引っ越しだ2。デザビレの良いところ・少し怖いところ[台東デザイナーズビレッジ]
以前のnoteで触れた通り、本年度(来年3月)にて、今スタジオを構える台東デザイナーズビレッジを離れ(俗にいう卒業)、自分のスタジオを構えます(なんとスタジオ決まりました!いえーい。これはまた別で!)
来たる10月1日からは、私のように出て行く人(結構いる)と入れ替わりで入居する新しい入居者さんの募集もスタートします。
今日はデザイナーズビレッジという私にとって特別な場所について、良いところ、逆に少し怖いところ(悪いところじゃないよ!)、を今入居している人の目線から書いてみようと思います。
卒業前の、今の自分にしか書けないと思ったので。
※以下、あくまで全て私山本の感情と山本調べです、公式のnoteではありませんので悪しからず。
・・・デザイナーズビレッジとは?・・・
・台東区(浅草と上野の間)にある、創業支援施設。デザイン系で独立して自分でお仕事を始めたばかりの人(5年以内)に、とてもお手頃な価格で事務所スペースを貸してくれる。加えて、今まで似たような、だけどきっと一つずつ違う、いくつものブランドのストーリーを山ほど見てきた見守りのプロかつ優しさのプロである鈴木村長とその周りの方々に相談したりアドバイスを受けたりできる、というベネフィットもある。
・長くて3年いられる。更新や留年はなし、だけど早く出ることはできる。
・略して デザビレ と呼ばれることが多い。(初期から知る人はデザビと呼ぶ。なぜだろ?)
私は、
2016年10月に申し込み申請
2016年11月-2017年の年明けにかけてtactorのデビューコレクションの準備をしながら入居の審査を受け(入居には書類審査と面接審査があります)
2017年4月ブランドとして実質の運営を始めた時期からデザビレに入居させてもらいました。
・・・そもそも、入居しようと思った理由・・・
ロンドン留学を終え日本に帰国した時、一番困ったことは東京に関する知識のなさ・知り合いの少なさでした。
愛知を出てイギリスに行き、30歳を過ぎて帰国して初めて住んだ東京。
正直まず、例えば生地ってどこで買えるのか、服を買うにはどんな素敵なお店があるのか、そして遊ぼうにもどこに行くと何が見れて何が食べれるのか・・・そして、服を仕事にして生計を立ててる人ってどこにいてどうやって生きているのか?
わからない。何もわかりませんでした。
(最初、知ってる地名が恵比寿くらいでまず恵比寿に住んだという壊滅的無知。家賃むちゃくちゃ高かったです・・・。すぐ板橋に引っ越した。)
帰国してある程度の時間が過ぎた頃、知識の面は自分で足を運び調べればどうにかなるのに対し、興味のベクトルが同じ方向を向いている知り合いは一気には増えないというもどかしさに、
よし。とにかくどこかの既にあってすごく良いコミュニティに飛び込もう。
という気持ちがとても強くなりました。(素直でしょ)
そんな時、ひょんなことから年に1度のデザビレのオープンスタジオに遊びに行きました。
初めて知るデザイナーズビレッジ。いくつかのブランドの製品をとても楽しく買い物。
そして、
*入居している人の業種の幅の広さ(服・ジュエリー・財布・グラフィックなど、いろんな刺激がありそうと感じた)
*入居している人のデザインのテイストのばらけ方(施設の主はデザインテイストで入居者を選んでいない=デザイン以外に目を向ける施設主なんだな=そういう面を相談して成長できるかなという期待)
*ここならなんかいけそうという漠然とした直感(説明不可能ですが・・入居者の人と話したら総じて落ち着いたいい人だったから・・・かな)
に、
これだ。このコミュニティに属したい。
と(勝手にですが)思いました。
もちろん、入居されていた方々のデザインが素敵で、目標にしたい、2年後3年後ああなりたい、と思うブランドがあったからというのはいうまでもありません。その年の10月にブランドスタートを待たず入居のエントリーをし、運よく入居という流れになりました。
また、立地の面も好都合でした。
私は、ロンドンにいた時からtheファッションの中心に寄り過ぎると(例えばOldstreetに住むとかKnightsbridgeのショップでバイトするとか)自分を見失いペースを保てなくなることが多かったため、デザビレがある場所は中心へのアクセスは良いながらも落ち着いていて、自分のブランド運営やデザインに集中しやすいのでは、という気持ちもありました。
・・・デザビレの良いところ、入居してよかったこと・・・
山ほどありますが、私の中でのすごくすごく良いところTOP3をあげてみます。
1)お友達、知り合いが増えた
私の一番はここです。上記コミュニティ欠乏問題からの流れです。
デザビレの学年システム(皆4月に入居してほぼ3年の同時期に卒業するため、同期=学年が発生する)はどなたが考えたのかと思うくらい素晴らしく、皆入居と同時に同期ができます。
もちろん皆さん忙しいのでずっと一緒に遊んだりするわけでは全くないですし、何がどうっていうことは本当にないけれど、この土地で同期と呼べる存在ができたことは私はとても嬉しい。
そして、同期以外にも同じ建物にいる先輩や後輩(?と呼ぶのは変だけど流れでね)のみなさん。
ふとしたことを相談したり、いろんなことを教えてもらったり、廊下で会って挨拶したり。
人と人との触れ合い以外にも、例えばどうにもならない徹夜の時自分の部屋以外に電気がついていたりするのを見ると、ああやろうやらなければ、という気持ちが素直に湧いてきます。
似たような状況にある同士を身近に感じると己の目標への使命感が増すのは、何か根拠がある人間の摂理でしょうか。科学で証明されているかな?それくらいすごいこと。
刺激を受けたりね。
ありがたい環境です。
2)皆が知る肩書きがついた
これは入居一年目に特に嬉しかった予期せぬこと。
デザビレに入居するまで私は「セントマ卒ロンドン帰りの人」だったので、自己紹介をした後の「で、結局何物なの?」感がすごかった。人は、馴染みのない経歴の人にはあまり関心や信頼や共感を持ちづらいんだなという事実に気付かされました。
ところがデザビレに入居後「デザビレにいます」というと、前行ったことあるよ、とか、お友達が入っていたよ、とかお話のきっかけになることがたくさんあり、初めましての関係性の空気が柔らかくなることがたくさんありました。
ひいては、業者さんとお取引する際にスムーズに行ったりすることもあり、魔法のよう・・・まさに、今まで卒業されていった方達の人柄とご活躍あってこそ、と心から感謝しております。(本当に)
3)ブランドの長、という気持ちの成長を後押しする雰囲気
これはまだまだ成長過程の感情や出来事なのでうまくかけないけど書きます。
デビューコレクションの準備を進めながら入居審査を受けていた私は、デザビレ入居の面接で”tactorでこうなりたい、tactorはこういうもの”というブランドとしての意識を稚拙ながら初めてしっかり人に話しました。
前のnoteで触れた通り夢を持ち生きることをロンドンでは学んだけれど、日本に帰国後、ブランドを立ち上げ成長させたいという話をすると
ヨーロッパ帰りはビジネスマインドがない、
とか
あのセントマ卒ブランドも最初は良かったけど結局〜
等々の所謂”業界の大人”からのネガティブ攻撃に参っていたのも事実。
(上記、え、日本学校出もビジネスマインドなんてなくない?え、最初良かったんだったら最初からダメよりよくない?と思えた人お友達になりましょう)
ですが、なぜかデザビレにはそれがない。
その雰囲気を作り出しているのは鈴木村長とその周りの皆さんや頑張っている入居者の人たち成功している卒業生の皆さん、その歴史の賜物だと思うけれど、きっと根底にあるのは村長。
村長が他の大人の方(この定義も曖昧だし私も大人だけど・・・)と絶対的に違うのは、人の目標を茶化さないことだ、と感じています。(山本調べ)
今までただの妄想だったことが現実として明確に走り出したあの面接の日から、私は山本個人であると同時にブランドの長になりました。私はそのハードルを越えるのに人より時間がかかったし、何をするにも遅いというかゆっくりなのは今に始まったことじゃないけれど、その後も、半年に一度のヒアリング(入居者は村長との業務計画等のヒアリングの時間がある)などを通じて、ブランドの長であるという意識はゆっくり良い方向に進化していると思う、そしてそれは、この施設に入る一番最初のとき茶化さずちゃんと聞いてくれる人がいたからだと思うし、この施設を取り巻く現在進行形の歴史のおかげだと思う。
大人になって、社会人も経験して、自分の人生に冒険しづらくなっている大人の人や、不器用な私のような人にしかこれは響かないかもしれないけど、私は大人で不器用だからこそ、とてもありがたくデザビレの恩恵としてこの雰囲気を味方につけているつもりです。
4)その他
その他はきっと誰もが想像する通り!
*アパレルブランドとして活動できるだけのスペースがある=広い
*このスタジオの広さが卒業後維持できなかったらどうしようという怖さでますます仕事が頑張れる(事実です。1度持ったものは小さくしたくない)
*いつも誰かいて人間の雰囲気がしてさみしくない
*違う業種の人が多いから自分の不得手な技術の質問がしやすい
*荷物が受け取りやすい
*人が呼べる=使える部屋がいっぱいある
*イベントごとがあってその度に楽しいしブランドの紹介ができる
*施設単位でフューチャーされる時メディアに出れるしブランドの紹介ができる
*年に何度かあるセミナーでいろんな人が来てくれて話を聞くとハッとする
*飲酒に寛大
などなどです!
台東区さまさま・・・
・・・デザビレの少し怖いところ・・・
これは私が超個人的に微かに思うこと。(このnoteがずっとそうだけど)
おそらくこの施設を卒業して活躍している人が多いからだと思うのですが、たまにデザビレにいるという話をすると
「バイヤーさんに売り込んでもらえるの?」
「売れるノウハウがもらえるの?」
という、うまくいく近道伝授が一方的にあるのかという方が一定数いらして、それはちょっと怖い認識だなと思うことがありました。
私は幸運にも、あまり予備知識を持たずにデザビレを受けたのでそういった期待には至らずにすみましたが、もしその期待を持って入居する人がいたら、そういうのはないから怖いなぁ、と。(なんか偉そうかな、すみません。)
最後に
以上、つらつらと今私が思うデザイナーズビレッジという施設について書いてみました。
とても個性的なこの施設に、関われていることすごく嬉しく思う時があります。この私が今いる102号室を、次はどなたが使うんだろう。
続いていくことってすごい。
現在進行形のtactorのストーリー、今更気づく、ブランドスタートと共にデザビレに入居した私は、とんでもなく恵まれた素晴らしいスタートを切らせてもらったのだということ。
わー。
まだまだ卒業(卒業といえば尾崎)まで半年あるけれど、徐々に秋めいてきたこの頃、少しずつ引越しのことも頭に入れながら、ますますブランド頑張っていけたらと思っております。
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