日本酒まちがいさがしvol.3『清酒と日本酒の違いは何?正しく理解して日本酒を楽しもう!』
ナカムラ440と申します。ふと気になった日本酒の事を書いていきます。
最近は日本酒がとても人気があるのでいろんなサイトでも見かけることが多いですね。日本酒で使う言葉や単語は難しいものが多いので日本酒のことを知っていく覚えていくのにとても役に立ちます。私もSAKEDIPLOMAの勉強をしているとき、テキストをやり込むだけだとどうしても情報が一面的になってしまうので、ニュースサイトや日本酒関連サイトの記事を見ることで多面的に知識を習得するように心がていました。
でも鵜吞みにしないでください。中には間違ったことを書いているものもあります。せっかく日本酒のことを覚えようとしているのにそれでは困ってしまいますね。なので日本酒記事の間違いを探しながら、正しい知識を身に着けるサポートをしていきたいと思います!第3回は「オリーブオイルをひとまわし」の記事を取り上げます
オリーブオイルをひとまわし とは
第3回は「オリーブオイルをひとまわし」の記事からです
ちなみに「オリーブオイルをひとまわし(略称:オリひと)」とはこんなサイトです
知識で広がる、男の暮らし
知識をきっかけに、家族の暮らしを豊かにする
男性のための料理・家事メディア
男性が料理を嗜み、掃除や洗濯などの家事を日頃からすることは、
今では当たり前になっています。
そんな社会でより豊かに生きる男性に必要なもの、それは "知識"。
なぜならば、ちょっとした"知識"で、面倒な掃除や洗濯が
楽しくなり、料理も劇的にうまくなるからです。
そう、それはちょうどオリーブオイルをくるりとひとまわしするように。
そして、 "知識"が家族のコミュニケーションのきっかけとなり、家族に笑顔が広がっていく。
そんな未来を思い描き、仕事でも家庭でも頑張る男性を応援するために、
食や暮らしに役立つ情報をお届けしていきます。
リンク https://www.olive-hitomawashi.com/about/
今回のお題
ではでは2020年10月16日の記事
『清酒と日本酒の違いは何?正しく理解して日本酒を楽しもう!』を題材にして始めます
https://www.olive-hitomawashi.com/shikohin/2020/10/post-10963.html
以下、オリひとより引用しながら、間違いの個所を太字にしていきますので、何がまちがっているのか考えてみてください。答えを知りたくない人はまず上記リンクでオリひとのサイトを確認してください
====引用ここから====
清酒とは日本酒のひとつであり、米から造られたお酒の中でも濾す工程を経た、濁りのないものである。一方で日本酒は濾す工程を経ていない無濾過のものや、みりんなども含まれている。今回は、初心者の方のために清酒や日本酒に合う料理やおすすめの銘柄も紹介していく。
1. 清酒とは?味わいや香り・定義など基本的な特徴をご紹介
日本酒を購入するときに「清酒」という表記をみたことがあるだろうか。清酒(読み方:せいしゅ)とは日本酒のひとつで、酒税法上は「米を使用して造られたもので、濾す工程を経た酒」となっている。清酒は日本酒の中でも濾す工程を経たことで比較的すっきりとした味や香りを楽しめるものであり、一般的に日本酒と聞いてイメージするものと考えよう。
2. 清酒は日本酒や焼酎とはどう違う?
清酒について理解したところで清酒と日本酒の違いを詳しく解説する。日本酒は日本古来の米を使用した酒であり、調味料として使われるみりんなどもこの分類に含まれている。また、濾す作業をしていない「無濾過」という表記があるようなどろどろとしたものも日本酒である。一方で、清酒は濾す工程を経たものであるため透明な日本酒をイメージしよう。
焼酎との違い
お酒初心者のために焼酎との違いも解説する。焼酎は日本酒や清酒とは造り方が異なる全く別物のお酒だ。最大の違いは焼酎が蒸留酒であること。蒸留という工程を経ることで糖分が含まれないアルコールとなる。清酒や日本酒のように米を使用した焼酎も製造されているため混同してしまわないように注意しよう。
3. 清酒や日本酒に合うおすすめの料理は?おすすめの飲み方も合わせて確認
清酒や日本酒に合う料理を紹介する。米を原料としたお酒のため基本的にはどんな料理にも合わせられる万能な食中酒と理解しよう。その上で清酒にはさまざまな種類があり、それぞれの特徴に合わせた料理を選べるとさらに美味しく楽しめる。
日本酒(清酒)の純米酒に合う料理
しっかりとした米の旨みや香りを楽しみたい純米酒に合わせる料理はやや濃い味付けのものだ。魚の煮付けや肉料理、野菜炒めなど幅広い料理に合わせることができる。
日本酒(清酒)の吟醸酒に合う料理
清酒の中でも吟醸酒はフルーティな吟醸香が特徴だ。香りを楽しむためにも食前酒や食後酒として楽しむことをおすすめする。食事と合わせる場合には刺身や天ぷらなど味付けが濃くないすっきりとしたものを選ぼう。
日本酒の無濾過に合う料理
清酒にはあたらない無濾過の日本酒は濾す工程を経ていないためどろどろとし、米の本来の味わいが直接楽しめるパワフルでフレッシュな味わいが特徴だ。基本的には純米酒などのように味わいに負けないような料理を選ぶことをおすすめする。ストレート以外にも冷やしてロックで楽しむこともできる。
4. 清酒や日本酒のおすすめの銘柄は?
清酒や日本酒のおすすめ銘柄を紹介する。オンラインショップや酒販店、スーパーなどで販売しているので家飲み用に購入を検討してみてはいかがだろうか。
株式会社北鹿「純米大吟醸 北秋田」
秋田県の酒造が醸す純米大吟醸酒。スーパーなどでも広く販売されており、純米大吟醸酒ながらリーズナブルな価格で人気が高い銘柄。常温または冷やして飲むことで吟醸香がしっかりと楽しめる清酒。
朝日酒造株式会社「久保田 千寿」
日常使いができるような食事と合わせやすく飲み飽きない正統派の日本酒。吟醸酒ながら食事とも合わせやすくすっきりとした辛口の味わい。常温や冷酒のほか、少し温めてぬる燗にしても美味しく楽しめる清酒。
旭酒造株式会社「獺祭 純米大吟醸45」
知名度が高く、ギフトとしても喜ばれる日本酒。酒米の王様である山田錦を使用し精米歩合45%まで磨き上げた大吟醸酒。繊細な甘みと華やかな香りが楽しめる。
結論
清酒は日本酒の中でも濁っていないお酒で、濾す工程を経たものである。基本的には日本酒と聞いてイメージするものはほとんど清酒もあるという認識で問題ないが、一部の無濾過酒などは清酒とはならないので注意しよう。具体的なおすすめの清酒も紹介したので購入の際には参考にしてみてほしい。
====引用ここまで====
間違い探しの解説
今回は日本酒とは何か清酒とは何かがテーマとなります。はじめの一歩の理解を誤ると混乱してしまうことになってしまいます。
まず冒頭の「清酒とは日本酒のひとつであり~」ですが、ここは判断が難しいところですが、声を大にして「間違っている」と言いたいと思います。「日本酒」「清酒」を何を基準に分類するかが大切です。オリひとでは最初にこう書いてしまったことで後の説明に矛盾が出てしまっています。この「清酒とは日本酒のひとつであり」は辞書サイトの説明を引用しているようです。たしかに辞書サイトの「日本酒」の説明の中には「日本酒:清酒,濁酒(どぶろく),焼酎(しょうちゅう)などの総称であるが,ふつうは清酒をさす。(出典:百科事典マイペディア)」や「日本酒:日本古来の酒。清酒,合成酒,味醂,白酒などがある。~後略~(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)」 など、確かに日本酒の中に清酒を含むと表現しているものもありました。しかしこれによって後の説明に矛盾を生じてしまっています。ここは酒税法をベースに説明した方が正しく理解できると思います。
誤)オリひとの清酒と日本酒の分類
正)酒税法に基づく清酒と日本酒の分類
解説:清酒と日本酒の定義
酒税法において清酒は次のように定義されています。
・米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの(アルコール分が22度未満のもの)
・米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの(アルコール分が22度未満のもの)
では日本酒は?というと酒税法では日本酒に関しての規定はありません。平成27年の国税庁の「地理的表示「日本酒」の指定について」の中にこう記されています
原料の米に国内産米のみを使い、かつ、日本国内で製造された清酒のみが、「日本酒」を独占的に名乗ることができる
つまり、オリひとが言っているように「日本酒の中に清酒が含まれている」のではなく、「清酒の中に日本酒が含まれている」関係性となります。
では次の間違いについてですが、同じ段落に「一方で日本酒は濾す工程を経ていない無濾過のものや、みりんなども含まれている。」とあります。「無濾過もの」については後で説明するとして、ここではまず「みりん」について触れたいと思います。酒税法においてみりんは次のように定義されています。
・米及び米こうじに焼酎又はアルコールを加えて、こしたものでアルコール分が十五度未満のもの
そしてみりんは酒税法上では「混成酒類」に該当します。しかし、オリひとの記事の考え方ですとこうなっちゃいませんか。
「みりんは日本酒の一つである」
「みりんはこして造られている」
ゆえに「みりん=清酒」である。
ということになってしまいます?!おそらくこの筆者はこれを書いて自分で相当混乱してしまったのではないでしょうか。
混乱しちゃったので、「1. 清酒とは?味わいや香り・定義など基本的な特徴をご紹介」の中で、「定義する」と言ってるにもかかわらず結びで「(清酒とは)一般的に日本酒と聞いてイメージするものと考えよう。」と感覚やイメージで説明してしまっています。説明の論拠をどこに置くかがしっかりしていればぶれずに説明ができるはずです。その論拠はこの場合やはり「酒税法」に求めるべきだと思います。
次に「2. 清酒は日本酒や焼酎とはどう違う?」の中での間違いを探します。「調味料として使われるみりんなどもこの分類に含まれている。(この分類=日本酒)」みりんが日本酒か清酒かについては先に述べた通りなので割愛します。「濾す作業をしていない「無濾過」という表記があるようなどろどろとしたものも日本酒である。」まあ、これも冒頭の筆者の論によればその通りといえるのですが、これを認めてしまうと大きな矛盾が生じてしまうことになります。
それはよく見る「無濾過生原酒」は清酒ではないのかということになってしまいます。結論を言ってしまえば「無濾過生原酒」は清酒です。なぜ間違ってしまったのか?それは「こす(濾す)」と「濾過」の意味を正しく理解できてないためだと思います。
例:濁っているお酒なのに「清酒」と表示されている
菊姫合資会社 にごり酒
例:無濾過酒なのに「清酒」と表示されている
加茂錦酒造 荷札酒 黄水仙 無濾過生原酒
解説:濾すとは?濾過とは?
清酒(日本酒)造りにおける、濾すとは「醪を酒(清酒)と酒粕に分けること」です。工程としては袋絞り、槽絞り、薮田式絞りなどのことです。極端に言えば目の細かいザルのようなもので濾しても構わないわけです。目の粗いもので濾して、まだ白い色(滓を含んでいる)のものはにごり酒となります。そんなにごり酒も濾す作業を経ているので、「清酒」です。全く濾す作業を経ていないものはそう、どぶろくとなります。どぶろくは酒税法上は「その他醸造酒」に分類され清酒とは異なります。
これが「濾す」です。
しかし布のような目の細かいものでもこしただけではまだ滓を多く含んでいます。そのため「滓引き」と言って、濾した酒を置いておき滓が下に沈むのを待つ工程があります。滓引きされた酒は滓によるにごりはないものの酒本来の色(黄色と茶色の間のような色)をしていることが多く、また雑味のもとになるような風味を持っていることがあります。
色を透明に近づけ味わいをすっきりさせるための工程が「濾過」です。
濾過にはいろいろな方法がありますが、粉末の活性炭を滓引きされた酒に投入し、活性炭に色やにおい風味を吸着させ、「濾した酒からさらに不純物を取り除く作業」これが「濾過」です。
「濾す」も「濾過」も同じ漢字を使いまた、それぞれについて詳しい定義があるわけではないので、一見すると「濾す」と「濾過」とを同じことのように思ってしまいます。(私も実際そうでした)。
繰り返しになりますが「濾す作業をしていない「無濾過」という表記」という表現自体が(酒造りにおいては)矛盾しているということになります。また「どろどろとしたものも日本酒である」ではなく、どろどろしたものでも清酒であることがあるのです。
次に行きます。「3. 清酒や日本酒に合うおすすめの料理は?おすすめの飲み方も合わせて確認」にある「清酒にはあたらない無濾過の日本酒は濾す工程を経ていない」というのも間違いということになります。
というわけなので「結論」にある「清酒は日本酒の中でも濁っていないお酒で~」「一部の無濾過酒などは清酒とはならないので注意しよう」も間違いなので注意しなくても大丈夫です(笑)。
今回は日本酒、清酒の分類を、酒税法や「濾す」「濾過」という言葉から紐解きました。普段使っている言葉の理解だけでは難しい部分もありますがそれ故とても間違いやすいポイントなのでしっかり理解しましょう!
参考
■日本酒についてhttps://kotobank.jp/word/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E9%85%92-110181
■日本酒と清酒の違いについて https://magazine.asahi-shuzo.co.jp/know/299
■【酒好きなら知っておきたい豆知識】日本酒の「こす」と「濾過」の違いとは? https://www.nomooo.jp/column/99890/