大切なものがもたらすゆたかさと、サステイナブル[tttt_vol,1]
<サステイナビリティ>に対するブランドの取り組みは?
<サステイナブル>を意識したアイテムはありますか?
このような質問をいただくことが、この数シーズンぐん!と多くなりました。
ファッションを仕事とし、服を”作っていく”立場として。
ブランドとして。
また、ファッションが大好きな個人として。
tactorのような、小さなブランドができることってなんだろう?
ファッションが大好きなものとして、私個人ができることってなんだろう?
tactorはテキスタイル産地に縁のあるデザイナーとして、2020年より、テキスタイルをセレクトして服に仕立ててお届けするプロジェクト
tttt(tactile textiles)
をスタートさせています。
このプロジェクトは、上にあげた問いに楽しみながら挑戦していく、私そしてtactorなりのご提案の第一歩でもあります。
このnoteでは、tttt_vol,1として、私が個人としてサステイナブルという言葉の響きからずっと考えていること、ブランドとしての思い、そしてそこから動き出した新しいプロジェクトへのつながりについてを書いてみたいと思います。
サステイナブル、っていうけど
サステイナブル、SDGs、持続可能、環境に優しい
日常において、耳にすることも目にすることも増え、避けられない、というより共存すべきトピックとなりました。
ファッション業界もおなじです。
このコロナからつづく一連の世相はわたしたちに毎日の生活を見つめ直す隙間をあたえ、より良さの基準を考え直すみんなの思いは、ますます高まるのだろうなぁと感じています。
自然との共生、エコ、0waste。
大きな規模の話になるとどうしたらよいのか分からないというか、どこからはじめたらよいのかわからない、というのが、正直な気持ち。
さらに私が今運営しているtactorが目指しているものは、例えばファッションの仕組みを根底から変えよう!とか誰も見たことのない未来を現実に!というようなものとは異なります。どちらかというと皆さんと一緒に同じ方向をみて、ブランドのコンセプトでもある”日常の一歩先”を叶えて行けたらという思いが強い。
ブランドとして、例えば再生可能な繊維を作りだしたり、課題を解決するようなビジネスモデルを創出したり、というような大きく難しいことやデザイナーの手を離れてしまうことではなく、生産から販売までを見通せるこのサイズのブランドだからこそ、できることはなんだろう、という思いがずっと、ありました。
大切なものとその意味
私が個人のファッション好きとしても、そしてブランドの長としても、このトピックに想いを馳せる時行きつくのは長年一緒に時を過ごしている身の回りの大切なお洋服のことです。
ファッションは巡り、新しいものがどんどん作られる。それは衣類というコミュニケーションにおいて仕方のないこと。購入した瞬間から消費はスタートしていて、どんなに上質な服でも何度も着れば使用感が出、新品ではなくなる。
破れたり、ほつれたり、または色が褪せてしまったり。あるいは自分の体型が変わったり、人生の新しい生活シーンが始まったり。私たちの日常が更新されていくたび、新しい今の自分に適した服が必要となる。それがファッションの面白さでもありますよね。
例えばサステイナブルを意識した時、例えば、悪影響を与えないという部分を切り取り”新しい物を生まない”ことは、とても不自然に感じてしまいます。
変わり続けるからこそ楽しいファッションが、止まってしまうのは何か違う気がする。ねじ曲げなくても良いところまで、ねじ曲げてしまっている気がする。
それならば、続いていくことを前提として、”長く楽しめる意味をもったものを生み出すこと”、そして”近い未来にどうでもよいものにならないものをつくること”が、作り手として、そしてファッション好きとしても、持続可能を意識した最初の気持ちの切り替えなのかなという考えに至りました。
tactorのサステイナブル
こんなかんじで、行ったり来たりの自問自答を繰り返す中で徐々にサステイナブルという言葉に慣れてきた今、私なりのサステイナブルとはこんなことかな、という思いに落ち着きました
これまで誰かに真摯に大切にされてきた、
これからも大切にしていきたいこと&大切にされていくべきだとわたしが思うことを、
これからも大切にしやすい形に変えてみなさんに届ける
こと。まずは、持続・維持、というワードに重きを置いて、これからも大切にしたいものを伝えて、つなげていくこと。
長く楽しめる意味のある、そして長く日常を共にできるものをデザイン・生産していくこと。そしてそれがもし回り回って、環境への配慮にも繋がるものになるのなら最高、という意識です。
ねじ曲げて無理をしたものではなく、よりよく皆でたのしめる、ゆたかさをもたらす大切なものを生み出していくこと。
そして、じゃあ私がみなさんに伝えてまで大切にしたいもの・残したいものとは?と思った時、一番最初に思い浮かんだのは地元愛知県のテキスタイル産地のこと、そして、大切に保管されているたくさんのテキスタイルのことでした。
こんな気持ちと思いから、tttt<tactile textile>プロジェクトはスタートしました。もしおお、なんとなくわかるな、と思ってくださった方がいたら嬉しいです。
次回、tttt_vol,2では、私の地元愛知県の産地のこと、幼い頃の思い出も少しお話しながら、具体的なプロジェクトの詳細もご紹介していきます。