完全網羅!24平均律コード進行集!【031】
こんにちは、こんばんわ、ユートピア!
やって参りました、変拍子兄さんの時間です
24平均律を作曲として取り入れてはみたいものの
どういう発想で取り組んだらいいのか、結構お悩みのことでしょう!
ということで、今回は24平均律の実践編!
微分音の活用法についてより具体的に迫っていこうかと思います
12平均律上の定番の進行に24平均律のコードを紛れ込ませるというコンセプトで解説していきますかね。
・Xenトーン
それでは早速、新語の定義から。
12平均律上ではルートの選択肢として12種
こちらは特に微分音でもない普通の音「コモントーン」と呼びましょう
そして、24平均律上ではそれが新たに12種追加されます
この12音を概して「Xenトーン」と呼ぼうかと思います
今回この12音をルートとして活用していこうというお話です
このXenトーンをルートととするコードを入れ込むわけですが
やたらめったら入れてしまうとメロディがどうしたらいいのかわからなくなります
そこで、背景として構えるスケールも把握しながらコード進行の微分音化を図りましょう
つまり、メロディを微分音化する際のスケールもセットで考えていきます。
・実践編
さて、ここから実際にXenトーンを使用したコード進行を考案していきます
音程順に行くと、高難易度のコード進行からでてきますので
僕の主観で3段階に難易度を分けました
微分音はとにかく自由度が高いので、最後まで着いてくる必要はありません
EASYが理解できたら、なんかわけのわからん事言ってるな~って感じで読み飛ばしちゃっても構いません。
今回読みやすさを考慮して、
①使用するXenトーンの説明
②コードの作り方
③スケールの作り方
④使用例&レビュー
のフォーマットで解説していこうかと思います
(現在レビューは途中までの公開となっています)
<レビュアー紹介>
今回微分音レビュアーとして原井さん、夜詠さんをお招きしました
(クリックしたら、Twitterに飛べます)
難易度★☆☆
これから紹介する4つのXenトーンは、非常に楽に扱えます
単純に間に差し込めばOKという使い方のものばかりです。
コードやスケールの生成の仕方を覚えれば、さらに使い勝手はよくなります
Eキ
FとEの中間地点、これが低難易度の微分音
ダイアトニックコードの中だけで話が済みそうな気軽さがありますし
主要なノートの間に位置することから、扱いやすいノートです
<コード>
コードトーンを考えてみましょう
ダイアトニックコードのFとEmこの2つの中間をとります
となります
突然出てきた、筆算のようなこの形式(仮称:ハーフバー)
今後も、中間化する際はこのように説明していきます
ここで出てきた手法は「パッシングニュートラル」と名付けましょう
メジャー→マイナーをパッシングする場合はニュートラルが出現します
<スケール>
Eキnの背景となるスケールを考えていきましょう
FもEmも同じCメジャースケールですが
ここはFリディアンとEフリジアンと捉えてハーフスケールを生成します
ちなみにこのスケールはリディアンとフリジアンの中間形ですので
いうなればリディジアンといったところですかね
この表の使い方ですが、
例えば7thを加えたい場合はD#を入れることになります
Eキに対してDキだと通常のm7ですが、それが半々音高いのでn7になります
スケールの表にある7音の中から、選べばOKという話なので
テンションやメロディを考えるときに活用してください
<使用例>
➤1-1
FとEmを使用するコード進行といえば下がるのが定番ですね
|F /Em /Am / | → |F /Eキn /Em /Am |
➤1-2
EmではなくE7を使い
丸の内サディスティック風にセカンダリードミナントとするならば
こういう↓のもいいですね
|FM7 /E7 /Am7 / | → |FM7 /Eキm(n7) E7/Am7 / |
情緒感がより深くなった感じがしますし
FとEの中間というのが、聞いててわかりやすいというところが良いですね。
_________________________________
Bキ
こちらもBとCの中間地点
Bdimがでてくるので少々ハードルは上がりますが
これもダイアトニックコードの間に配置できそうなXenトーンです
<コード>
コードトーンを考えてみましょう
ダイアトニックコードのCとBdimですのでこうなります↓
でました「沼5」ことニュートラルメジャー5
24平均律では、ニュートラル以上に重要なポジションを占める和音だと考えています
今後もメジャーとディミニッシュの中間形を考える時には必ず出てくるので
しっかり覚えておきましょう
<スケール>
こちらも先ほどと同様に
CメジャーとBロクリアンと捉えてハーフスケールを生成します
こちらはメジャー(イオニアン)とロクリアンの中間ですので
ロクニアンとでも呼んでおきましょう
沼5を4和音にしたい場合はこのスケールから判断し、A#を加えます
Bキに対してAキだとm7ですが、やはり半々音高いのでn7となりますので
Bキn7m5 となります
メジャーとマイナーの中間はニュートラルになるというのは
3度に限らず、他の度数にも応用が利きます
<使用例>
➤2-1
まずは、CとBdimを直接つなぎましょう
さらにマイナー向けのツーファイブを取り入れた
Bdim E7 Am を取り入れた進行を基本としましょう
CとBdimの間にBキnm5を入れることでメジャーからディミニッシュへ
グラデーションを描くようなコード進行になります
C /Bdim /E7 /Am | → |C /Bキnm5 Bdim/ E7 /Am
➤2-2
また間に挟むスタイルではなく、新しくできたスケールに
E7も巻き込んじゃってもいいでしょう
この場合トライトーン反進行の勢いが軟化した印象にしあがります
次の和音への推進力があるm7に対してn7はその勢いが弱まります
こう来たらこう!と感じさせるガッツリ感を「滲ませる」という効果が24平均律の持ち味だと考えています
ジャズとも相性が良さそうな性格ですね
C /Bdim /E7 /Am |→ |C /Bキnm5 /Eキn7 /Am |
_________________________________
Fキ
さあ、いよいよダイアトニックコードから離れたものに踏み込んでいきます
FキはFとF#の間ですね
F#というと真っ先にパッシングディミニッシュのF#dimが思いつくのではないでしょうか?
もちろん今回も、パッシングディミニッシュ的な使い方で攻略しましょう
<コード>
コードトーンを考えてみましょう
FとF#dimの中間ですので
やはり沼5がでてきました
24平均律では「パッシング沼5」という用法で多用できそうですね
パッシングディミニッシュをするなら、パッシング沼5もしてしまおう
という風に、安直につかってほしい技です
(さらに、安直に浸かってほしい沼です)
<スケール>
パッシングディミニッシュはリディアンを使用したモーダルインターチェンジと考えます
その中間形ですから
CメジャーとCリディアンのハーフスケールを考えましょう
これが、イオニアン+リディアン=イオディアンですね
余談ですが、Fキは11倍音ですので、メジャースケールの上の方で使用することもできますが
倍音がなんたら~、とかいう話は伏せておきましょう
さきほどから、さりげなく出現するハーフスケールとは
2種類のスケールの中間を取って生成したスケールのことです
そして、ハーフスケールの構成音を借用することを
ハーフモーダルインターチェンジ と呼びます
(略してハーフMI)
<使用例>
➤3-1
パッシングディミニッシュとしてオーソドックスな
F/F#dim/Gの間にいれる「パッシング沼5」のパターン
微妙にせりあがってくるのがなんとも情緒感がありますね
Fキnm5のFキ以外の構成音は前後と同じです
FM7 /F#m7(b5) /G7 / |→ FM7 /Fキn7m5 F#m7(b5) /G7 / |
➤3-2
大胆に、王道進行を
ハーフモーダルインターチェンジしちゃうのも手ですね
こちらはFの情緒感が高まり、Gの推進力が減り浮遊感が足されています
FM7→G7はエネルギーが収束していくのに対し
Fキnm5→G(n7)ではエネルギーが拡散していくような反重力感を感じます
こちらは扱いが難しいコード進行ですが
FとGの関係性が逆転している雰囲気がなかなか面白いところです
FM7 /G7 /Em7 /Am7 |→|Fキnm5 /G(n7) /Em7 /Am7 |
_________________________________
Gキ
GとG#の間のGキ
これも、同様にパッシング沼5としてコード進行に取り入れてみましょう
今回は背景スケールが見慣れない形になるので、
ハーフモーダルインターチェンジとして使うとなると難易度があがります
<コード>
それでは、まずはコードトーンから
ダイアトニックコードのFとEmこの2つの中間をとります
となります
メジャー+ディミニッシュ=沼5となるのが
だんだんと馴染んできましたね
<スケール>
次はスケールですが、予告通り
今までと違う現象が起こります
G#を使用するということは、ハーモニックマイナーとなります
ナチュラルマイナーとハーモニックマイナーの
ハーフスケールですから
「ハーフハーモニックマイナー」としましょう
構成音は以下↓
このスケール上ではCaugの代わりにC(M5)という珍しいコードが出現します
メジャーとオーグメントの中間はメジャー5という点も押さえておきましょう
またセカンダリードミナントのE7がEn(m7)という形に変化しました
同様にメロディックマイナーでも考えてみましょう
こちらは「ハーフメロディックマイナー」としましょうか
こちらはBdimがBm5に変化します、DmもDn変化しています
<使用例>
➤4-1
ここで基本形とするのはマイナーでの半音クリシェのこちら↓の進行
スケールを分析すると、ハーモニック、ナチュラル、メロディックと
マイナーを切り替えながら半音クリシェを行っています
G#とGの間でパッシング沼5を行います
半々音のクリシェが入ることで、悲哀なコード進行の中に、更なる感情のわだかまりを込めたような雰囲気を出すことができます
Am /G#dim /G /DonF# |→Am /G#dim Gキnm5/G /DonF#
➤4-2
お次は、ハーフメロディックマイナーも活用するパターン
G#の情緒感を前面に押し出したmM7、オーグメントやブラックアダーを駆使した進行を微分音化します。
今回はパッシングではなく、モーダルインターチェンジで
コードを書き換えてしまいます
ハーモニックマイナーの重苦しさの中にゆとりができて、飄々とした雰囲気になったように感じます
やはり共通の感覚としてあるのは、「曖昧化」というところでしょう
(↓は背景スケールも併せて図示してます)
1,2番目はハーフハーモニックマイナー
4番目はハーフメロディックマイナーとして
G#→Gキ F#→Fキ と置き換えています
表記がややこしくなってきますので、
構成音で捉える方が気が楽かもしれません
_________________________________
難易度★★☆
ここから難易度があがります
先ほどの4つはパッシング的に使用できますので、
「半音」の間に差し込むという使い方が可能でした
パッシングはスケールが変わったとも、調性の濁しともとらえられるので運用が楽です
すでに現れてきていますが
ここからはモーダルインターチェンジの用法がメインになっていきます
元のコード進行にモーダルインターチェンジが組み込まれた状態で出現しますので、ハーフスケールの存在を意識したコードワークが求められます
Bd
まずはBbとBの間Bdです
これは、ミクソリディアンが出てきそうですね
難易度★☆☆ではシャープ系を扱っていましたが
難易度★★☆ではフラット系を扱っていきます
<コード>
コードトーンを考えてみましょう
BdimとBbこの2つの中間をとります
安心しましたね、またしても沼5です
B→Cは情緒的、Bb→Cはダイナミックですが
このふたつの間を狙っていきます
<スケール>
背景となるスケールはお察しの通り
メジャーとミクソリディアンのハーフスケール
イオニアン+ミクソリディアン=ミクソニアンとなります
これは以前僕が考案した「Undecimal mode」のうちのひとつのスケールですね
11倍音が云々という話に発展しそうですが、
今難易度のコンセプト:スケールの混ぜ合わせから、離れてしまいそうなので割愛としましょう。\こらえて!変拍子兄さん!/
ミクソリディアンではなく
メジャーとドリアンのハーフスケールだと考えることもできますね
これはドリニアンですかね
Edがフライングで出てきますがいったんスルーでお願いします
<使用例>
➤5-1
ミクソリディアンは汎用性が高いですね
アニソンやポップスで幅広く出現します
基本形として、Am→BbとC→Bb 上がる・下がるパターンで使用してみましょう
こちら↓の進行では情緒感も浮遊感も避け、キャラの方向性がなくなりました
ある意味肩透かし、どっちつかずではありますが、
青でも緑でもない浅葱色、赤でも茶色でもないバーガンディ
のような繊細な色使いのように感じますね
C /G /Am /Bb |→ C /Gn /Am /Bdnm5
➤5-2
こちらはNEW GAME!のOP、SAKURAスキップのイントロのコード進行です
不思議なことにBdが目立って聞こえますね、情緒性も浮遊感も持たない性格がよくわかります
今回はわかりやすく、三和音でしたが
他のXenトーンと合わせて、なじませると色々な表情を見せそうですね
C Bb/C Bb/C Bb/C Eb F Bb
↓
C Bdnm5/C Bdnm5/C Bdnm5/C Ed F Bdnm5
_________________________________
Ad
ミクソリディアンMIの次には、パラレルマイナーMIがありましたね
(※MI=Modal Interchange)
これも非常に派手な演出ができるMIです
<コード>
さあ、コードトーンを考えてみましょう
AmとAb
となります
メジャーとマイナーの中間をとったらニュートラルが出てくるのも
お馴染みの現象ですね
ニュートラルは結構イカツイ和音ですが
メジャーとマイナーの間に挟むという使用方法なら、なかなかの撹乱要因として活躍します
<スケール>
背景となるスケールはメジャーとマイナーのハーフスケールです
いつも通りのネーミングセンスだとイオニアン+エオリアン=イオリアンと言いたくなるところですが
天下のメジャー様・マイナー様の合いの子ですので
「ニュートラルスケール」としましょう
<使用例>
➤6-1
MIといったらこれ!というド定番の進行がありますね
短3度上へスライドするという必殺技のようなこちら↓のコード進行です
これを微分音世界へ飛ばします
印象としては、MIしたようなしてないような?というどっちつかずの気分になります
F G /Ab Bb |→ F G /Adn Bdn |
➤6-2
このスケールを前提とすれば、全員ニュートラルという鬼畜コード進行もできます
王道進行に全体的にもやがかかったような、渋さがありますね
じんわりと高揚していくようなコードワークです
|FM G /Ab Bb | →| Fn Gn /Adn Bdn |
_______________________________
Ed
こちらも同じくニュートラルスケールを使用したハーフMIです
Ebを使用するともはや転調なのでは?という危険性があることから
Ab Bbに比べて使用のハードルが高くなっています
それをさらに微分音化するというまた、スリリングなコードワークが期待できますね
<コード>
コードトーンはEmとEbのハーフとなります
<スケール>
スケールに関しては、もうでてきたのですが
Adのところと同様のニュートラルスケールです
<使用例>
➤7-1
これは僕のお気に入りのコード進行なのですが
定番の4321進行でEbを経由して、強力な浮遊感を生み出します
Ab Bbがありきたりに感じて来たら、使っていただきたいコード進行ですね
Em/Edn/Ebと微分音定番の半々音進行ですが
メジャー→ニュートラル→マイナーの3つのワールドをトリップする
エキセントリックなコードワークです
|FM7 /Em7 /EbM7 /Dm7 |→|FM7 /Em7 /Edn7 /EbM7 |
➤7-2
マイナーのサウンドを混ぜるというのはブルースやロックンロールの十八番ですね
こういった乱暴なコード進行を
さらにニュートラル化して、凶悪にするということもできます
これはハーフモーダルインターチェンジと
7倍音のm7をn7として高く鳴らすという「バイアス」の技法をハイブリットさせたものです
(…難しく言いすぎましたね、インパクト重視の投げ技という認識でもOKです)
|C7 /Eb7 /F7 /G7 |→|Cn7 /Edn7 /Fn7 /Gn7 |
_________________________________
Dd
さてお次は、さらなるディープな浮遊感を生み出すDbとのハーフです
DbM7はM7がちょうどCになるコードですので
n7がちょうどCとなるコードが作れます
<コード>
コードトーンを考えてみましょう
DとDbの中間
<スケール>
DbM7はフリジアンへのモーダルインターチェンジとして扱えますね
さらにDb7とすると裏コードとして機能します
(この場合はハーモニックフリジアンになりますかね)
イオニアン+フリジアン=イオジアンですね
<使用例>
4321進行の応用技で、最後をDbにするというオシャレな進行を微分音化しましょう
FM7 /Em7 /Dm7 /DbM7 |→|FM7 /Em7 /Dm7 /Ddn7 |
さらに動きの幅を細かくした進行です
Eキのパッシングニュートラルを入れたり、
スケールを細かく切り替えるというコード進行にしました
|FM7 /Em7 /Dm7 /DbM7 |→
|FM7 Eキn7 /Em7 Ednm7 /Dm7 DbM7 /Ddn7 |
難易度★★★
さて、最高難易度のXenトーンを使用していきましょう
ここからは元となるコード進行も相当ひねくれた代物が登場します。
コードやスケールを生み出す手法もかなりマニアック!
調性を拡張して挑んでいく、魔の領域となります。
心して、ついてきて下さい。
Gd
GbとGの間と捉える場合とF#とGの間と捉えるパターンがあります
前者の場合はロクリアン-ハーフMI
後者の場合はF#とGを中間化するのでスケールをずらしてハーフスケール化します
ハーフMIでも、パッシングの側面でも捉えられるというところが
なんともややこしいところですね
<コード>
後者の場合ややこしいですがF⩨(ジャンプシャープ)と表記しました
実音としてはGdと同じですが意図があります
♯系がオトーナリティ、♭系がユートーナリティという法則性を反映させたものです
異名同音云々の時点でかなりニッチですが
24平均律上でも異名同音云々があるんですねぇ、ひええ。
<スケール>
ロクリアン+イオニアン→ロクニアン
Cメジャー+Bフリジアン→Bキロクニアン
序盤では説明しませんでしたが、このようなパッと見意味不明なスケールの解析法を述べておきます
簡単です、①半々音あげでKeyCに移しましょう
②KeyCに移した後、どのスケールのハーフか見極める
③Xenトーンになっている箇所を半々音上げた/下げたスケール
結果 C Dd Ed F Gd Ad Bd
という風にイオニアン+ロクリアンのハーフスケールが出てきました
このように出来上がったスケールから元のスケールを逆算することもできます
<使用例>
C /Bbm /Ab /Gb | → |C /Bdnm5 /Adn /Gdn |
パッシング沼5の2連撃ですね
入念にドミナントへ進むという、神経質な慎重さを感じます
F F#dim /G |→|F Fキnm5 /F#dim F⩨nm5 |
_________________________________
Cキ
Cの半々音上なので、単純にスライドして使うのもOKです
このように、コードが本来の位置より高かったり、低かったりする技法をサイドステップといいますが
部分転調とまでは言えません
CとC#の間として、ずらし技よりも高度なコードワークをしてみましょう
つまりCのトーナリティの中で、Cキを使用するということです
<コード>
<スケール>
”逆”モーダルインターチェンジならぬ”逆”ハーフMI
厳密にいうとパラレルマイナーMIの逆演算+ハーフ
というなんとも小難しい表現にはなりましたが
F G A といったマイナーがパラレルメジャーとなるよくある進行に応用します
<使用例>
よくあるとは言いましたが
オーソドックスなのはF/G/A まで
Aの次にKeyAのIIImへ移ります
この時点でもテクニカルですが、それをハーフMIにします
F/G/A/C#m
↓
F/G/An/Cキn
このMIはKeyCを明るく変化させてKeyAと併存させるというポリトーナル化です
KeyCとKeyEbとは逆方向のポリトーナル化の技法です
KeyCとKeyEbはユートーナリティ側でポリトーナル化を行うのに対し
KeyCとKeyAはオトーナリティ側でポリトーナル化を行います
それをさらにハーフ化し、にじませるというアツアツの鉄を水に突っ込むような(?)テクニックですね
➤10-2
また別のアプローチ
突然ですがAとEの中間地点ってどこだかわかりますか?
こういう風に12音を円形で表示
A-E間に線を引き
間の線を引くことで中間地点が明らかになります
まあ5度=7Step これを半分にして3.5Step という計算でも
中間地点を求めることができます
それが、CキとGdとなります
つまりCキはAとEの中間地点ですので、この特質を利用したコードワークができます
これを「ミドルコネクト」と呼んでいます
ついでにEとF、FとCの間もミドルコネクトにしました
Am /Em /F G /C |→ |Am Cキ /Em Bdn /F Ad /C |
この進行は結構ぶっ飛んだ世界観を演出してくれます
ちなみにミドルコネクトは仮称で、もっと面白いテクニック名を思いついたら教えてください
他のXenトーンもミドルコネクトで使用することも可能ですので
気になった方は調べてみてください
_________________________________
Aキ
これもパッシング沼5と同様に扱っていきましょう
A#というのが扱いづらいところなので、面倒なことが起こりそうです
・パターン①:パッシング
<コード>
<スケール>
ロクリアンのパラレルメジャーともなると
遠すぎる…
ロクリアン自体が厄介者なのに…
もっと話を軽くしたいものです
・パターン②:セプティマルスケール
<スケール>
そこで、24平均律中でもっとも7倍音に近いAキを直接スケールにいれた
「セプティマルメジャー」というものを導入しましょう
こちらは特に何かのハーフスケールというわけではなく
普通に生まれたスケールです
12平均律の発想では出会うことのないスケールが登場してしまいましたが、
直接モーダルインターチェンジ、とすると話がすっきりしますので
使っていきましょう
セプティマルメジャーという言い方をしましたが
7倍音系の音程が入っているメジャーであれば、セプティマルメジャーなので、ひとつのスケールを指すものではありません
<使用例>
C/Am/Dm/G
↓
C(i7)/Aキim5/DmM5/G(addキ9)
このコード進行ではわざとAキを含むように変換しました
そのためC(i7)やG(addキ9)といった、もともとのコード進行にはない要素が加わっています
これまでのモーダルインターチェンジとは異なり
チャーチモードやメロディックマイナーから離れたスケールを使用するため
im5やmM5というコードクオリティが出現します
7倍音の響きを取り入れたためマイナーとは違った、気だるく暗めな雰囲気を出すことができます
C/Am/Dm/G
↓
C(i7)/AmM8/Dm/G(addキ9)
もともとのCメジャースケールと混合させてもよいというアイデアを用いると
AmM8、つまりAもAキも両方存在するというコードの使用も可能です
これは「トーナルダイバージェンス」と呼んでいるコンセプトで
複数のスケールを同時に使用してもよい
コードの構成音も好きに選んでよいというコンセプトです
こうすることでコードのトライアドは微分音化しないという策をとることも可能です
_________________________________
Dキ
最後は24平均律上のブルーノートDキです
対応する純正音程は7/6(231セント)なので、250セントであるDキは理論上のブルーノートよりは高い位置にあります
・パターン①:セプティマルスケール
<スケール>
Aキの時に使用したセプティマルメジャースケールのように
直接Dキを入れたスケールを用いてみましょう
ここで注意点としてDキをEと入れ替えるため
Dキ=Edbとして解釈します
C Edb Gがインフラになることから、このスケールをインフラスケールと呼ぶことにしました
構成和音を見ていきましょう
dim5の半々音下げとしてi5という表現を使っています
またEdbの箇所はEdb G BとするとGM5の転回形であることから
Edb F Aキ=Edbiを採用しています
<使用例>
|C /Em /F /G | → |Ci7 /Edbi7 /Fu(i7) /GM5addキ9|
インフラスケールを使用することで、メジャー/マイナーとは完全別次元のコードワークが実現できます
ダークでおしゃれな感じ、非常にAuthenticな微分音コードワークです
C/Em/F/G → Ci7/Edbi7/Fu(i7)/Gi7
G7がメジャーであることからGi7としてもいいでしょう
その際7thがFdにすることでGの7倍音を使用した
より深いトーナルダイバージェンスを体現することができます
・パターン②:オーグメントとのハーフ化
<コード>
また別の例としてハーフ化の手法も見ていきましょう
DmとGaugをハーフ化します
Gaugは本来D→Eと解決するところを、D#→Eにした、上方変位として使用されます
この考え方では、対応するスケールがありませんので後付けにはなってしまいますが
D#augを含むホールトーンスケールだったということにしましょう
そしてできあがったスケールはuM5:ウルトラメジャー5
こちらは沼5に対して「梅5」と呼んでみましょう。
<スケール>
7音スケールと6音スケールをハーフ化してしまうのは果たしていいのか?ということも結構な疑問ですがここまでくるとなんでもアリです
かなりアドホックなスケールを作ってしまいましたが
厳密に考えれば、D#のオーグメント系の6音スケールを全部網羅してもいいかもしれません。
って考えるとホールトーンの方がわかりやすいのでよしとしましょう
<使用例>
パッシングオーグメントとはあまり言いませんが、
半音移動してオーグメントに行くというのはよくあるパターンですね
これに微分音パッシングとして、uM5を差し込むという名付けて
「パッシング梅5」です
ホールトーンスケールの背景スケールを用意したことで
ブラックアダーコードにも対応ができます
◆用語解説&まとめ
今回の記事では、僕独自の概念が大盛りでしたので
用語解説も置いておきます
そしてXenトーンを順番に並べてそれぞれの特徴をまとめてみました
夜詠さんのレビュー総括
◆〆
ということで24平均律の12種のXenトーンをルートに用いたコード進行を完全網羅しました。
約1万字越えの超大作、いかがでしたでしょうか。
24平均律のコード進行は「パッシング」「ハーフモーダルインターチェンジ」を用いることで24平均律上のあらゆるコード進行が使えるようになります
この手法に飽きた場合や小難しいと感じた場合は
もっと暴力的な技もありまして
コード進行を微妙にずらす「ワープドプログレッション」
コードトーンを全体的に上げ下げする「バイアス」
和音を拡張するとなると
ウルトラやインフラなどの微分音和音や、11倍音を意識したテンションなどなど、他にもまだまだ手法がありますね。
Xenトーンルートのコードを網羅しましたが
「Xenトーン12種をすべてルートC上で使う」とか
「CからXenトーンルートへ直接移る」
という検証もおもしろそうですね。
今回、レビュアーをやっていただいた
原井さん、夜詠さんに感謝申し上げます!!
検証系の記事をやるときはこんな感じで、レビューを差し込もうと思ってますので、レビュアーをやりたい!って方は遠慮なく変拍子兄さんまでお伝えください!お待ちしております!