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日本特有のデジタル化の課題
みなさん、コロナで日本のみならず世界中の経済が打撃を受けたこの2020年ももう残り3週間ほどになりました。
やはりロックダウンや緊急事態宣言でライフスタイルや働き方が大きく変わったのが肌で感じる変化ですかね~。
noteを書き始めるきっかけにもなった、長期のリモートインターンもコロナがなければ絶対にやっていなかったと思います(本当なら今年はオーストラリアで働いてる予定だった・・・)。
働き方が変わったと言えばやっぱりリモート会議など、IT化、デジタル化を否応なくやらなくてはいけなくなり多くの企業で、そうした動きが加速したというのがありましたね。
実は「2020年無人化宣言」というのを多くの企業が昔から掲げていて、今年は程度の差こそあれ、様々な業種で変化が起きる予定だったそうです!(知らんかった・・・)
それが皮肉にもコロナによって強制的に全体が底上げされたようです。
しかし、予算の削減や営業時間制限によって苦境に立たされる企業も多いはず。
特に僕が働かせていただいている会社は中小企業をターゲットにサービスを提供していて、必然的に中小企業の問題が多く見えてきます。
コロナで常識が変わり、自動化、無人化を含めたデジタル化をそう推し進めていくかが問題になってくるこれからですが、
何から始めるべきか、どこから手を出していいのかとなかなか踏みだせていない企業も多いようです。
その課題について書いていきます。
「まとめ」だけを見ていただいてもかまいません。
投資対効果
導入するうえでやはり最も注目するのはこれじゃないでしょうか。
シンプルに松下幸之助の「それ、儲かりまっか?」という視点は経営者であれば、または一定の裁量権を持つ方々なら必ず持っているはずです。
しかし実際には日本でのIT,デジタル技術の活用で期待されているのは、利益や売り上げなどに対してどちらかというと、足し算(売上増加など)ではなく引き算(コスト削減など)で便益をもたらすことが多いような印象です。
日本ではある程度現在の状態でも洗練された生産効率や作業効率を実現している企業も多く、そういった技術の導入による効果をあまり感じられないという意見が多いようです。
実際には金銭的な価値だけでなく、データの蓄積や活用、問題の早期改善など長期的に享受するメリットもあるのですが、
やはりゴーイングコンサーン、企業たるもの継続していくためには一定の利益を確保し続ける必要がある、というのは否定できません。
しかし、他国では状況が異なります。
そういった技術がない状況下の生産効率は低いので、導入に対してもそれなりの価値を感じられることでしょう。
問題はそういった従来の方法では劣位だった企業がテクノロジーを導入することで、追いつくどころか、追い越すレベルの生産性を実現することです。
レガシーシステム
これも日本企業において大きな問題の1つだと思います。
現在期待されている技術の多くがネットワークとの接続を前提としています。
しかし、現状はまだまだ1990年以前の古いシステムが残っていたり、様々なベンダーから提供された製品を混合して使っていて連携が難しいなど、
やはり新たなものを引き入れるのに過去を刷新する新陳代謝にパワーが必要な状況があります。
中国等では設備が比較的新しく、設備も同じベンダーから一括導入されたケースも多いようでその分、新たなシステムや仕組みに対する導入の敷居は低くなっているようです。
長年の改善活動や修正によって育まれた日本の技術力ですが、いまはそれが成長を阻んでいるかもしれません。
社内データに保守的
長い年月をかけて蓄積した社内のデータや経験はかけがえのない重要な経営リソースです。
しかし、それを守ろうとするが故にネットワークを介した技術の導入に後ろ向きの企業もいるようです。
設備の運用はノウハウそのものでそれを外部に出すのに抵抗がある、そこまでして得られるものに効果を感じられないといった考えなのでしょうか?
ある程度、社会の中での導入が増えてきた今はそういった企業も少なくなったのではないかと思いますが、
そのようなリスクに関して、交渉と契約、ファイアウォール等の技術的対応策も検討し、前向きに検討できるのかどうかは非常に重要になると思います。
完璧を諦められるか
ここが個人的にもすごく学びになりました。
日本はあらゆることにおいて基準がすごく高いですよね。
電車の到着時間からボールペン1本の完成度まで、高い完成度を追求してきたからこそ、消費者が要求するレベルも高い。
だからこそ、中途半端には始められないという性格は企業のみならず、個人レベルでもあるくらい日本的な特徴ではないでしょうか。
それが社内のシステムを大きく刷新したり、事業の在り方を根本から覆すインパクトのある技術に対して、本当に今まで通りの価値を届けられるだろうか、という懸念に繋がります。
AIや機械学習、ディープラーニングといった技術は今までの製品ようにユーザーとして使い始める時点で完成したものではなく、”企業と一緒に成長していくもの”です。
これは常にレベルの高いもの、洗練されすぐに使えるものを求めてきた我々には新しい概念ではないでしょうか。
そこへの適応に時間がかかったり、ある種拒絶反応のように受け入れられないというのは少なからずあるのではないかと思います。
新たな可能性に対して何を引き換え(トレードオフ)にできるかの判断は難しいですが、これらを活用するには非常に重要になると思います。
中小企業はどうするべきか
問題は大手ではなく、中小企業です。
資金がショートするまでの期間も早いですし、そんな効果が出るまで悠々と待っていられないという企業の方が多いはず。
そこで重要なのが
インパクトの大きいであろう箇所に段階的に導入すること。
シンプルですが、これが最も重要です。
導入箇所を限定し、試験的に導入することで初期費用を抑え、そこでまず成果が出るまでジリジリ改善をしていく。
やはり導入前は一部を変えても他と連携したり、全体の改善が見込めないと変わらないという考えになりがちだと思いますが、
現実的に考えると、その技術が慣習やマネジメント要請に合わなかったり、期待値を越える成果を出せない場合もあります。
それを踏まえても、試験的に導入し発展させていくという段階的導入は大手でも変わりませんし、煩雑な承認プロセスを持たない中小企業の方が有利だったりもします。
まとめ
書籍などを通して課題や事例を学ぶことはできますが、やはりそこで学んだことを理想論で終わらせたくないと思います。
それぞれの企業が独自の課題を抱えていると思いますが、そこで出来ないと思って欲しくないです。
僕もまだまだ勉強中の身で、分からない事も多いですしどこにどんな解決案を提案し、事業にできるかは未知数ですが、
状況を知れば知るほど、もっともっと出来る事はある。
変わる可能性がたくさんあるなと感じています。
採用などにおいても現時点でさえ、大手に流れる傾向がありますが、労働人口の減少によって、さらに労働市場における優秀人材の獲得競争には拍車がかかるでしょう。
それに対しても、テクノロジーで人手不足の軽減を目指しつつ、新しいことに果敢に挑戦している会社として若い層にも興味を持ってもらえるような中小企業が増えればいいなと思います。
・短期的な金銭価値以外の便益も含め、検討する事。
・そのテクノロジーで何が出来て何が出来ないかを正しく理解する事。
・そのテクノロジーで何が出来て何が出来ないかを正しく理解する事。
・得られるデータを予想し、その活用まで視野に入れる事。
・今まで培った経験や知識を一旦切り離してそれを基に何か新しいものを創造すること。(改善改良思考→創造思考)
・テクノロジーを会社とともに成長させていくという価値観を受け入れる事。
・100%の完成度ではなく、どこがコアバリューなのか見極め段階的な導入に寛容である事。
・現状に問題があることを経営者自身が感じる事。
・流行に左右されずに必要なテクノロジーを正しく選択する事。