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教科書が書き変わる!?多細胞生物は定説よりも6億年以上早く地球に登場していた
教科書が書き直されるでしょう。
中国科学院(CAS)で行われた研究により、16億3500万年前の地層から複数の多細胞生物の化石が発見されました。
これまでの説では、人間を含む動物や植物などが含まれる多細胞生物が誕生したのは、およそ10億年前だとされていましたが、新たな発見により6億年以上も時間を遡ることになります。
研究者たちはこの多細胞生物「Qingshania magnifica」について、おそらく光合成生物であり、胞子を使った生殖を行っていた可能性が高いと述べています。
研究内容の詳細は2024年1月24日に『Science Advances』にて公開されました。
参考文献
元論文
1.63-billion-year-old multicellular eukaryotes from the Chuanlinggou Formation in North China
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.adk3208
ライター:川勝 康弘(Yasuhiro Kawakatsu)
ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
多細胞生物の誕生は10億年前だと考えられていた
最新の発見によれば、地球で生命が誕生したのは今から40億年前(±2億年)であると考えられています。
最初期の生命はDNAが核に収められていない真正細菌や古細菌の先祖となる原核生物でした。
それから数十億年後、古細菌の一派から核を持つ真核生物が分岐し、人間をはじめとした多くの動植物の祖先となりました。
現在、最も古い明確な真核生物の化石は16億5000万年前の地層から発見されています。
(※他にも真核生物の誕生は21億年前とする説もあります)

人間や犬や猫などの動物、桜やアサガオのような植物など、目に見えるサイズの生物はほとんど、この真核生物が多細胞化したことで誕生しました。
多細胞化は地球生命が大型化するために開発した、偉大な一歩だったのです。
これまでの説では地球上に多細胞生物が誕生したのはおよそ10億年前と考えられていました。
真核生物の誕生から多細胞生物の誕生まで数億年~10億年もの時間がかかった計算になります。
そのため生物が多細胞化するのは「億年単位の時間を要する、かなり困難な道筋であった」と考えられていました。
しかし今回、中国北部にある16億3500万年前の地層から、驚くべき発見がありました。
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