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【短話】キン肉マン【昼会②】

退屈な授業中の妄想、要はこの前読んだ漫画を思い出していた。小学生時代に刷りきれる程読んだキン肉マンの七人の悪魔超人篇、特に好きなエピソードはウォーズマンとバッファローマンの一戦で、ウォーズマンの10倍を誇る圧倒的なバッファローマンのパワーにウォーズマンの渾身を振り絞った最後の一撃 。

そして工夫を凝らした渾身の一撃でバッファローマの自慢の角をへし折りウォーズマンは果てた。一矢報いたのだ。涙した 、何度読んでも涙が溢れる。

要のように弱者は強者に勝てない。いや、正確には勝てるだけ力も知恵も勇気も持ち合わせていない。しかし、ウォーズマンのこの戦いを読むと自分の奥底にも同じ様に工夫を凝らし一矢報いることが出来る何かが有るように思う。

まぁ、教室では空気の様な存在の要には倒すべき相手など居ないし誰かの為に立ち上がろうと思った所でその誰かなんて存在も居ない。たぶん要には一生縁の無い話なのだが・・・

例えば・・・本当にただの例えばだが、今この教室に暴漢が現れナイフをかざしてクラスメイトに切り付けたとする。そんな事はあり得ないが、例え話ならどんなシチュエーションも可能なのでこのまま妄想する。

その時に要は暴漢に立ち向かえるか?

答えはNo!

だってさナイフを持った暴漢に勝てるわけ無いし切られたら失神する。失神だけなら良いが失神する前に泣く間違いなく泣くし、下手すると失禁するかも知れない。いや、失禁するね!間違いなく!

暴漢に切り付けられたら泣いて失禁して気絶する。パーフェクトな情けなさだ。

こんな弱虫の根性無しにウォーズマンの勇気も知恵も隠されていない。しかし、泣いたではないか?ウォーズマンの渾身を見て感動し涙した。

考えろ何か暴漢に勝てる道があるハズだ、勝てなくともクラスメイトを逃がす時間を稼ぐ方法はあるハズだ!

教科書を投げつける?ダメだ!椅子を投げる?これもダメだ!やけくそで体当りする?これだ!

たとえ切り付けられても勢いが有れば暴漢の動きを止められるし、当たり所が良ければ転倒も狙える!

転倒させればその間にクラスメイトは逃げることが出来る!これだ!

まぁ、暴漢なんて来ないけどね。

妄想世界から現実に戻った要は自分の座る廊下側の席から反対側の窓を眺めた。

窓際の女子生徒が一生懸命睡魔と戦う姿が見えた。

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たのしいは正義!この言葉を胸に楽しめるコンテンツで在りたいとおもいます。(*´ー`*)