ITの現場で実現できるアウトプットゼロ

アウトプットゼロ

どういう印象を持つか、だいたい予想がつく。
かつてはステップ単価といって、ソースコード1行あたりの単価で評価された。
現在は、これを作るのにどれくらい時間がかかる、という時間単価(工数)で評価される。

つまり、どちらも成果物が評価対象になる。

管理だと、工数管理や工程調整、要するになにがいつまでに用意できるか、という予実報告がアウトプット。そのように、それぞれのお仕事にはそれぞれの成果物、目に見えるアウトプットがある。

それに対するぼくの憤りの結果がアウトプットゼロ。なにも成果物を出さないのに評価される仕組み。

寄生先(ターゲット)が最重要

アウトプットゼロの答えを最初からいうと、全体の奉仕者に徹すること。メインタスクをもたない代わりにタスクを持った人の技術的、精神的なフォローをすること。
体調不良でダウンしたひとがいれば、代わりに入り、休んだ人の名前で完了報告をする。

簡単にいえばそうなんだけど、葛藤がある。なんども戦ったりした。

なぜ作業を言われた通りしないのですか?
 やる気がないからですけど。
我々にとって、線表が請求になるということは理解していますか?
 線表以外に価値を作ればいいだけでしょう。2週間で見せるよ。

というような、まぁ、実際はお互い感情的に40分ほど戦ったのだけど、結果、ぼくは業務システム全体のSNMPトラップとsyslog分析、他機器とのエラー関連付けのパターンを整理し、VBAでまとめてかいた。当時、ぼくは一応ネットワーク担当。なぜ業務とOSに特化したかというと、わかりやすいことと、WANが不安定だから、整理するのに意味がないから。
結果、評価された。ネットワーク担当なのにこれをやる意味がわからない。と、おほめいただいた。その後、ご指名いただいているわけですけど。

ここのポイントは、ログ分析は、他グループの仕事もあるし、他社、他事業部の仕事もあるけど、ネットワーク機器は入っていない。

だって、見りゃわかるし、わかるマニュアルすでにあるからやる必要ないじゃん。他社が騒ぐからTrap報告うける前に電話くるし。syslog転送しこみたいけど、回線不安定だからそもそも意味がないから、見た方が早い。という事情もある。

こうやって、みんなの成果物(この場合は障害報告)に使ってもらえるように、情報の整理など、わかったような気にさせるものをとにかく粗製乱造するのがアウトプットゼロ。

他人の報告には、ぼくがつくった情報が含まれているよ。というのが重要。でも、決して自分のアウトプットは作らない。全体の生産性を向上するために、PowershellでExcelとWordのGrepツールを作ったり、IPアドレス一覧からDNS ZoneレコードとConfigを生成したり。Powershellのメモリ制限ひっかかったら、WinRMメモリ増量に向かわずExcel VBAに書き直したり。

ActivePerlとかも考えたけど、いれさせてくんないし、OLEで使うと重い。Pythonだとインターネットから遮断されているのでよさげなモジュール探すのもできないし、Javaは使えるけど、ライブラリ限られてるからxlsxとかをzip解凍してXML分析してどうこう、となるとコストかかるから、結局VBAが一番お手軽でいいチョイスになるし。

で、Linuxの情報収集とか設定自動化では逆に、pythonでガリガリかくのです。あー、幸せ。Ansibleのモジュールかいたり、Ansibleでは手が届かないところはperl5のワンライナーかいてジョブ管理から投げさせたり。

そんなことをしていたら、自分への指名タスクがなくなりました。

ぼくのチームでは、ときどき、アウトプットゼロを達成するための情報交換をします。

アウトプットゼロの極意は、”デキるやつをもっとデキるようにする”ということ。
ヒーローを仕立て上げるということ。

自分には、”それがデキる。”(寄生元がいるかぎり)

ぼくは、仕事なんてしなくてもいいし、実績作る必要もないとすら、思ってる。
でも、一般人のいない仮面ライダーは成立しない。悪いヒューマギアだけだと腹筋崩壊太郎もまもるもいないわけだし、用心棒との技術対決のない快傑ズバットはものたりない。
アウトプットゼロは、ヒーローがピンチの時にタイミングよく出てきてヒントを与えたり、あたらしい力を与える存在だと思ってるので、それを目指しています。
 

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