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日本国内のMBAホルダーの現状と今後の可能性


日本国内のMBAホルダーの現状と今後の可能性

MBA(経営学修士)は、経営理論や戦略的思考、リーダーシップスキルを体系的に学ぶことを目的として、グローバルなビジネス環境で活躍するための基盤を築くものであり、日本国内でも徐々に注目が高まっている。しかし、日本でのMBAの実態はどのようなものなのか、そしてその価値は今後どのように変わっていくのかを本記事にて整理する。

MBAとは何か?日本での定義と取得理由

まず、MBAとは「Master of Business Administration(経営学修士)」の略であり、経営管理に関する専門知識を習得する学位だ。MBAプログラムでは、戦略立案、組織管理、財務管理、マーケティングなど幅広い分野を学び、ビジネスリーダーとしての能力を育成する。日本では、主にキャリアアップやグローバルなビジネススキルの向上を目的に多くの社会人がMBAを目指している。文部科学省の報告書によると、国内でのMBA教育は「産業界におけるリーダーシップ人材の育成」に重点が置かれており、特に近年では、働きながら学べるプログラムも増えてきた

日本でのMBA取得の背景には、ビジネスの複雑化やグローバル化の進展がある。高度なマネジメントスキルを持つ人材が求められる場面が増えていることから、MBA取得のニーズは年々高まっている。ただし、日本のMBA取得者数はまだ少なく、普及度はアメリカなどの主要国と比較して大きな差があるのが現状だ。

日本国内におけるMBA取得者数と現状

日本国内のMBA取得者数は、2020年時点で年間約4~5000人程度。これはアメリカの年間20万人以上という数値と比べると圧倒的に少ない。ビジネススクールの数も限られており、日本の主要校としては一橋大学、筑波大学、慶應義塾大学、早稲田大学などが挙げられる。これらの学校は国際的な視点を持つカリキュラムを提供しており、特に社会人が働きながらMBAを取得できる環境が整備されている。

しかし、MBA教育の普及が遅れている背景には、企業の採用文化や教育制度が影響している。日本では新卒採用が主流であり、企業は長期雇用を前提とした育成を重視する傾向がある。そのため、中途採用でMBA人材を積極的に活用する動きはまだ限定的だといえる。ただし、変化の兆しもある。近年では、特に外資系企業やベンチャー企業がMBAホルダーを評価し、採用するケースが増えている。

MBAホルダーのキャリアと給与事情

MBAを取得することで、どのようなキャリアパスが開けるのだろうか。MBAホルダーは、コンサルティング、金融、製造業など幅広い業界で活躍している。特にコンサルティング業界では、MBAが昇進や給与アップに直結するケースが多い。具体的には、外資系コンサルティング会社では、MBA取得者の年収が1,000万円以上に達することも珍しくない。これは、MBAを持たないビジネスパーソンと比べて約30%高い水準だといわれている。

また、MBA取得者はマネジメント職に就くスピードが速くなる傾向がある。大企業での事例を見ると、MBAを取得してから数年以内に役員や事業部長など、組織の中核を担うポジションに昇進したケースもある。ただし、MBA取得が必ずしも成功を保証するわけではない。給与やキャリアの成果は、個人のスキルや経験、そして経営環境の変動に左右されることが多いため、MBAを取得するだけでは不十分であることも覚えておきたい。

企業視点から見たMBAの価値

企業がMBAホルダーに求めるスキルとは何だろうか。主に戦略立案能力、分析力、リーダーシップの3つが挙げられる。MBAホルダーは複雑な経営課題を解決する力があると評価されるが、日本企業においてはそのスキルが必ずしも活かされているわけではない。日本の企業文化は、チームワークや調和を重視する傾向が強いため、MBAホルダーが提案する理論的なアプローチが現場の実践に馴染まないこともあるのだ。

ただし、楽天やソニーといった一部の先進的な企業では、MBA人材を積極的に活用する動きが見られる。これらの企業はグローバルな視点を持つ経営人材を求めており、MBA取得者が持つ国際的なネットワークや最先端のビジネス知識を高く評価している。また、経営改革を進める際にはMBAホルダーのスキルが大いに役立つため、今後もMBA取得者への需要は増加すると予想されている。

今後の展望とMBA取得のメリット・デメリット

では、今後MBAの価値はどう変わっていくのか。日本におけるMBA教育は、今後のグローバル化に対応するため、さらに重要性を増していくだろう。特に、国際展開を進める企業や経営改革を目指す組織にとって、MBAホルダーのスキルは不可欠となるだろう。一方で、MBA取得には国立であれば数十万円、私立だと数百万円の学費と2年間の学習時間という投資が必要である

MBAを取得することで得られるメリットは、キャリアアップのほかにも人脈形成や自身の市場価値向上が挙げられる。ただし、全てのMBAホルダーが高年収を得られるわけではなく、特に日本国内では企業文化との適応が求められるため、事前にリサーチと準備を行うことが重要だ。


まとめ

  • MBAは日本でも徐々に普及しているが、アメリカと比較すると取得者数はまだ少ない。

  • MBAホルダーの給与は一般的に高いが、全員がキャリアアップできるわけではない。

  • 企業はMBA人材に期待するものが多いが、日本の企業文化とのギャップも存在する

参考文献

文部科学省. (2018). 第85回大学設置・学校法人審議会https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/085/gijiroku/__icsFiles/afieldfile/2018/01/29/1400609_04.pdf

MBA Promo. (2021). コラム: MBAホルダーを積極的に採用する企業は増えている?



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