【第74回】アルゼンチン(2)南米の雄を目指して合法化された医療用大麻と産業用ヘンプの栽培
医療用大麻の自家栽培と連帯栽培を合法化
前号で紹介したように、アルゼンチンでは2017年に法律27350号(医療用大麻法)が制定された。しかし、あまりにも限定的な医療用大麻を届ける仕組みで、多くの批判を浴びることになった。特に海外から輸入した抗てんかん薬のCBD(カンナビジオール)医薬品「エピディオレックス」やハーブ医薬品としての大麻草は、取引価格が高額で関税も高く、入手までの期間が長すぎるなどの課題を抱えていた。
そこで医療用大麻を推進する有識者や患者団体が求めたのは、患者自らが自宅で栽培する「自家栽培」と、患者とその支援者だけの会員制で栽培する「集団栽培」、患者の替わりに介護者や非営利組織が栽培する「連帯栽培」のいずれかを制度化することだった。同国政府はそうした要望を受けて、法令883/2020と保健省決議800/201に基づき、CBD医薬品の供給体制と国家登録簿(REPROCANN、レプロカン)を整えた。
新たな供給体制では、CBD医薬品(内服薬)を医薬品食品医療技術管理局(ANMAT)の製造許可を受けたALEF MEDICAL ARGENTINA社から政府が一旦購入して、抗てんかん薬として薬局や病院を通じて患者に提供する。21年の購入量は1800本で、66万8000米ドル(約9352万円)の国家予算を投じて運用が始まった。
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