ささやかな日常
超短編、というより短文。5選。
駅まで近いからなるべく傘をさしたくないと思いながら、びしょびしょになる帰り道。
桜が散るのを見ては、届かぬ思いに馳せていた自分は、いつの間にか落ちてくる毛虫に怯えるようになっていた。
電車が地下に入ると無意識に前髪を直す。
ひたすらに暗い壁が続く窓の外の景色をぼんやりと眺める。
最後に取っておいたソーセージを皿の内側に隠して、ばれないようにそっと食べる幸せ。
口の中でプリッと破裂して、旨味が一面に広がる。
トイレに行くと、いつも清掃員さんに会う。
清掃員さんに挨拶をする日課ができた。
なぜだろう、日によってトイレに行く時間も違うのに。