サイコパスバー「社会の扉」<テキーラサンライズ>
■ホンダ社の車が好きで、自家用車は全てホンダ社の物だ。 どの乗用車メーカーとも提携しない「独立独歩」の道を行くホンダ社の製品には、良くも悪くも「そんなものよく造ったな!」という「サプライズ」が備わっている。 F1撤退は残念だ。 筆者談
今日はお店の定休日(火曜日)。
ジョウは束の間の休日を自宅で過ごしていた。
45歳の独身。
賃貸マンション暮らし。
もう結婚は諦めている。
もう期待するのはやめている。
今さら誰かが居なくても、生きていける。
そう自分自身の心の中に微かに残る「青い春」に蓋をして、ひょうひょうと生きていく。
そう決めたのだった。
ジョウはコーヒーをすすりながら窓の外の景色を観ていた。
外は風がイチョウの葉を交えながら、11月という季節に彩りを与えていた。
あと5年で、ジョウは「半世紀」を迎える。
「俺が今死んだら現世に何も残せないな・・・。」
ジョウは今、この世に産まれ、生きている「意味」というものと向き合おうとしていた。
その「意味」というのは何なのか?
「生きる意味」という少々危ない方角に向かって、ジョウは歩み始めようとしていた。
だが、
「もうウダウダ考えていても不毛な休日を過ごすだけだな。」
ジョウはふと我に返ったのだった。
そしてジョウは自宅の棚から「テキーラ」をおもむろに取り、冷蔵庫からオレンジジュースを取り出し、休日なのに「カクテル」を作り始めた。
「テキーラサンライズ」
ジョウはカクテルの中で「テキーラサンライズ」が1番好きだった。
お酒なら「テキーラ」ジュースなら「オレンジ」が1番好きだからという単純な理由がそこにあった。
ジョウは作った「テキーラサンライズ」を一口飲んだ。
その味はオレンジの柑橘類の豊かな甘味と酸味が、テキーラの個性的でワイルドな味とうまく絡み合い、まるで「初夏」のような清々しさを醸し出していた。
「これからも自分のチカラで生きていこう!」
ジョウは「テキーラサンライズ」の清々しい味わいに感化され、そう決意した。
テキーラサンライズの「カクテル言葉」。
それは「熱烈な恋」。
今のジョウには「馬の耳に念仏」、「盲目的」な言葉である。
<テキーラサンライズ>終