【第282回】黒船のペリーも驚いた日本人の技術力
30年前、トヨタ自動車部品メーカーのデンソーが、スマホをかざすだけであらゆる情報を一瞬で読み取る、小さな正方形に白黒模様の「QRコード」を発明、特許を無償公開して自動チェックインなど世界中の国際規格で使用されている。
一部が欠損しても読み取れる驚異的機能は信じられない高度技術力を示す。
片手に論語、片手にソロバン」と、渋沢栄一は企業倫理の重要性を説いた。
近江商人の“売り手よし・買い手よし・世間よし”の三方よし。“忘己利他(もうこりた)”DNAの日本人が発明した文明の利器は惜しげもなく世界に放出されて人類発展に寄与している。日本の技術が無かったら、ミサイルや衛星も月着陸も不可能だった。
屋井先蔵が乾電池を、高柳健次郎がTVブラウン管、タイタニック号沈没時には無かったレーダーを八木秀次がアンテナ発明、SONYの井深大がトランジスターラジオやビデオテープレコーダーやWalkmanで世界を一変させ、NECがFAX開発、米国大型自動車を小道も走らせる富士重工の軽自動車、本田宗一郎がオートバイを、中国ウチワを平安時代に扇子に改良して折り紙芸術で縮小して極限まで小宇宙にした匠の技、体育館大だった計算機をSHARPが電卓発明、スイス手巻時計を誤差千分の一秒まで縮めたクオーツ時計でセイコーが時間を席巻し、世界初の携帯電話をNTTが開発、東京オリンピック以来死亡事故ゼロの新幹線を60年も走らせ続け、OLYMPUSが胃カメラを、ミスター半導体の西澤潤一が内視鏡や通信まで変えた光ファイバーを作り、CANONのオートフォーカス、富士フィルムのデジカメ、地球文化を変えたカラオケ発明の井上大祐、養殖真珠で女性の首を飾った御木本幸吉、インスタント麺で世界食文化を変えた日清食品の安藤百福、大塚食品ボンカレーやレトルト冷凍食品開発、寒冷地栽培可能な米や野菜の改良技術、缶飲料など人類に貢献している大発明を挙げればきりがない。
江戸の伊能忠敬は自費で地球一周距離を徒歩で測量して衛星写真に匹敵する精緻な日本地図を作成し、黒船はその地図を頼りに来航した。
世界のシェア9割を生産している無名の町工場はわが国には数え切れない。
どれ一つとして日本だけの利己に走った物はなく、韓国や中国などへ無償援助で大きく寄与している。世界に200年以上続く老舗企業は、中国9、インド3、韓国0、日本は3,000以上。
老舗企業共通要素は変化適応力と許容力、他人の番頭にも店を継がせる相互信頼。「利益は人を幸せにした証である」と松下幸之助。黒船のペリーが手記に残した「日本人の手工業者たちは世界のどこにも劣らず熟練しているのに驚く。政府が変わればこの国をたちまち世界の最も恵まれた国々と並ぶ水準まで押し上げるだろう。
ひとたび世界の現代技術を習得したら日本人は近い将来に機械工業の成功を目指す世界競争で強力なライバルとなる!」。
日本人は黒船にひれ伏すと予想したが、乗り込んで船を計測記録して翌年に国産初の洋式大型艦を造り、日露戦争で最強ロシア・バルチック艦隊を撃沈して世界を驚愕させる。
幕末から70年後には、米・仏・英・伊の白人列強国に初の有色人種の日本が加わって国際連盟5大常任理事国に!
江戸時代でも日本人成人男子40%、女性25%が“読み書きソロバン”ができた。英国ですら教育機関に通った経験の男は25%、女性に教える学校はまだなかった。
「戦後日本人に自信喪失させる自虐史観刷り込みのGHQ策謀 WGIP:war guilt information program」を打破する真実を伝える教育が必須だと痛感してやまない。
『農業経営者』2024年9月号
【著者】黒木安馬(くろきやすま)
高校時に米国留学後、早稲田大学を経てJAL国際線客室乗務員として30年勤務。 世界初の「カラオケ・フライト」や「1万メートル上空・北島三郎機上コンサート」などを実現させる。 千葉の自宅は1300坪の山林を開墾してブール、テニスコート、コンサートホール等を手作りする。 現在、日本成功学会社長として自己啓発や社員教育で講演中。 著書に『ファーストクラスの心配り」、『あなたの人格以上は売れない!』(プレジデント社)、『成「幸」学』(講談社)、『出過ぎる杭は打ちにくい!」 (サンマーク出版)、『面白くなくちゃ人生じゃない!』(ロングセラーズ)、『小説・球磨川』(上下巻・ワニ ブックス)、『雲の上で出会った超一流の仕事の言葉』(あさ出版)などがある。