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【短話】初めて釣りと丸坊主【夜会③】

数日間は仕事から帰ると釣りの方法や釣り場のマナーなどを調べた。なぜならソロプレイヤーとしてひっそりとデビューするためだ。

釣りの歴史は長い。

釣り場での基本的マナーやその場所毎に決まったルールが存在する。他の釣り人や地元の方の迷惑になる行為はトラブルの元だ。ボッチとしてはそれは避けたい。

調べた限り釣り場のマナーは

①挨拶をする

②先に釣りをしている人の邪魔をしない・割り込まない

③ゴミを持ち帰る

④地元の住人や漁師の邪魔になる行為は行わない

概ねこれ等のようだが釣り場だけでなく人としての基本を守れば良いようだ。

①の挨拶はまぁ問題ない、②の先に釣りをしている先行者の邪魔をしないのは距離を取れば良いと思う。先行者の釣り方の確認は観察するしかない様に思うが・・・

③はゴミ袋を準備したから問題ない、④は幸い近くの釣り場は漁港ではないので漁師は居ないし人家も無い工業地帯だその分水質は・・・まぁ、この前の見た釣り人はクーラーBOX持ってたから持って帰って食べるだろうからまぁいいか。

この辺はクリア出来そうだ。

次に仕掛作りだ。

釣竿にリールを取り付けリールの釣糸(是を道糸と言うらしい最近はメインラインと呼ぶようだが)をガイドに通し、通した道糸の先にハリス(これも最近はショックリーダー若しくはリーダーと言うらしいハイカラだ)のフロロカーボンを取り付ける。取りあえず電車結びで結束するのだが・・・難しい。2、3度と練習してやっと結束できた。そしてハリスにジグヘットをクリンチノットという結び方で結束する。クリンチノットを選んだ理由は覚えやすそうだったからだ、たぶん釣場で何度も結束する事となるなら覚えやすそうな結び方で初める方が得策だ。

何度か針先で指を指しながらソラで結べるように成った。当座の準備は是くらいで次に残りの必要な装備を整える。

今は冬だ。そして夜釣りをやる。

先ず防寒着これは外仕事で着ているもので十分、次に明かりこれも仕事で使うヘッドライトがあるし懐中電灯も有るので問題ない。道具はメッセンジャーバックに入れていけば大丈夫そうだ。一応膨張式のライフジャケットも準備した。

バックにさらにホッカイロとタオル、ゴミ袋を数枚いれこれで後は週末を待つだけだ。気が逸る!

そして準備万端整った最初の週末は・・・雨だった。

悶々としながら更に一週間。

漲る気持ちを抑えつつ更に釣り方を調べ動画サイトで動画を観ながらイメージトレーニングに励みつつ天気の良い週末を迎えた。

その日は満月で明るかった。仕事を終えアパートに戻り準備をする。

それから釣り場に着いたのは夕方19時を少し回った頃だったが、釣り場には既に先行者が多くいたが奥まで進むと疎らになり隣との距離を十分とれそうな場所が空いていた。

早速釣竿を準備し2gのジグヘットにワームを取り付ける、余り上手く付けられなかったが針先のワームを抜く場所を何度か調整し真っ直ぐ付けられた。

廻りを見渡し人が居ないことを確認し、リールのベイルを起こし記念すべき第一投!

竿先がヒュンと鳴りジグヘットが飛ぶ 、10m位先でポチャンと音がした。

着水点がよく見えなかった。

取りあえずベイルを戻しリールを巻くと2巻き目位でリールがガチッっと止まる!

釣れたのか!?

リールをよく見ると道糸が絡まっていた・・・

お祭り・・・か・・・

取りあえず海面に光が当たらないように背を向け糸を解す。幸いに簡単にほどけたのでリールを巻くとまたもリールが止まる今度は根掛かりだった。竿を軽くしゃくるが取れない、位置を変え数度しゃくるが取れないので強めにしゃくると道糸とリーダーの結束部分が切れた。

人生で最初に使ったジグヘットとワームは最初の1投目にロストしてしまった・・・

また海面に背を向け電車結びでリーダーを結束しジグヘットを取り付ける。さぁ2投目だ!

ヒュンと音を立てジグヘットが飛ぶ!先程より遠くへ飛んだ!リールを巻くと感触がスカスカだ!

2投目は道糸とリーダーの結束が悪くほどけたようだ・・・リーダーから先が無かった。

仕掛を付け直しては投げ、お祭りと根掛かりを繰り返し釣りになら無い時間を繰り返す。初心者が初心者らしく失敗する時間だ。

他の釣り人から離れているがたぶん上手く行っていないのが見えてるだろう・・・きっと笑われてるに違いない。そう思うと恥ずかしくなってくる。ボッチスキル「被害妄想」が発動している。

しかしこうも上手く行かないのは失敗の原因があるハズ解決せねばとスマホを取り出し検索する。そうすると仕掛を投げた後(投げることをキャストと言うらしい・・ホント横文字だらけだ)リールの糸巻き部を指で触れるフェザリングと言う動作で糸ふけを防ぐのに良いらしい事を知り、試すと飛距離はでないがお祭り回数は格段に減った。

だが、飛距離は伸びない。もっとピューンと飛ぶように思っていたが何か違う(゜_゜)

今度はキャスト動画を幾つか観ながら同じように試すが上手く行かない。たぶんどんくさいフォームで投げて居るだろうと思いつつこればかりは反復練習するしかないと割りきることとしたのだが・・・ここでも「被害妄想」スキルが発動し恥ずかしくなる。

それでも何度も投げる内に今までと違う感触が竿先にブルルと伝わる!

「当たった!」つい口に出る同時に竿を引ったくるように合わせを入れるが魚は掛からない。

当たりの有った場所へ同じように投げリールをゆっくり巻いたり早く巻いたり試すがもう当たりは来ない。

廻りの様子を見つつ何度か場所を変え投げ続ける。途中2~3回どうしてもほどけない程道糸が縺れ道糸を切り結束し直す。後で知ったのだが道糸同士の結束は良くないらしい、勿体ない精神も程々が良いらしい。

忘れた頃にブルルと当たるでも釣れない。

良く良く廻りを見るが釣れてる姿を殆ど見ない。これだけ釣り人が居るから魚が絶滅したのか?等と考えながらそれでも投げる、投げる、投げる、投げ続ける。

いつしか辺りが薄明かるくなりそして夜が明けた。

くたくたに疲れはて手元に残ったのは継ぎ目だらけのリールと結束の度に出た端糸と絡んで切った道糸の山だけだった。

朝8時30分釣果0にて初めての夜釣りを終了した。

動画ではあんなにホイホイ釣ってるのに・・・実際そんなに甘いものじゃないという結論となにか言い知れぬ感情を残しての終了だった。

アパートへの帰り道重い足取りだが

「次はリベンジしてやる!」

あれはきっとアパートへの帰り道ではなく釣りという沼への一本道だったのだと思う。

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たのしいは正義!この言葉を胸に楽しめるコンテンツで在りたいとおもいます。(*´ー`*)