見出し画像

道路1本の格差社会

 横浜の観光地の1つ元町は有名だが、たった道路1本隔てた途端風景が一変する。日雇い労働者が多いといわれるドヤ街だ。
東京の田園調布から蒲田まで電車に乗ればたった20分程度でいけるというのもビックリだけれど、それ以上のあまりにすぐ隣にある違い過ぎる世界の境界線に立つと途方に暮れてしまう。「石川町駅から徒歩〇分」だけではわからない世界である。

8月最終週から始まるはずだった中学校も小学校もコロナの感染拡大に伴い、9月から、そして1日おきの分散登校というスタイルで夏休み明けの学校が始まった。

 我が家がある市はとりあえず人口が多くいっぺんに何かをする、が難しい。お金のかかる吹奏楽系部活がある小学校はごく一部だし、昨年からのGIGAスクール構想で学校にタブレット端末は1人1台あるものの、夏休み明けからの緊急事態宣言で端末を自宅に持ち帰ってオンライン授業や宿題提出などやっている学校、相変わらず自宅待機日は紙ベースのみの宿題の学校さまざま。公立学校だから純粋に住んでいる場所、学校が違うという理由だけで状況が全く違う。ちなみに我が家の学区はおそらくかなり遅れている方でいまだに中学校も小学校もタブレットを持って帰る気配がない。

実は以前からちょいちょい学校からアンケートがきており、家庭のオンライン環境について聞かれている。Wi-Fiを使っているか、有線でもGooglechromebookやiPadが接続して使える環境があるかどうか。おお、アンケートきたからにはそろそろ開始するのか?構想から1年、学校で中学校はchromebook、小学校ではiPad(らしきもの)を校内で使っているようだが全く自宅に持ち帰る気配はない。どこもそうかと思いきやある日テレビのニュースで「(同じ市の)〇中学では数日前からchromebookを使って試験的に授業を行い…」というのをみてしまった。
その学校、すぐ隣の区。

近くの小学校でも「持ち帰ったiPadで宿題を提出しているらしい」とかいう話も聞く。

この差はなんなん・・・?

と思っていたが、どうやら何回も聞かれる「家庭のオンライン環境」を集計してみて、やはり自宅でオンライン対応できる家庭が他学区に比べて圧倒的に少なく自宅でネットに繋げられないからと登校する生徒数が多くなっては分散登校の意味がない、学校も躊躇している。ならペーパーで一律に課題を出した方が、となっている・・・というのが実情らしい。


嗚呼・・とふと思い出した本があった

作者であるブレイディみかこさんの息子君は、同じ公立でも富裕層の多い地区の学校から、いわゆる「底辺校」といわれる中学校に進学する。
その「底辺校」での出来事を通して成長していく姿をブレイディみかこさんのウェットに富んだ文で一気に読んだことがある。
とはいえ、読みながら「日本で同じ公立学校ならここまでの格差はないなあ」と思って読んだ

・・のは、確か去年だった。一斉休校になったあたりだっただろうか。

昨年の時点では私立はオンライン授業が進んでいるけれど公立は進まないんだよね、が定説だった。公立といってももちろん今はやりの中高一貫の公立校ではなく、住んでいる場所で割り当てられる地元の公立小中学校である。
私立なら父親の経済力と母親の狂気で(by二月の勝者の受け売り)入った学校で公立進学と決めた以上しょうがないけれど、“ここ”か”あそこ”に住んでいるだけでそこまでの差がある、なんてことが起こるんだろか。
コロナ2年目になって同じ公立でこんな格差が広がるとはなぁ・・・。

そういえば、思い出した。ママ友のおうちに遊びに行ったときに分譲住宅の多い住宅地側、道路を挟んだ昭和時代の団地が立ち並ぶ側、同じ小学校だけれど、門限のあるなしやお稽古、学童に入っているかどうか、子どもの金髪率とかはっきり雰囲気分かれるんだよね、とぽろっと言っていた。日本じゃないみたいだなあとその時はぼんやり聞いていたけれど考えれば同じようなものだった。うちの子の学区には駅から遠い古い団地が多く道路1本隔てた隣の学区は綺麗な住宅街・・・。

たった、道路1本。

アメリカでもヨーロッパでも、ハワイですら道路一本で「夜歩いていても安全なエリア、立ち入ってはいけないエリア」がある。あそこには行かないようにとガイドさんに言われる。そして明らかに夜は雰囲気が、空気が違う。なんで、たった道路ひとつで。塀があり行き来出来ないわけじゃないのに…と思っていた。

道路1本、日本にも確実に格差社会が生まれている。そして対岸が見えない黄河のようにそれは確実に広がっている。それを実感している最近である。






いいなと思ったら応援しよう!

nawozo
ごくありふれた日常を少しでも面白く、クスっと笑えるお話を書いていきます。頂いたサポートはご縁のある横浜の子育て支援団体に寄付させていただきます。