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【第75回】ウガンダ 一社に許可を出しスタートした医療用大麻の栽培と輸出

ウガンダ共和国は、赤道直下の平均標高1200mの東アフリカ高原に位置し、ナイル川の源流の一つでアフリカ最大の湖・ヴィクトリア湖に接する。国土面積は日本の本州と同じぐらいで、人口は約4400万人。人口の約7割が農業従事者で、商品作物であるコーヒー豆、カカオ、茶の生産国である。

18歳未満の人口が全体の56%を占め、超高齢社会が進む日本とは真逆の若くて活力豊かな国で、英語が公用語である利点を活かし、あらゆる産業で外国からの投資を受け入れている。北部のアルバート湖で発見された油田によりアフリカ第7位の産油国としても注目されている。


「準合法性」の位置づけ


東アフリカ地域の大麻文化は、1000年前ぐらいからあったとされている。だが、考古学的証拠に乏しく、1870年代からヨーロッパ諸国が入植した際に現地人の風習として存在が確認されている程度である。

その当時ウガンダを統治していたイギリスは、嗜好や医療に使われていた大麻文化は不道徳なもので労働者の生産性を下げるものとみなし、各植民地に大麻の規制を強いた。1925年の第二あへん条約で「インド大麻」が国際的な規制対象となる以前、1900年初頭までにアフリカの各植民地で大麻は規制対象となった。ウガンダの植民地政府がケシ由来のアヘンとともに大麻を規制対象としたのも1902年からだった。

その後、ウガンダ共和国は1962年にイギリスから独立し、88年に麻薬単一条約に加盟した。だが、米国および国連主導の麻薬撲滅キャンペーンに、開発途上国が政府予算と人員を費やすのは実務的に難しかった。そのため、大麻の法的な地位は「準合法性(Quasilegality)」に置かれている。

準合法性とは、大麻の栽培や取引は違法行為だが、貧しい農民の生活を支える換金作物だと国が認めている状況である。公的支援は全く期待できないが、大麻の違法性というリスクに対して、大麻製品を高い価格で販売できるという経済的利点が得られるのだ。また、コーヒーやカカオ豆などの換金作物が、企業資本に安く買いたたかれる不合理な取引や暴落する国際市場価格の影響で生じる損失を埋め合わせる「補償作物」の役割も果たす。

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