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#1-0 北海道名寄市あったかICT物語【シーズン1(導入前夜編)】
エピソード0「ICT物語を始めるにあたって」
★執筆・インタビューを担当するのは・・・
#1-0 北海道名寄市あったかICT物語【シーズン1(導入前夜編)】
こんにちは!
(社)地域包括ケア研究所の大曽根 衛(おおそね まもる)と申します。
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私はご縁があり、2020-21年度(令和2-3年度)に「名寄市医療介護連携ICT導入・運用アドバイザー」として、関わらせていただきました。
多くの方の想いを重ね合わせ試行錯誤を繰り返しながら、丁寧に進められてきたプロジェクト。
さまざまな角度からスポットライトを当ててみて浮かび上がってくる「ICTにまつわる物語」を記していくことで、さらにこの取り組みが豊かに育っていくことを願っています。
★あったかICT物語の舞台は、北海道名寄市(なよろし)。
名寄市は、北海道の北部、いわゆる道北エリア(上川北部)に位置する人口約26,259人(2022年5月末)、高齢化率33.21%の市であり、道北最大都市の旭川市と最北の稚内市のほぼ中間に位置し、もち米生産日本一など農業や商業が盛んな地域です。その他、ひまわり、雪質日本一、サンピラー、日本で2番目に大きい公開天文台があるなど自然豊かな風土を有しています。
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また、交通の要所でもある名寄市は、広大な道北北部の救命救急と第三次医療を担う基幹病院として名寄市立総合病院(359床)を有しています。
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ここ名寄市では、2021年(令和3年)7月から医療介護連携ICT「ポラリスネットワークVer.2.0」が本格稼働しました。
同意を得た登録患者さんの医療・介護情報をリアルタイムに共有することができ、また患者さんごとのチャットグループによって、医療と介護における多職種関係者間の円滑な情報共有やコミュニケーションを支援しています。
ICTを通じて「質の高い医療・介護サービスを提供すること」を目指し、運用が開始されています。
これまでは労力がかかり心理的負担の大きかった連携の課題も徐々に解消されるものが出てきたり、ICT活用によって生まれた心あたたまる患者さんの物語も多く共有され始めています。
稼働から間もないICTでまだまだ発展途上の段階ですが、ありがたいことに様々な面で注目をいただきはじめています。
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★とにかく高い介護事業所参加率!
介護事業所の参加が課題となりやすい医療介護連携ICTですが、名寄市では「医療連携」・「医療介護連携」・「介護連携」それぞれの連携シーンで活用できるようになることに軸を置き準備を進めてきたため、特に在宅医療介護連携が必要な病院、診療所、薬局、歯科医療機関、介護事業所の多くが参加し、介護事業所については90%という高い参加率になっていることが特長です。
これだけ介護事業所やケアマネジャーが積極的に参加してスタートしているICTは珍しいようです。その他もちろん行政や歯科や薬局なども参加しており、多職種の連携インフラとしてすでに欠かせないものとなっています。
また、
行政主体の運用
介護行政DX(デジタルトランスフォーメーション)
ランニングコストの最小化
ICT導入プロセスの工夫
などにも大きな特徴があります。
そして、
★名寄のICTはあったかい
それぞれ特徴の詳細なども追って記していきたいと思いますが、
名寄市の医療介護連携におけるICTの取り組み、とにかくあったかいんです。
導入に至る背景も、導入方法も、導入後の活かし方も。
「あったかさ」はなかなか言葉では伝わりにくいですが、さまざまな形でできる限りお伝えしていきたいと思います。
まず、このシーズン1では、
実際にICTのシステム導入に着手する2020年(令和2年)3月までにスポットライトをあてます。
名寄市行政職員でもあり、ICT導入におけるキーパーソンのおひとり、
橋本いづみさん(名寄市健康福祉部こども・高齢者支援室地域包括支援センター所長)へのインタビューを通じて、ICT導入前夜の物語を見ていきたいと思います。
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それでは、シーズン1エピソード1にいってみましょう!
★★名寄市あったかICT物語の構成★★
【シーズン1(導入前夜編)】
エピソード0:「名寄ICT物語、始めるにあたって」
エピソード2:「焦りとICT」
【シーズン2(導入編)】
エピソード1:「想いをカタチへ①」
エピソード2:「想いをカタチへ②」
エピソード4:「ケアマネジャーから見たICT①」
エピソード5:「ケアマネジャーから見たICT②」
エピソード6:「医師としての紆余曲折の全てが今につながる」
エピソード7:「孤独に陥らないあたたかいシステム」