の子どもを授かったところ、農業生産法人みわ・ダッシュ村の清水三雄と出会い、福知山市の限界集落に移住。廃屋を修繕しながら家族で自給自足を目指す。現在、みわ・ダッシュ村副村長。