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【第235回】深刻な農業従事者不足に解決策を示せなかった新基本法
25年ぶりの「食料・農業・農村基本法」(以下「基本法」)の見直し。その評価は、実にシンプル。農業現場で農業者が大きく減少するという未曾有の危機的状況に、どういう処方箋を示せたかという一点に尽きる。その視点で基本法見直しを採点してみよう。
担い手問題をスルーしてしまった見直し論議
日本農業がいかに危機的にあるか。経営局経営政策課が、第4回食料・農業・農村政策審議会の基本法検証部会に提出した1枚の資料は衝撃的だった。
基幹的農業従事者の数が猛烈なスピードで減っていく予測結果のことである。基幹的農業従事者とは、「農業就業人口のうち、ふだん仕事として自営農業に従事している者」(農水省)。2020年版農業センサスを使って予測した結果は次の通り。
「今後20年で高齢者がリタイアした後、基幹的農業従事者数は現在の1/4まで激減するおそれ。(約120万人→30万人)」
今後20年というのは、2040年のことである。センサスは5年ごとの実施。2025年センサスでは、100万人を割り込むことは確実。その「約120万人」は、2022年時点の数字で、2020年センサスでは136万人だった。
激減する個人経営体を法人経営体はカバーできない
基幹的農業従事者が激減しても、農業法人のような法人経営体が、その分をカバーしてくれれば、農業生産力という点では、何の問題もない。そこで気になるのは、法人経営体の現状と将来予測である。残念ながらどちらも参考になるような資料はない。経営実態も分からないので、今後の動向もつかめないのが実態。気になるのは、現有の法人経営体が、経営面積的に受け入れ能力をオーバーしているという事実だ。
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