お空の上の物語「SORA」#6
夢の星に住むハーラ聖人
お空の上のキラリーやソウルグループのみんなに見送られ、小さなピピはソウルのたまごに乗って夢の星に来ました。
虹の架け橋があれば、どんな広い宇宙でもあっという間に目的地へ着くことができます。
目的地の夢の星に着くと、ピピは宇宙船のソウルのたまごから降りました。
すると、ソウルのたまごはシュルルルルっと小さくなり、ピピが持ち運びができるようにました。
夢の星にはハーラ聖人が住んでいます。
ですので、ハーラ星とも言われています。
ハーラ聖人は、宇宙でも一二を争うITの天才たちで、宇宙の法にしたがって地球へ旅する子どもたちの夢や願いを叶える仕事をしています。
ハーラ聖人の住むピラミッドハウスは、広い宇宙の情報を全て受信することができ、最新の宇宙レベルの技術を使って夢を叶えるサポートをするシステムが備わっています。
ハーラ聖人はみんな長い髪の毛を逆立て、サングラスをかけ、紫色の洋服を着ています。
同じ格好をしているハーラ聖人を見分けることはとても難しいのですが、心の声はひとりひとり違うため、心で会話をすれば誰が誰かわかることができます。
「ひさしぶりだね。ピピ」
ピピは心の中で誰かに話しかけられました。
ピピがキョロキョロ心の中の声の主を探していると、手を差し伸べて近づいてきたハーラ聖人がいます。ハーラ聖人のZEROです。
「あ~~ZERO!!僕も会えてうれしいよ!」
ピピはZEROとあく手をしました。
ZEROは、今までピピがした地球の旅の計画書を全て作ってくれたハーラ聖人です。ピピだけでなく、ピピのソウルグループ全員がお世話になっています。
夢の星ではソウルグループごとに担当者が決まっています。
グループのステージアップのお手伝いをするためには、ソウルグループの課題や学びを全て理解しなければ地球の計画書はできないからです。
「ソウルグループ会議で地球の卒業テストを受けることを決めたんだね。キラリーやキラーからは連絡をもらっていたよ。41個目のチャレンジをするソウルグループの代表はピピだったのか。きっと大丈夫さ、楽しい旅にしよう。」
そう言ってZEROは、ピピをピラミッドの家に案内しました。
夢を叶えるピラミッドハウス
ZEROのピラミッドハウスには、ソウルメイトのピタやピット、ピッチも案内されました。ピタの担当のハーラ聖人はやはり今までお世話になったハーラ聖人です。
4人のソウルメイトの運命は、地球の旅を卒業するために複雑に絡み合います。
ですので、何かがあった場合は、同じピラミッドハウスのスーパーコンピューターがデータ処理をして対策を立てた方が素早く対応ができます。
「ピットは地球の旅は初めてだからね。地球を旅するときは、こうやって人間スーツの中にソウルのたまごと学びのデータを埋め込むんだよ。」
ピピとZEROがピラミッドのデータ管理室に入ると、ピットがソウルのたまごをセットしていました。
キラーから借りた人間スーツは地球の旅の間ここで管理されます。
人間スーツのデータや学びの実の情報が、奥のコンピュータールームからソウルのたまごに書き込まれます。
地球で人間スーツのトラブルや予定外の学びが起きた場合は、管理されてている元のデータを復元して、ソウルのたまごにデータを送り対処するのです。
「ピピのソウルのたまごと人間スーツはもうセットしてあるよ。」
ピットを気にしていたピピにZEROは言いました。
「あっ、ありがとうZERO。」
ZEROは、ハーラ聖人の中でもとくに優秀です。
頭の回転がとても速く、ピピが地球の目的に迷っても、必ず夢を叶えることができるよう新たな道を作り、このハーラ星で計画書のデータを書き換えてくれるのです。
滅多にはありませんが、必要ならば人間スーツのデータも書き換え別の人間にすることもできます。
「さあ、奥の部屋に行こう。ピピの夢をじっくり聞かなきゃ。」
ワクワクするということ
ピピとZEROは奥のコンピュータールームにむかいました。
コンピュータールームの扉を開けると、部屋の中には大きなモニターがあります。
「これこれ!ハーラ星に来たって感じがやっとする。あーどんな夢にしようかな。ワクワクが止まらなくなってきた。」
すでに、ソウルのたまごからの情報が送られ大きなモニターに、ピピが地球の旅の代表になって決めてきたことが映っています。
それを見たピピは、やっと地球の旅に行くことを実感してきました。
「おーやっとワクワクしてきたんだな。じゃあもう大丈夫だ。はじめられるぞ。」
ZEROが言いました。
ZEROが言うには、ワクワクするときは、お空の上のキラリーとソウルグループの側にいる本来のピピと繋がっている証拠なのだそうです。
つまり、本来のピピと小さなピピは一心同体でZEROと会話をしているのです。お空の上のピピはちゃんと目を覚ましていて、キラーやソウルグループのメンバーのアドバイスがある時は、小さいピピに直感や心の声でアドバイスをします。
ピピは、「ワクワクしていれば大丈夫」というZEROの言葉を理解することができました。
ソウルのたまごと人間スーツの装備
「さーはじめよう。ピピ」
ZEROはすでにキーボードの前に立っていました。
「ZERO、今回もよろしくお願いします!」
ピピはそう言うと、大きなスクリーンの前に立ち、ひとつひとつお空の上で決めてきた地球の計画について説明をし始めました。
まずピピは、なぜ自分がソウルグループ会議で代表に選ばれたのかをZEROに話しました。
「40個集めたのは僕だけだったんだ。ユーズはソウルグループのバランスもとれているから、神さまレベルに上がるためのテストを受けても大丈夫って言ってたよ。ただ、ソウルグループの残っている学びを全て僕がクリアしなきゃいけないんだけど。それってたくさんあるのかなあ?」
ピピがZEROにたずねました。
「ユーズの言う通りソウルグループのバランスはとてもいいな。そんなに大変な学びも残ってないし。ピピが全部すでにクリアしている学びだから、ピピならどんな経験も感謝できるだろう。」
「ただ、ピピが代わりにクリアする学びは結構あるな。その子たちがクリアできなかった理由を分析して対応策を立てる必要があるな……。」
ZEROは、スルスルとコンピューターに何かを打ち込んでいます。
「よし、空の上のみんなのアドバイスがよく聞こえる高性能のアンテナもつけよう。きっとお空の上のことを早く思い出すことにも役立つぞ。」
ZEROはソウルグループのレベルアップのためにいろいろ考えてくれました。
「ソウルグループの学びが結構あるから、クリアするために旅の前半をほとんど使ってしまうけどそれも仕方ないな。でも、大きな学びはないし必ずクリアはできるレベルだから安心していいよ、ピピ。」
「ありがとう。ZERO。じゃあ続きを話すね。」
ピピはキラキラ輝く41個目のソウルのたまごを指さしていいました。
「41個目のソウルのたまごは正八面体でね。地球を僕が旅立つ日までずっと磨き続けなきゃいけないんだ。でも、ソウルのたまごはとっても繊細でね傷がつきやすいんだって。いつものように磨くとまるくなっちゃうし……。」
「ほー。正八面体のソウルのたまごってものがあるのか。それは難しいな……。うーん……。」
しばらく悩んでいたZEROですが、何かヒラメイタのか眼がねをキラリと輝かせて言いました。
「よし、41個目のソウルのたまごをクリスタルにしよう。これなら傷つきにくいし、磨いてもそう簡単にまるくはならないだろう。ソウルのたまごを磨くことはピピは得意だからな。」
「うん、いろんな経験に感謝はもうできるから、ピカピカには磨けるよ!ソウルのたまごが傷つかなきゃ僕は大丈夫だよ。」
ピピが答えました。これでひとまずピピのソウルのたまごと人間スーツの調整は終わりました。
さーいよいよこれからが、ピピの夢の計画を立てる番です。
ピピの計画
「僕が選んだお母さんは、あの女の人だよ。ソウルのたまごを輝かせることを忘れているようだから、ぼくが子どもになって、お母さんを笑顔にするんだ。」
「ぼくの地球の旅の目的のひとつは、地球にいるソウルメイトたちに、お空の上のことを思い出す手伝いをすることなんだ。」
ピピはそう言うと、キラーがしてくれた話を思い出しました。
地球に生まれてから力をかしてくれるのは、太陽と月の神さまです。
地球の卒業テストを受ける子どもたちは、両方の神さまがすでにバランスよくサポートをしてくれます。
キラーが言うには、赤ちゃんが生まれる時に初めて泣く産声を聞いた神さまが、最初に赤ちゃんをサポートするのが地球のシステムなのだそうです。
ピピは地球に生まれた時、まずは月の神さまにサポートをしてもらいたいと思いました。
「ぼく、月の下で産声をあげたいの。だから、夜中に生まれたいな。そして、月の神さまに最初手伝ってもうんだ。そうすれば、お母さんの悲しい気持ちに寄りそうことができるし。早くお母さんを笑顔にできるでしょ。」
「ソウルグループの学びも旅の前半だって言ってたよね。僕がネガティブな気持ちになった時に癒してもらわなきゃ。」
「なるほど。それはとてもよいアイディアだねピピ。」
ピピが地球に生まれる日
ZEROは、ピピの意見を参考に宇宙の星の位置が地球や人間に影響を与えていることを教えてくれました。
「地球の周りを月が1日かけて周っているだろう。そして地球は太陽の周りを1年かけて周っている。そのため、地球から月を見ると、まあるく光り輝く満月の時もあれば、闇に包まれる新月の時もあるんだ。地球から見えるその月の形によって月のサポートの仕方が変わるんだよ。生まれた日にどんな月の形を選ぶかでピピピの地球の目的も達成しやすくなるんだ。」
「すごいなZEROは何でも知っているんだね。じゃあ、僕はどんな月の形の日に生まれればいいのかな?」
「そうだな。バルサミックムーンがいいかな……。この月の形は、他人と自分との境界線がはっきりいしないのが特徴でね、人の感情を自分のことのように感じる髙い共感性を持っているんだ。それに、起きている間もお空の上と繋がっていて、常にインスピレーションを受け取りやすいんだよ。逆境にも強いし頭の回転もはやい。強い信念とチャンスをいかせる幸運な月の形だ。」
ピピは、ZEROの話を聞いて「この月の形しかない」と直感で感じました。お空の上のキラリーたちからもGOサインの合図です。そして、心の声も聞えてきました。
「バルサミックムーンの何日目とかあるの?」
小さいピピはZEROに無意識に聞いていました。これはお空の上の本来のピピがZEROに質問をしたのです。
「あ~。そうだな。月相を決めればもっと目的を達成するための手助けになる。ちょっと待って……。」
ZEROは、コンピューターで調べはじめました。
「わかったよ。26日目が一番いいかな……。「調和・平和・穏やかさを好み、相手と分かり合えることで安心ができる。そしてあまりくよくよしない。美意識が高くて芸術好き」どうピピにぴったりかな?」
「大丈夫!」
ピピは即座に答えました。お空の上のみんなも大賛成のようです。ZEROはピピの返事を聞いてデータをソウルのたまごに書き込みました。ZEROはその作業が終わるとピピの顔を見て言いました。
「でも、月の神さまにサポートばかりしてもらっては、地球のサポートが足りなくて愛のエネルギーがあふれないんじゃないかな?」
ピピは、それは大丈夫!と自信ありげにZEROに説明しました。
「キラーは僕に光のシャワーをたくさんかけてくれたんだ。地球で生まれた僕に愛のエネルギーがずっとふり注ぐんだって。だから地球のサポートがなくても大丈夫じゃないかな。と思うんだけど。」
「なるほど。その光のシャワーは太陽の神様のサポートが必要だな。光のシャワーは太陽の神が与えてくれているからね。」
「えー。そうなの。じゃあ太陽の神さまのサポートも最初から必要だね。どうしたらいいのかな?お母さんに光のシャワーを浴びてもらいたいし。」
ピピはどうすればよいのか全くわかりませんでした。でもZEROは優秀です。ピピの話を聞くとすぐ解決策が頭に浮かびます。
「じゃあ。ピピが地球に生まれる日をもっとしっかり決めよう。太陽は常に決まった通り道を経て、一年で天球を一巡りするんだ。この太陽の通り道が黄道っていうんだよ。ピピが生まれる時に太陽と一緒に空に上ってくる星座で太陽のサポートの仕方も違うんだ」
「じゃあ、太陽がどんなサポートをするのか考えて生まれる日を決めれば、生まれた時から地球の目的を達成するために月と太陽のサポートをもらえる。ってことなんだね。」
「そうさ。地球の旅をする子どもたちの生まれる日は、神さまが子どもたちの地球の計画書を見て決めてくれるんだ。でも、地球の卒業テストをする子どもたちだけは、生まれる日を自分で決めることができるんだ。ピピ、どの星座にしようか?」
「おとめざ……。」
頭に浮かんだ言葉をピピは口にしました。お空の上のみんなからのメッセージです。
「おとめ座ね……。さすがピピとソウルグループのみんなたちだ。おとめ座は”誰かをサポートしたり、人や社会に役立つ何かを提供することで、自己表現し、自己存在を確立したい。”って目的だからピピにぴったりだ。太陽の神さまはこれを実現するためにサポートをしてくれるよ。」
こうして、ピピは地球に生まれる日を決めることができました。
ソウルメイトとの約束
「そう言えば、ピピ、ソウルメイトとお空の上で約束はしなかったのかい?」
ZEROに聞かれてピピは大切なことをすっかり忘れていたのを思い出しました。
「あ~。忘れてた。ピッチと約束をしたんだった。ピッチはハンディキャップの体を選らんで地球の旅に挑戦するんだ。僕はそのお手伝いをする約束をしたんだった。」
「了解。ピッチの家族になってサポートすることにしよう。ピタもいつものようにピピが生まれる場所の近くに生まれてサポートする。って言ってたろ?」
「うん。そう言ってたよ、だから僕が決めたお母さんのお友達をお母さんに決めてたっけ。」
ZEROは笑いながら手際よくデータを入力しました。
「よし、お空の上で決めてきたことをもとに作った計画書の前半は完成だ!」
「後半は、ピピの夢を叶えながら、ソウルメイトにお空の上を思い出す手伝いをするドラマチックな旅になる予定だよね。順調にいけばここが旅の折り返し地点だ。」
そう言って、ZEROはモニターを指さしました。
ピピの前半の計画が決まりました。
さー、いよいよピピが一番楽しみにしている地球の旅の後半の計画です。
ピピはワクワクです。
お空の上の真実
ピピは自分の夢ってなんだろう?と思いました。ワクワクはしているのに、頭に浮かぶものはありません。
「あれ?お空のみんなはアドバイスをくれないのかな?」
とふと思いました。
何も言わず黙っているピピを見て、ZEROが言いました。
「ピピ。後半の夢はね、お空の上のみんなじゃなくてピピが決めていいんだよ。それはね、お空の上のソウルグループの課題を全部ひとりで君がクリアしたご褒美さ。」
「そうなのか。僕が決めていいのか。」
「そうさ。だって君は今回地球の旅は初めてだろ小さなピピ君」
そう言ってZEROは笑いました。ピピはやっと理解することができました。ソウルグループのみんなはこうやってどんどん増えていったのです。地球を旅するたびにグループの誰かの小さな分身がひとつまたひとつ増えていって……。
「グループの誰が一番最初だったんだろう?」ピピはそう思いました。そして気づきました。
「そっか、一番ソウルのたまごをたくさんもっていたピピが最初の子どもだったんだね。」
ZEROは何も言わずうなずきました。
ピピは今までのことを振り返りました。みんなの学びは、結局ピピががクリアできなかった学びだったのです。お空の上のみんなはみんなピピなのです。地球の最後の旅をするピピはは、地球を初めて旅をするピピでもあるのです。
小さなピピの夢
「あー。ZERO。僕は大きな愛と安心に守られれていることがよくわかったよ。ありがとう、ありがとう、みんな!僕の夢。僕の心に聞いてみる。」
お空の上のみんなに聞こえるようにピピはそう言うと、静かに目をつぶりました。
すると、頭の中にピピのやりたいことが見えるし声も聞こえてきます。
「ZERO、ぼくキラーみたいに、お空の上の子どもたちに地球のシステムと神さまのことを教えてあげたいんだ。だから、地球と神さまのことを学びたい。」
「そして、地球にいる間は、地球のソウルメイトに学んだことを伝えたい。きっとお空の上のことを思い出す手伝いになると思うから。」
ピピはZEROに静かに話し続けました。
「そそのために、お空の上の思い出したことや地球や神さまのことを学んでわかったことを本に書くよ。本に書けば、地球にちらばっている仲間に読んでもらうことができるからね。僕、絵本作家になる。」
「そして、いろいろな場所に行ってお話会をしたり、本を読んでくれた世界中のソウルメイトに会うために旅に行ったりもするんだ。最初で最後の地球の旅だから、世界中の美しい景色を目にやきつける。これが地球を旅立つ最後の日まで、ぼくがワクワクして楽しめることさ。」
ピピの夢が決まりました。
ピピはZEROに話し終わった後もワクワクが止まりません。
お空の上のみんなが賛成をしてくれているのがとてもよくわかり、ピピは嬉しくて嬉しくて仕方がありませんでした。
「OK!ピピのこのすてきな夢を絶対叶えよう。私もハーラ星でピピをしっかりサポートするからね。」
こうして、ピピの旅の計画はすべて決まりました。
地球の計画書とソウルのたまご
「さー、できたよ。これがピピの地球の旅の計画書だよ。」
ZEROはそう言うと、ピピに計画書を渡しました。計画書には迷路のようにたくさんの道があります。
「ありがとう。これがぼくの地球の旅の計画書なんだね。でも、どうしてこんなにたくさんの道があるの?」
ピピがZEROに質問をしました。
「ゴールまでまっすぐな道を進んでくれることを私も願いたいが、地球の旅はそう簡単ではないんだよ。ピピの目的が脇道へそれてしまったとしても、回り道をしてゴールできるようにしているのさ。他の3人のソウルメイトたちの地球の旅も関係しているからね。全ての可能性をピラミッドハウスのスーパーコンピュータが計算して作ったものだから、安心していいからね。」
ZEROは、ピピのソウルのたまごをわたしながら答えました。
クリスタルでできたソウルのたまごの壁には、人間スーツや学びの実、地球の計画のデータがすべて数字で書き込まれています。たまごに傷がつくと、ZEROのコンピュータがデータを読み込むことができなくなり不都合をおこします。でも、ピピのソウルのたまごはクリスタル性。傷がつきにくいのでZEROがしっかりサポートができるようになりました。
「ソウルのたまごもありがとう。ZEROが僕をサポートしてくれるハーラ聖人でよかった、感謝しています。」
ピピとZEROがピラミッドの家の外に出てみると、すでに日が暮れ夜になっていました。空には地球が輝いて見えます。
「ピピ、地球からはこの夢の星が必ず見えるんだよ。夢を忘れそうになった時や夢をあきらめそうになった時は、夜空を見上げなさい。星がたくさんあっても必ずピピはこの夢の星を見つけることができる。そして、夢を思い出すはずさ。そういう魔法がこの夢の星にはかけてあるからね。」
ZEROの言葉を聞くとピピは安心します。側でピットも出来上がった計画書を受け取っていました。ソウルメイトのみんなも無事地球の旅最後の計画書ができあがったようでした。
ピピからのメッセージ
ピピはなかなか眠れず、ピラミッドハウスの外に出て夜空を見上げていました。
地球の旅の代表になってからのことを思い出し、いろいろなことを学び知ることができたことに感謝をしていたのです。
「僕が人間のピピにちゃんと心の声を伝えることが一番大切なことなんだな。きっと。」
そう思いながら綺麗な星たちを見上げていると、ピピの頭の中に声が聞こえてきました。
「ピピが人間のピピにGOサインを出さないと、ピピの夢は叶えることができないんだよ。地球の最後の旅だからソウルグループの学びをやり残しちゃいけない。って思うかもしれないけど、慎重になりすぎちゃいけないよ。後半のすてきな夢が叶わなくなっちゃうからね。ピピが夢を叶えて楽しく旅ができないとテストは合格できないんだ。折り返し地点、ピピがGOを出してくれたら、お空の上のみんなが全力でサポートができるんだ。だから、夢が叶う日まで安心して僕らに任せてね。お空の上からいつもピピを見守っている。ピピとといつも一緒だよ。」
ピピは本来のピピからのメッセージだとすぐわかりました。
お空を見上げながらリラックスしている時に、メッセージを受け取ることができることもこれでわかりました。「地球に行っても忘れないようにしなきゃ」そう思いながら、ピピはみんなに愛され守られながら地球の旅ができることにふたたび感謝をしました。
地球へ旅立つ日
よく朝、ピピたちはいよいよ地球へ出発です。
ピラミッドの家の前にはハーラ聖人たちが見送りに来てくれました。
「ZERO、どうもありがとう。ぼく地球の旅をおもいっきり楽しんでくるね。」
ピッチもお世話になったハーラ聖人にお礼を言いました。
「ピピ、おもいきり地球の旅を楽しんでおいで。」
そう言うといつまでもZEROたちは手をふって見送ってくれました。
ピピたちはソウルのたまごに乗って地球の側までやってきました。
子どもたちはみな、地球の旅の計画書をしっかり手に持っています。
ここで、地球でお母さんになってくれる人の準備ができるまで子どもたちは月でしばらく待つのが宇宙システムです。月は子どもたちの待機場所なのです。
「もうすぐ、地球へ行ける。」
そう思うと、子どもたちはワクワクよりドキドキが強くなってきました。すぐ側には青く輝く美しい地球があります。地球はとても優しく見えました。ピピ達が生まれてくるのを、いまかいまかと待ってくれているようです。
ピピとピタが地球に生まれる日が近づいてきたある日
「ピピ、ピタ。久しぶりね。」
キラリーの声がしました。ピピとピタが振り向くとキラリーが立っていました。
「キラリー。お空の上に戻るまで会えないと思っていたよ。」
ピピが言いました。
「お空の上で決めたお母さんたちの準備が整ってきたみたいなの。一回地球へ行って様子を見てきましょう。最初に決めた時とちょっと変わっているかもしれないから。地球の最後の旅をするあなたたちだけができるお空の上のシステムよ。」
そう言うと、キラリーは大きな羽を広げ、地球にいるお母さんのもとへソウルのたまごに乗ったピピとピタを送りました。
「お母さん。ぼくを生んでくれるんだね、ありがとう。ぼく、お母さんをいっぱい笑顔にするからね!!」
ピピはお母さんの耳元で優しくささやきました。その声が聞こえるのか、お母さんは一粒の涙を流しました。
ピタがあいさつをすると、ピタのお母さんは優しく微笑みました。
あいさつが終わった二人は、キラリーと一緒に月へまた戻ってきました。
「二人のお母さんたちは、あなたたちが決めた時とあまり変化がなさそうね。よかったわ、これであなたたちが作った計画書でスムーズに地球の旅ができそうよ。私のお仕事はこれでおしまし。じゃあおもいきり楽しんできてね。お空の上で待っているわ。」
そう言うとキラリーはお空の上へ戻っていきました。
これで準備はととのいました。
いよいよピピの地球の旅のはじまりです。どんな地球の旅がピピを待っているのでしょうか。
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