私がジャニス・ジョプリンの名前を知ったのは、私がスージー・クアトロのファンだったからでした。〜転がる石からキャン・ザ・キャン
意外に思われるかもしれませんが、私がジャニス・ジョプリンの名前を知ったのは、私がスージー・クアトロのファンだったからでした。
スージー・クアトロは、ボクたち世代の女性ロッカーのカリスマとして、キューティーフェイスにダーティワード&ヴォイスのギャップが堪りませんでしたね!
高校生の頃には、下敷きにクリアファイルがくっついていて、それに雑誌の切りぬきを挟むのが流行っていて、私は、週刊FMのグラビアページの、カワサキZ1000というモンスターバイクに跨がった、革ジャンツナギのスージーQの写真を切り取って挟んだ下敷きを持ち歩いていたものです。
彼女のレコードのライナーノーツに、「スージーを、女性ロッカーの先駆けであるジャニス・ジョップリンの再来であるという向きもあるが…」という一文があり、そこで初めて彼女のことを知り、それから少しずつジャニスのことを追体験していくようになりました。
ジャニスの歌を初めて聴いたのは、それからしばらく経って、高校の同級生のH尾君がジャニスのファンだということがわかり、お互いがロック好きということで、私が当時最もハマっていたディープ・パープルのライブアルバムをエアチェックしたカセットテープを持って、お互いが好きなアーティストの曲を聴かせ合うという趣旨で、彼の家に遊びに行きました。
彼の愛用のステレオ・ラジオ・カセット・レコーダー、ソニー製の「スタジオ1980」から、ジャニスの「サマータイム」が流れてきた時は、そのあまりのしわがれた、この世のものとも思えない独特の声に、これが本当に歌なのかという感想を抱いたものです。
真夏の暑い日で、当時は多くの家庭では冷房なんて設置されていない時代でしたが、本来は蒸し暑さでいっぱいの室内が真冬のように感じられたものでした。
夏のことを歌った歌なのに。
しかし、この独特でしわがれて絞り出すような歌い方がクセになるのでした。
1970年代半ばの、非常に暑い夏の不思議な真昼の出来事でしたね。
※※※
スージー・クアトロの売り出し方も、事務所の都合だったのですが、彼女も、ああいう形でメジャーになるまでは、相当苦労したことを後になって知りました。
スージーQをメジャーシーンに売り出したのはイギリスですが(これは、米国生まれのジミ・ヘンドリクスも同じパターンでしたが)、元々は、米国の自動車産業の町デトロイト出身で、親父さんがロックビジネスの野心家で、最初は、娘たちにガールズロックバンド「ザ・プレジャー・シーカーズ(直訳すると、快楽追求隊ですぜ、奥さん)」を組ませて売り出そうと思ったのですが、保守的な町では受け入れられず、当時は末っ子だったスージーだけが音楽活動を継続していました。
ようやく、イギリス人の辣腕音楽プロデューサー、ミッキー・モストに認められてデビューシングルを出しましたが、最初の曲「ローリング・ストーン」はフォーク調の、ちょっとジョーン・バエズの二番煎じみたいな歌(あくまで個人的な感想です)で、コロコロと転がっていろいろな男を渡り歩く女ゴコロの未練を歌ったフォーク・ロック演歌のような曲は、全くヒットしませんでした。
https://www.ne.jp/asahi/beef/heart/memo/chapchin/qgreat.html
そこで、ソングライターとして、マイク・チャップマン&ニッキー・チンのコンビを付けて「キャン・ザ・キャン」という、滅茶苦茶突き抜けた、おバカロックを出したところ、ようやくブレイクすることができました。
当時は、Tレックスやデヴィッド・ボウイに代表されるグラムロックが流行っていたので、それに対抗してグラマラスロックとか、サディスティックロックの女王と呼ばれていましたね。
Can the can には、あんたの男を缶詰めにしちまいなという意味とともに、隠語としては、女性の武器であるお尻で封じ込めておしまいという意味もあり、ソングライターの力も大きかったですね。
彼女のアルバムには、「グリセリン・クイーン」という曲があり、それはゲイのことをからかった歌なのでしたが、当時の私にとっては、いち速くオトナの世界を垣間見せてくれた曲でもありましたね。
このあたりのいきさつについては、以下のサイトに掲載されている話がサイコーです。
http://www.ne.jp/asahi/beef/heart/memo/chapchin/chapchin.html
1973~1975年に大量のシングルヒットを連発したミッキー・モストのRAKレコード。その専属ライターだった「チン&チャップマン」コンビの垂れ流した “大馬鹿POP”の跡をたどってみる。
http://www.ne.jp/asahi/beef/heart/memo/chapchin/canthe.html
スージーQ話特集
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=2864065106956519&id=100000591726100
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=1416676431695401&id=100000591726100
#創作大賞2023