男と男、その4:デヴィッド・ボウイとマーク・ボランとニコラス・ローグ
私が、それまではクラシカルミュージック中心にしか関心がなかった音楽生活から、ポップスに目覚めた恩人はまさにデヴィッド・ボウイなのでした♪
最初にデヴィッド・ボウイの名前を知ったのは、グラムロックが一瞬だけ流行った時の「スターマン」でした。
後で知ったのですが、彼は、グラムロックのスターとして輝く前、相当長く下積みの時代があったようで、悩んだ末の「グラムロック」推しだったと推察します。
当時、グラムロックの人気を二分していた、T-REXのマーク・ボラン(私の一番のお気に入りの曲は、何故かあまりかからないマニアックな“Chldren of the Revolution”なのですが)と、とかくライバル視され比較されることが多かったようですが、マークは、とある、絶対の信頼を寄せていた占い師から、キミの人生は短い、と死期まで予言されていて、自分の生き方を太く短くという覚悟があって、その点がデヴィッドと違ったのでしょうね。
デヴィッドは、この打ち出し方をするにあたり、マークにいろいろと助言をもらったとさえ聞いております。
そして、マークは、その占い師の予言のとおりに若くして交通事故で命を落とします。
マークに恩義を感じていたデヴィッドは、マークの分も生き抜かなければと思ったのかもしれませんね。
グラムロックのブームが去ると感じたデヴィッドは、逸早く転身を遂げます。
自慢のシルバーヘアーの長髪をバッサリと切り捨て、短髪になったとき、うひゃあと私は思いましたが、欧米系の白人の人たちには、男女を問わずに、おおむね好評でしたね。
あの顔は特に白人の人たちにとって、ある種の理想系を具現化するようですね。
そうこうしているうちに1980年代に突入し、本人が、あまりに先鋭的過ぎるので公開を封印していたが、そろそろ時代が追い付いてきたという理由で公開された「ジギースターダストツアーの最終公演」のドキュメンタリーフィルムが、六本木の俳優座劇場で公開されたことがあり、それを観に行ったことがあります。
ところが、知っている曲がほとんどなく、唖然としていたら、一緒に観に行った女子がうっとりとした表情で感激していたのにショックを受けたものです。
ある種の陶酔的な魔力を秘めた人でしたね。
何となく納得がいかなかったので、その直後に、「地球に落ちてきた男」がリヴァイバル上映されたのを名画座で観て、安心したものです。
あの映画のエンディングが好きで、特に、名曲の「スターダスト」が、アーティ・ショウのトランペットで完璧にブレイクダウンした感じで演奏され、それが、退廃と諦念に支配されたデヴィッド演じる“星から落ちてきたまま帰る故郷と家族を失ってしまった”主人公とシンクロされていて、非常にいい感じでしたね。
ニコラス・ローグ監督の変な感性と美意識が絶妙に発揮されていた映画でしたね。
Ashes to ashes,
funk to funky
We know
Major Tom's a junky
アッシュズ・トゥ・アッシュズ(シングル・ヴァージョン)
彼の沈魂歌にもっとも相応しい“Ashes to ashes”(キリスト教における葬送の儀式に発せられる言葉)をタイトルにした曲のPV
1980年代頃の映像なのに、タブレット端末のようなアイテムまで予見されております。
後に音楽プロモーションの主流となるMTVスタイルの嚆矢となる作品でもありましたね♪
当時、映画製作並みの巨費を投じて創られた作品だそうです。
#創作大賞2023