0416.0418.0419.0421.0422
0416
畑の中、目の前をウサギがぴょんぴょん進んでいる
わたしもウサギか何か動物だろうか?
視線の高さが野菜らしき葉っぱと同じ高さだ
わたしはウサギの後を追って畑を四つん這いでかける
突然風景は俯瞰になり私は空から畑を眺めている
うさぎの後を必死に追いかけているわたしが見える
畑の右側にはさほど大きくない川が流れていて
ウサギはその川の中の石を足場にぴょんぴょん跳ね対岸に渡った
私はまた地上のわたしに戻ったのか…
視線の先には草の合間に川が流れウサギが対岸に渡った姿が見える
意を決してわたしも飛び石に向かってジャンプしたが川に落ちてしまった
川底が見えない…
不意にわたしの身体に何かが絡みついた
見ると真っ黒な藻のような…何かの触手のような…
慌てて踠くがその触手のようなものは
手足を胸を…頭もどんどん締め付けてくる
苦しい…
意識が遠のくような感覚…
頭上の水面だけがキラキラ輝いてる
動けない…
0418
地下の工場の中のようなところ
大きな発電機のような機械…周りが暗くてその機械だけが明るい
床の円形の鉄の扉がスライドして開くと肉の塊が並んでいた
おそらくその施設の関係者だろうか
真っ黒なシルエットで目だけが光る男が
その肉の塊の中に手を入れまだ血が流れる一つの塊を無造作に取り出し
「腹空いたねー」と言いながらわたしに突き出した
男とわたしは肉の塊を切り分けようとするがなかなか細かく切れない
男はわたしの肉をとりあげると
発電機のような機械の蓋を開けその肉を放り込んだ
機械横の小さな窓から覗くと無音のまま回転する歯車の数々
その間を肉の塊がミンチに潰され流れていく…
後ろから「焼肉食いに行こうか」と男の声
わたしは男を追って部屋の鉄製のドアから外に出た
そこは氷が壁一面に貼り付いた冷凍庫
わたしの足がみるみる凍ってきて動かない
でも不思議と冷たさは感じない…
ただわたしは全てが凍って眼球以外は動かない
夢だ…起きなきゃ…
起きなきゃ…
何度もつぶやく
0419
大きなマンションらしき建物
見上げながらエントランスから中へ
薄暗く湿った匂いのエレベーターホール
ボタンを押して扉の前で待っていると
後ろに数人の男女の影
到着ランプが点滅して扉が開いたので急いで中へ
しかしエレベーターには床が無い
咄嗟にわたしは壁際に剥き出されていた鉄骨に飛び移った
後ろにいた二人の男は間に合わずそのまま漆黒の闇に落ちて消えた
女性は出口手間で硬直している
わたしは手を伸ばして上階へのボタンを押した
ガタガタと揺れながら動き出し照明も震えている
身体中の血液が下に流れ落ちるような浮遊感…
止まったので外に出ると倉庫の中のような部屋
階数ランプを見るとまだ最上階には着いていない
でもこのエレベータはこの階までらしい…
上階に行く乗り換えのエレベータを探す
エレベーターは円筒形のような空間の中央にあり
乗り換えのエレベーターは反対側にあったのでまたボタンを押す
今度はわたしだけだ…
到着したエレベータの床を確かめ中に入る
先ほどより半分ぐらいの広さで狭い
そして動き出すと同時に壁がジリジリと狭まってきた…
わたしは両腕と両足で壁を突っ張った
しかし壁は何事もないように静かにジリジリと狭まり
やがて身体全体を抑え込んだ
重い…苦しい…
もう一人の私の声が聞こえた
--- これは夢だ ---
0421
わたしは勢いよくカーテンを引き開けた
そこにはすぐ眼の前に
今にも崩れ落ちそうな高層アパートがそびえるように立っていた
ビルの谷間から僅かにのぞいている空を見上げると
鉛色に晴れあがっている
すぐ前まで迫っている高層アパートが光をさえぎり
この部屋を夕暮れ時の薄暗さにしている
それはこの雑居ビルだけのことではない…
林立しているどの高層アパートも同じ状態で
昼間だというのに
どの部屋にも灯がついていた…
0422
またあの夢を見た
わたしは親父を探している
荒野に累々たる腐敗した死屍
その合間を流れる真っ赤に濁った川
わたしは微かに流れ動く死屍の一体一体の
顔を覗き確かめながら上流に進んでいる…
蛆が蠢く塊となった眼球の男…
両足がちぎれた子ども…
両乳房が噛み抉られた女…
--- あ! ---
わたしは大きな石と石に挟まり
流れにゆらゆら浮かぶ男の死屍に叫んだ
絶対に親父だという確信があった
なぜならわたしが17・8の頃に着ていた
親父の茶色のツイードコートを着ていのだ
首に巻きついたペイズリー柄のマフラーも同じだった
するともう一人の私… 血まみれの裸のもう一人の私が
バシャバシャ水音をたてながら寄ってきて
--- こいつじゃない --- と
死屍をひっくり返しながら言う
ふやけ崩れた顔は…
あきらかにわたしだった…
その姿に目を背けた瞬間目が覚めた
嗚咽のような声と涙…
全身は硬直して寝汗で冷たかった…
まるで鉛になったかのように重い腕をなんとか伸ばし
スマホを覗くと午前5時過ぎ
白み始めた空…青白さ…影の影…