デッドリフト500kg!世界最強チャンピオンの筋肉は何が特別なのか?
世界最強の男大会『ワールド・ストロンゲストマン』は、毎年開催されている世界一の力自慢を決める祭典です。
この大会では、出場者がさまざまな力仕事や重量挙げの種目に挑戦し、最も卓越したパフォーマンスを披露した選手が「世界最強の男」として称えられます。
言うまでもなく、筋肉は、重い物を持ち上げたり引っ張ったりする力の源になるため、この大会に出場する力自慢たちは、常人を超えた筋肉量を持っています。
今回、イギリスのラフバラー大学(Loughborough University)の研究グループが、世界最強の男、エディ・ホール氏(イギリス)の下半身の筋肉量の計測データを発表しました。
当時、デッドリフトの世界記録(500kg)を保持していた彼の測定結果は、人間が鍛えることの可能性を示してくれています。
この記事では、今回の研究結果と彼のYouTubeチャンネルで語られていることなどをもとに、彼のスゴさに迫ります。
本研究結果は、『Journal of Applied Physiology』に8月15日付でオンライン公開されています。
参考文献
元論文
Muscle and tendon morphology of a world strongman and deadlift champion
https://doi.org/10.1152/japplphysiol.00342.2024
ライター:髙山 史徳(Fuminori Takayama)
大学では健康行動科学、大学院では体育学・体育科学を専攻。持久系スポーツの研究者として約10年間活動。 ナゾロジーでは、スポーツや健康に関係する記事を執筆していきます。 価値観の多様性を重視し、多くの人が前向きになれる文章を目指しています。
世界一の怪力男・エディ・ホール氏
エディ・ホール氏は、ワールド・ストロンゲストマンでチャンピオンに輝いた経験を持つ、正真正銘の世界一の力持ちです。
彼はその大会以外にも、イギリス最強の男を決める大会でも5度優勝、デッドリフトの世界チャンピオンにも2度輝くなどの実績を持ち、現在では、YouTubeチャンネル『Eddie Hall The Beast』の登録者が300万人を超える人気ユーチューバーという側面も持っています。
今回、研究グループは、イギリス最強の男を決める大会で優勝した時から半年後に計測した彼の筋肉データを公表しました。
これまでの研究においても、力自慢の筋肉量に関するデータは報告されているものの、その結果は全身を通した数値に限られていて、部位ごとの詳細なデータはよく分かっていませんでした。
そこで今回、研究グループは、磁気共鳴画像(MRI)検査を用いることで、下半身の部位ごとの筋肉量を詳しく調べ上げました。
また、得られたデータと、特別な運動をしていない一般人、陸上競技100m競走のトップスプリンターのデータとを比べることで、彼の筋肉がどれくらい大きいものなのか、またその発達度合いは部位ごとに異なるのかを明らかにしています。
ちなみに、研究グループによると、本来のMRI検査では上半身の筋肉量も計測できるものの、彼の肩と腕が大きすぎて、上半身の計測ができなかったそうです。
そんな規格外の彼ですが、下半身の筋肉はいったいどれほどのものだったのでしょうか? 次のページでは、筋肉のデータと食生活をもとに、彼の強さに迫ります。
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