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#5-4 北海道名寄市あったかICT物語【シーズン5(3年経過の現在地編)】

エピソード4「あー!そうだったんだ!『あー体験』の宝物紹介(2)・・・地域連携会議in名寄⑥より」

シーズン5エピソード4は、前号の看護の現場の『あー体験』に引き続き、介護現場の『あー体験』を見ていきたいと思います。
 
―大曽根(地域包括ケア研究所)
エピソード3での名寄市立総合病院内での看護部の『あー体験』のお話、とても興味深いものでした。
連携のある右側の世界では、患者さんにとっての物語だけでなく、看護師たちの元気につながるストーリーがあふれ、ある意味で本質的な働き方改革にもつながる内容でもありました。
 
少し視座を変えて、地域(介護)から見た『あー体験』について、橋本いづみさんからお話いただきたいと思います。
 
―橋本いづみ(名寄市地域包括支援センター)
 
改めてみなさん、橋本です。よろしくお願いいたします。
 
先ほどは名寄市立総合病院の看護師さんの『あー体験』でしたが、逆に介護の方はどうなのかな?とていうことで、ケアマネジャーさんやヘルパーさん、訪問看護さんや訪問リハビリさん、包括の保健師さんなどに「実際に役に立った市立病院の看護師さんや患者総合支援センターからのコメントなどを教えて」と、今日のために聞いてきました。
 
★病院とつながっていることを実感できる安心感と心強さ
 
そうすると・・・
だいたい皆さんですね・・・
 
「全部だわ」
 
「確認ボタン押してくれているだけでも安心!」
 
と言ってくださってるんですね。
 

 
ある事業所の方からのICT(Team)でお返事いただいた内容なんですがご紹介します。
 
 
「いろいろ助けてもらっているのに、記録をなかなか探せません、、。
そんな中で、いくつかありがたかった投稿をご紹介します。」


 
とのことで
 
①    歯科医師から・・・
→どんな目的で義歯を調整したか(本人が外しやすいように緩めにしました)の連絡をいただいた
 
②    体調悪いけど受診したくないと本人がおっしゃる、、、と申し送りに対して・・・
→看護師さんが「今のバイタルや症状だと、様子見で大丈夫そうですが、なにかあったらいつでも連絡ください!」
 
③    重複障害あるけど、ご本人が好きなものばかり食べてしまう、、、との申し送りに対して・・・
→消化器科の看護師さんが医師に確認をとってくれて、「内服にかかわる禁止食・塩分制限に準じていれば制限はないですよ。受診は発熱時に連絡となっていますが、随伴症状もあると思うので、不明時はその都度問い合わせてください」
 
などなど・・・
わたし自身も安心しますし、利用者さんに説明しやすく、ICT(Team)内での共通基準ができるので、ありがたいです。
感謝感謝です!
 
といった内容です。
 
その他にも

④    異常ありの投稿に対して・・・
→「記事拝見しました。バイタルは変動内容ですが、食欲不振があるのですね。不調が続く場合や、体重減少があるなど心配が続くようでしたら、いつでもご連絡ください」と、現症状の確認や具体的な不調の例だけでなく、なんといっても「いつでもご連絡ください」のことばの心強いことといったら。本当に助かっています!」
 
⑤    体重コントロールが必要な方で、自宅と病院での計測値に大きな誤差があって、「訪問の際に目視で測定できる機会があれば」と外来看護師さんから依頼があり・・・
→そこからICT(Team)内で共有を続け、随時ドクターへ繋いでくれていました。「受診時に決まったことなどの情報をICT(Team)で共有したいと思います」と、1人で訪問するときでも、サポートしてくれている実感があって心強かったです。
 
 
⑥    ご夫婦のやり取りの様子を書いて投稿したところ・・・
→外来看護師さんから「ご夫婦の関係性が見えて大変助かります」と返信があって、こういう僕らにとっては何気ない普段の様子も病院では貴重な情報なんだなと思いました。
 
といったお話をいただきました。
 
 
★病院とのつながりの安心感あれこれ
 
その他にもいろいろなお話を聞いています。
 
「ご夫婦ともコロナ陽性でした」という看護師さんからの投稿は、とても役に立ちました。
認知症のあるご夫婦だったんですが、ご本人に「病院での検査どうでしたか?」と聞いたら、「わからない」という答えだったんです。でも、ご夫婦ともにコロナ陽性だわかったことで、サービスを止めたり。各種調整を行うことができました。
 
さらには、
・外来診察の結果や受診時に決まったことなどの共有
・内服薬の変更
・どういう処置や治療をしているのか
・こんな状態になったら受診をしてください

なども介護の現場ではとても役立っているようです。
 
どんどんいきますね。
 
・本日受診しました
・(逆に)本日受診されませんでした
 
・こんな状況で入院されました
・こんな状況で受診しました
 
・褥瘡の処置の内容、予測される皮膚の状況や対処法
 
・心不全がある利用者の受診体重を共有してくれて目安がわかった
 
・内服薬追加のための便秘について、看護師さんが先生に確認後投稿してくれた
 
などなど。

・実は栄養士さんの投稿がとても役に立っている。なぜなら、栄養士さんはなかなか直接会うことができない職種だから。 ・歯科医師の投稿(「外しやすいように緩めにしました」) ・市立病院の看護師さんにTeamを確認お願いしますと依頼すると、実際に見てくれて、その後も続けて見てくれた ・消防救急隊が救急搬送と書いてくれる。 ・心療内科病棟と外来の方から、過去の投稿を見てくれて、先生からケアマネジャーへ手紙をくれた。入院中の利用者さんのTeamの投稿を見てくれて、利用料の集金のための面会時間を調整してくれた。

 
などなど・・・とても役に立ってますという声は山ほど出てきます。
 
改めて、わたしはこれらを聞いて、冒頭の「全部だわ」と「確認ボタン押してくれてるだけでも安心」ということばと話してくれているみんなの顔が重なって、うれしくて涙が出てきます。
 
本当に地域がひとつにつながってきたんだなと。
 
以上、一部ではありますが共有いたします。
 
★『あ~体験』の好循環
 
―大曽根
橋本さん、ありとうございます!
 
まさに地域からも『あ~、見てくれたんだ』『あ~、そうだったんだ』・・・と『あ~体験』があふれていますね。
 
病院の『あ~体験』と地域の『あ~体験』の好循環が起きているようですね。
 
またまたぐっときました。
地域の体温が上がっているように感じます。
 
 
続いてのエピソードでは、名寄の外から注目される名寄モデルについて、引き続き橋本さんからお話しいただきます。

※内容は2024年12月時点のものになります。
 
→シーズン5エピソード5へ:お楽しみに!


 ★★名寄市あったかICT物語の構成★★

【シーズン1(導入前夜編)】

·        エピソード0:「名寄ICT物語、始めるにあたって」

·        エピソード1:「つながったら動いてみる」

·        エピソード2:「焦りとICT」

 【シーズン2(導入編)】

·        エピソード1:「想いをカタチへ①」

·        エピソード2:「想いをカタチへ②」

·        エピソード3:「名寄医療介護連携ICTの概要」

·        エピソード4:「ケアマネジャーから見たICT①」

·        エピソード5:「ケアマネジャーから見たICT②」

·        エピソード6:「医師としての紆余曲折の全てが今につながる」

·        エピソード7:「孤独に陥らないあたたかいシステム」

 【シーズン3(運用編)】

·        エピソード1:「名寄ならではの訪問看護を探究し続ける」

·        エピソード2:「訪問歯科がある安心感と連携のこれから」

·        エピソード3:「利用者さんの笑顔のために」

·        エピソード4「前編:薬剤師だから創り出せる、在宅でのあたたかい連携のカタチ」

·        エピソード5「中編:薬剤師だから創り出せる、在宅でのあたたかい連携のカタチ」

·        エピソード6「後編:薬剤師だから創り出せる、在宅でのあたたかい連携のカタチ」

 【シーズン4(運用編②~医療機関~)】

·        エピソード1「道具の使い方と生身の情報~風連国保診療所」

·        エピソード2「そっと寄り添い架け橋になる 患者総合支援センター(前編)」

·        エピソード3「そっと寄り添い架け橋になる 患者総合支援センター(後編)」

【シーズン5(3年経過の現在地編)】

·       エピソード1「節目と場のデザイン~地域連携会議in名寄:概要編」

·      エピソード2 「院内でも地道にコツコツ~拡がるICTの裾野・・・地域連携会議in名寄⑥より」

·       エピソード3「あー!そうだったんだ!『あー体験』の宝物紹介(1)・・・地域連携会議in名寄⑥より」

·       エピソード4「あー!そうだったんだ!『あー体験』の宝物紹介(2)・・・地域連携会議in名寄⑥より」


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