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ドキュメンタリー翻訳 アンソニー・エドワーズ『Year Five』エピソード1


1. オープニング

アンソニー・エドワーズ:
「俺は競うことに飽きることはない。だから、どんな時でも競争だと思ってるんだ。誓って言うけど、スリックとはもう2K(NBAのバスケゲーム)をやらないって決めたんだ。なぜなら、あいつには負けた時に悔しがる気持ちがないからさ。それが気に入らない。だから俺たちは2Kをやらなくなったんだ。

俺は、『もっと熱くなれよ。負けるのが嫌いだって気持ちを持たないとダメだ』って言ってるのに、あいつは全然悔しがらない。そこが気に入らないんだよ。しかも俺はそこまで2Kをやり込んでないのに、あいつは毎日24時間ずっとプレイしてるんだぜ? マイキャリアモードとかエキシビションモードとか、ずっとやってる。

だから俺があいつをボコボコにしたら、めちゃくちゃ悔しがるべきだろ? でも、俺が勝っても何も言わずに終わる。俺が部屋に戻っても何も反応しない。だから俺は『おい、なんだよこれ?』ってなるんだよ。」


(オープニングミュージック)

2. 幼少期と競争心のルーツ

インタビュアー:
「では、最初から話を聞かせてください。どこで育ったんですか?」

アンソニー・エドワーズ:
「ジョージア州アトランタで育ったよ。俺は末っ子だったから、とにかく競争心が自然と身についたんだ。ばあちゃん家の裏庭で、いつも『21』(1on1のバスケゲーム)をやってたんだ。」

インタビュアー:
「では、話をお聞かせください。」

アンソニーの祖父(ベン・エドワーズ):
「私はベン・エドワーズ。アントの祖父だ。彼は長いことここで一緒に暮らしてたよ。暇があれば、外に出てバスケをしてたな。」

アンソニー・エドワーズ:
「俺は毎回泣いてたよ。」

ブッバ・エドワーズ(兄弟):
「もう完全にキレてたよ。負けるとすぐに怒ってさ。ある時、一回負けただけで、俺に棒を投げつけたんだよ。そんなの見過ごせるわけないだろ?だから、ちょっとバチバチになったこともあったな。」


3. アトランタのバスケットボール文化

ジャスティン・ホランド(ビジネスマネージャー):
「アトランタは、とにかく競争が激しい街だ。『俺たちは勝負から逃げない』っていう言葉があるんだ。誰かが『あの子が街で一番うまい』って言ったら、俺たちはそいつを探しに行く。そして勝負を挑むんだ。年齢なんて関係ない。その場で『お前がこのジムで一番すごいって証明してみろ』って言うんだ。口だけじゃなくて、実際にやってみせろってな。」

アンソニーの祖父(ベン・エドワーズ):
「窓から見てたよ。『いつかこの子たちのうちの誰かが大物になる』って思ったさ。」

(シーン変わる)

「こんなことは今まで一度もしたことがなかった。ここに来るのに82年もかかったよ。」

ダナ・ワトキンス(幼少期のコーチ):
「彼(祖父)はお前(アンソニーエドワーズ)を誇りに思っているし、お前も彼を誇りに思っている。そして今日は彼(アンソニーエドワーズ)を驚かせるんだ。もしかしたら、彼を涙ぐませることになるかもしれないぞ。」

アンソニーの祖父(ベン・エドワーズ):
「いや、それはないな」

ダナ・ワトキンス(幼少期のコーチ):
「そう思わないのか?」

アンソニーの祖父(ベン・エドワーズ):
「あいつは泣かないほうがいいな。泣いたらこの杖でピシッとやるぞ。」

アンソニー・エドワーズ:
「俺のじいちゃんはめちゃくちゃクールでめちゃくちゃ穏やかな人なんだ」

インタビュアー:
「ケーブルテレビは入れてないんですか?」

アンソニーの祖父(ベン・エドワーズ):
「テレビも持ってないし、携帯もフリップフォン(折りたたみ携帯)だけだね。私にとってはこれで十分だね」

アンソニー・エドワーズ:
「家の中で何が起こっていようと、彼は椅子に座って足を伸ばして、テレビを見ながらニンニクを食べてるだけなんだ。ただリラックスしてるって感じさ。だから、俺も彼から『何にも気にしない』っていう性格を受け継いだんだよ。ただ『オーライ、いいじゃん』ってね。」

アンソニーの祖父(ベン・エドワーズ):
「辛抱、辛抱、辛抱だ。辛抱がないやつはスーパーになんか行くもんじゃない。さあ、ここに乗り物が来たぞ…。」
(車いすが届けられる)

ダナ・ワトキンス(幼少期のコーチ):
「飛行機でも電車でも車でも、何としてでも彼をここに連れてくるぞ。」

アンソニー・エドワーズ:
「ああ、あれは本当に最高だったよ。間違いなく、俺のNBAキャリアの中で一番の出来事のひとつだね。彼(祖父)のところに行って話したときに、"お前の試合を生で見たことがないんだよ" って言われてさ。だから、実際に彼がそこにいるのを見たのは、本当に最高の瞬間だったよ。」

アンソニーの祖父(ベン・エドワーズ):
「あれは私にとって特別な瞬間だったよ。彼がコートにいて、私の方に歩いてきたんだ。そしたら、彼が笑顔を浮かべててね。そのとき、心の中で思ったんだ。"これは幸せな男の顔だ" って。それを見て、私も幸せな気持ちになったよ。

「金じゃ買えないんだ、みんなにも知っておいてほしい。幸せってのは金で買うもんじゃない。自分で作るもんなんだ、自分で求めなきゃならん。私は今、幸せだよ。」


4. NBAでの苦戦とチームの問題

インタビュアー:
「今シーズン前半を振り返ってどうですか?」

アンソニー・エドワーズ:
「…最悪だな。」

ナレーション:
「ミネソタ・ティンバーウルブズについて、今はパニックになるべき時なのか? これまでで最もファンやメディアの議論が過激になっている。アンソニー・エドワーズのシーズンには様々なバージョンがあったが、彼自身は『これは楽しくない、俺が望むプレーじゃない』と語っている。 カール・アンソニー・タウンズ(KAT)のような選手を欠くことは、大きな影響を与えている。」

アンソニー・エドワーズ:
「つまり、俺たちはまだ目指すべき場所に到達していない。細かい部分が問題なんだ。俺自身のプレーもそうだし、チームのみんなもそう。『もっと良くならなきゃいけない』って思う瞬間が多すぎるんだよ。」

(シーンが変わり、試合後のインタビューで)

「俺たちはディフェンスをチームのアイデンティティにするつもりだったのに、全然そうなっていない。今の俺たちにはアイデンティティがないんだ。マイク(コンリー)が言ってたけど、俺たちはチーム内で“めちゃくちゃソフト”になってる。対戦相手に対してじゃなくて、チーム内での話としてな。」

(シーンが変わり、エドワーズがさらに語る)

「だから俺は『俺たちはソフトだ』って言ったんだ。俺自身も含めてな。俺もソフトだし、チーム全体がソフトだ。『俺たちは競争してる』なんて言えないよ、毎試合フィジカルにプレーしなきゃいけないのに。それが俺たちの勝ち方のはずなんだ。ミネソタ・ティンバーウルブズはディフェンスで試合に勝つチームなんだから。でも、俺たちはそれを毎試合できていない。だから俺は今シーズンは最悪だって言ったんだ。毎試合ディフェンスで勝負しようとするチームじゃなくなってるからさ。」


5. 批評への反論

解説者(TNTスタジオ):
「なぜミネソタが今の状況にあるのか?正直に言うと、俺の意見ではアンソニー・エドワーズは後退していると思う。」

(その様子をビデオで見て)
アンソニー・エドワーズ:

「俺は普段、こういう議論に口を出すタイプじゃないんだけど、まあ今これを見てるし、せっかくだから話してみようかな。」

解説者(TNTスタジオ):
「もし彼を守るなら、スリーポイントを打たせたほうがいい。なぜなら、彼がバスケットにアタックしたら、相手をポスタライズするし、ファウルトラブルに追い込まれるし、すぐにボーナス(フリースロー)に持ち込まれる。スリーを打たせるのが得策だ。もちろん、決めることもあるけど、それでも考えてみろよ。」

アンソニー・エドワーズ:
「(被せるように)決めるけどな。」

解説者(TNTスタジオ):
「去年の時点では、みんな『こいつはマイケル・ジョーダンみたいだ』って言ってたけど、結局のところ、二人とも黒人ってだけだよな。彼はMJじゃない。ただ、すごくいい子だし、素晴らしい選手になる可能性は十分ある。でも、俺の意見では、ジャンプシューター寄りのプレーになってしまって、アグレッシブさがなくなったように思う。もっとリーダーとして成長する必要がある。」

アンソニー・エドワーズ:
「リーダーとして成長しなきゃっていう最後の部分は賛成だな。MJと比較されるのも好きじゃないし、そこは俺も同意。でも、それ以外の部分は、あいつらただ適当なこと言ってるだけだろ。だって、俺、シュート決めてるし。どうして『成長が止まった』とか言われるのかわからん。シュートを打って、それを決めてるのに、何が問題なんだよ。

「『俺が外しまくってる』ならまだしも、そうじゃなくて、今は俺が打てるってことを証明してるんだから、オープンなら打つだろ?時々、確かに奴らが正しいことを言うこともあるけどな。でも、それ以外は『お前、何言ってんの?』って感じだよ。口があるやつは何でも言えるんだし、俺はそんなの気にしてない。」


(シーン変わる)

6. 家族と娘の存在

アンソニー・エドワーズ:
「バスケットボールのことを家には持ち込まないんだよな。例えば、チームのプレーに不満があっても、それを家に持ち帰ることはしない。家に帰ったら、もうそんなのどうでもいいんだ。でも、家を出た瞬間からまたムカついてる。でも、家に帰ったら、もうどうでもよくなるんだ。」

ニック・”スリック”・マッドクス(親友):
「アント(エドワーズ)が父親になる姿を見るのは、本当に特別なことだよ。彼自身が成長していくのを感じるんだ。昔、俺が車で家まで送ったり、一緒にトレーニングしてた頃の彼とはまるで別人だよ。俺の視点から見ると、まるで大きな子供が、別の子供の世話をしているみたいなんだ。でも、彼が成長して、親として子供を育てて、愛情を注いでいる姿を見るのは、本当に素晴らしいことだよ。」

アンソニー・エドワーズ:
「多分、試合で負けた後や悪いプレーをした後でも、唯一俺が怒りを引きずらずにいられる理由はそれ(家族)だな。だって、娘が目を覚ましたら、確実に俺の名前を叫びながら走ってきて、俺に手を伸ばしてくるんだよ。だから、それが唯一、試合で負けた後でも怒らずにいられる理由だな。間違いなくね。家族の時間さ。」


(シーン変わる)

7. ゲームと競争

デイビッド・ハインズ:
「彼は俺が今まで出会った中で、最も競争心の強い人間の一人だよ。俺が何か得意だって言うと、すぐに試そうとしてくる。でも、ゲームに関しては特にそうだね。間違いなく、彼の本領発揮って感じだよ。」

アンソニー・エドワーズ:
「昔は外に遊びに行くのが好きだったんだよ。パーティーしたり、楽しんだりって感じでな。でも今は、たぶん外には行かない。家にこもってゲームをしてることの方が多いな。もしゲームで勝てたら、それがもう最高の夜の過ごし方って感じだ。俺、酒も飲まないし、タバコも吸わないからさ。昔は外に出て、ただ人生を楽しんでる感じだったけど、今はビデオゲームをしてても同じように楽しめるんだ。だから、俺にとっての“遊びに行く”ってのは、今はこんな感じかな。」

デイビッド・ハインズ:
「俺は2Kで彼に勝てるんだよ。今のところ、俺が一番得意なゲームかもしれないな。彼は俺に勝てないんだ。特に俺がセルティックスでプレーすると、めちゃくちゃ悔しがる。セルティックス使い始めてから、一回も俺に勝ってないんだぜ。」

アンソニー・エドワーズ:
「これだけは言っておくけど、カレッジフットボールは俺のお気に入りのゲームだよ。でもな、NCAA、お前らもっとしっかりしろよ。インターセプトの取りこぼしとか、タックルの角度とか、ちゃんと調整してくれ。ありえねぇだろ?俺の選手がスピード98なのに、相手が88で、それでも角度のせいで追いつかれるとかさ。そんなのデタラメだろ。

ゲーム自体は素晴らしいよ。全体的に見てもめちゃくちゃいい。でもな、インターセプトの取りこぼし、これはありえない。現実の試合ならミスもあるかもしれないけど、これはビデオゲームだろ?もし、明らかにオープンなインターセプトのチャンスがあって、相手がディフェンスの間に投げ込んできたなら、それは絶対にピック(インターセプト)になるべきだろ?頼むから、コミュニティ全体で調整してくれよ。じゃないと、俺また外に遊びに行くしかなくなるからな。」


(シーン変わる)

8. NBAの目標

クリス・ハインズ:
「俺たちが最初に会ったとき、お前に二つの質問をしたよな。『このゲームで何を成し遂げたい?』『お前は何になりたい?』ってな。

そしたらお前は、俺の目をまっすぐ見てこう言った。『俺は、このゲームをプレーした中で史上最高の選手になりたい』って。

俺はバスケットボールオタクだから、歴史について語りだした。『マイケル・ジョーダンがいて、レブロンがいて…』ってな。でもお前は笑って言ったんだ。『そんなの関係ねぇ。俺は史上最高になりたい』ってな。

で、今はもう5年目だ。王冠の重さはどうだ?

お前は今やフランチャイズの顔だ。チームを背負ってる。その責任とプレッシャーの重みをどう感じてる?」

(エンディングミュージック流れる)

インタビュアー:
「オールスターに出場するのはもう何回か経験してるよね。オリンピック選手たちと再会するのは、やっぱり特別な感じがする?」

アンソニー・エドワーズ:
「いや、別に。正直言って、俺が相手を倒したあとに会うのはいいけど、まだ倒してない状態で会うのは好きじゃないんだよな。マジで全然嬉しくない、むしろ嫌だね。

俺は試合で全員ぶっ倒して、その上で顔を合わせて、『どうだ、やっただろ?』って言いたいんだよ。でも、まだ勝ってない状態で会ったら、向こうは『俺たちが勝ったんだからな』って言えるわけじゃん?それが気に食わないんだよな。まあ、それでも俺は言いたいこと言うけどな。」

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